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参観日のお父さん現象〜「こじらせた 昭和生まれの 島根愛。」

こんばんは。

週に1回の「時々 コラム」です。

今日のテーマは「こじらせた 昭和生まれの 島根愛(俳句調で読んでください)」です。

常にいろんな視点で発信してるとおり、くらしアトリエスタッフは「島根への愛と誇り」を糧に活動をしています。その思いについては

これとか、

これとかに散々綴ってきました。毎度お付き合いいただきありがとうございます。

愛と誇りが強まりすぎて、今年度からは「しまねのエコバッグ」「しまねのブローチ」と、誇りを可視化するためのものづくりにも乗り出しています。

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何度も書いていますが、お隣の鳥取生まれの私。

若い頃…中学生くらいから結婚して子どもが産まれるくらいまでは、自分のふるさとも、嫁いできた島根も、「田舎でダサくてすいません」という立ち位置で暮らしていました。休みの日に神戸に行くとか広島に行くとか、そんな「外に出ること」で自分の生活に対する不満を解消していたのです。今みたいにネットを使って買い物もできなければコミュニケーションも取れない時代のお話。

それが、なぜ島根への、山陰への愛と誇りに目覚めたのか。

それは、「プライスレス」に触れたからだと思います。

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散歩道に咲く野の花を見つけたり、落ち葉を拾って遊んだり。

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海に釣りに行ったり川に泳ぎに行ったり、登山をしたり。

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人工的でないものと対峙し、それを存分に享受したとき、これはお金で買うことができない価値なのだ、と身を持って実感するわけですが、そこに気付かせてくれたのが、私の場合は子育てでした。

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「いま、ここにあるものって、素晴らしくすごいんじゃないか」ということに気付いたとき、目の前のフィルターがさっと取れ、曇りが晴れ、そこから暮らしが劇的に変わったのです。

そこから志を同じくするスタッフたちと活動を始めて、世の中には私たちと同じように「島根あるいは山陰」に対して愛と誇りを持って暮らしている人がいらっしゃるということが分かり、心強く、ひそやかにガッツポーズをしたものです。

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「しまねのエコバッグ」や「しまねのブローチ」は、

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そんなひそやかな島根への愛と誇りを、ほんのちょっとだけ「見える」ようにすることで、ひそやかな人同士が「同じですね…」「あ、あなたも…島根、いいですよね」と言い合える機会が増えたらいいな、という私たちの願いから企画したものですが、例えば10年前の自分たちには、このグッズを作る自信がまだありませんでした。

そんなものを「見える化」しても誰も賛同してくれないのでは…と思っていたし、当時「地域への誇りをおもてに出す人」には若い女性はほとんどおらず、主に、声の大きい元気なおじさんの役割で(小声)ねじり鉢巻きをしてわっしょいわっしょいしているような人しか(見えて)いなかったからです。

私たちはひっそりとインターネットの暗闇の中で「おーい、山陰への内なる誇りがある人、いますかー?」と捜し歩いていたような、そんな状態でした。だからこそ、同じ思いを持っている人たちが光だったのです。

その後、時流があきらかに変わって、ひそやかではなくオープンに「島根が好き!」「私も!」と言ってくださる方がみるみる増えてきました。それがどれだけ心強かったことか!個の発信がしやすくなって皆さんの地域愛を拝見するたびに、ああ、自分たちは間違っていなかったんだなあ、と感じ、今ならこういうものを作っても反応してくださる人がいるのでは?と、エコバッグやブローチを企画したのでした(企画はまだまだ進行中です)。

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あくまで自分の肌感で思うところなのですが、総じて平成世代の皆さんはオープンマインドで「いいね」を表せるように感じています。もちろんいろんな人がいるので一概には言えませんが、自分が出会う人で30代前半までの人には、「島根最高っ!」とさらりと言えたり、それを「いいね!」とシェアしたり、それを可視化できる人がとても多い。

それに対して昭和世代の人間は、「いやいや、そうは言っても何もないところですから…」と自分の故郷を卑下する傾向にある。これもまた自分の肌感で、一般論ではないですが、観光にいらした方に「いや~こんな何もないところまでようこそ」とか、「なんか見るものありました?」とか話しかけるのは、たいてい昭和世代の人間ではないでしょうか。

自己評価が低く、自分の周りのものを褒めたたえることに慣れていないから、「いいところですね」と言われて「でしょ?」と肯定することができないのです。この気持ち、すっごくよく分かります。自分もそうだったから。

でも、こういう人に地域への愛や誇りがないかと言えば、決してそうではない。「何もないでしょう」と言って相手が「本当に何もないですねえ」なんて返そうものなら、ムッとして態度が変わるのも昭和世代だと思うのです。

私はこれを以前から「参観日のお父さん現象」と呼んでいます。参観日にお父さんが来るとこっぱずかしくて隠したくなるけれど、「お前のお父さん〇〇だな」とからかわれると、なぜか無性に腹が立つ。

つまり、「心の底にある愛情が表に出せない分、そこを軽んじられた時に怒りが倍増する」わけです。「こじらせ」ですよね…。

こじらせ側から言い訳をすると、大切なことは必ずしも大きな声で言う必要はなくて、心のうちにひそやかに思いながら、同じ熱を持っている人と出会った時にそれを確かめ合っていけばよいのだと思います。むしろそういう人たちにこそ、ちょっとだけ地域愛を顕在化できるエコバッグやブローチを手に取っていただけたらなあ、と思います。もしお店で「しまねのエコバッグ」を持っている人に出会ったら、「わー!」と心の中で大声を上げながらも、きっと話しかけることはできず遠くから涙目で感謝を伝えるでしょう。

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真面目な話になりますが、人の心の中は、おもてに表れている部分だけではありません。外見や、その人の見えているものだけが情報のすべてだと判断してしまうことは、人間関係においてすごく大きな損失があると感じています。心の中ではこう思っている「かもしれない」、もしかして本当に言いたいことはこっちなんじゃないか…そんな風に、想像力を働かせて人と対峙していくことが、密に会うことがスタンダードでなくなるかもしれない今後の社会において、すごく大切になると思います。


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島根への愛のかたちも人それぞれ。

イエーイ!と集合写真を撮る人たちにも、自分の中で愛を静かに育んでいる人たちにも、「こんなところ何もない」とひたすら地域を卑下する人たちにも、「いいところだよね」という共通項があるはず。

その共通項を大事にしながら、私たちなりにひきつづき「島根愛」をお届けできたらいいなと思います。


サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。