見出し画像

ロマンを抱いたその先に。

今年から畑を始めた、と、以前コラムでもお伝えしました。

画像9

小さなスペースではありますが、「自分が食べたい野菜」を育てようと、ズッキーニ・さつまいも・パプリカ・ルッコラなどを少しずつ植えています。素人なので正解が分からず、ネットで検索してはおろおろしながら(失敗もありつつ)楽しんでるところです。

画像9


オットは私よりも野菜作りに関しては初心者なのですが、「根菜」を作ることが夢だそうで、さつまいもが順調に育っているのを見てホクホクしています(さつまいもは誰にでもできる野菜ナンバーワンだということを知らないようす‥)。

「秋からは白菜や大根をやりたい」というオットに、「白菜なんか苗買って育てるより、旬の時に育ったやつを1個まるごと買うほうが得じゃん」と言ったら、「お、お前はそんな打算的な目的で野菜作りをしているのか!」と怒られました。

土に触れ、自分で食べるものを自分でつくるのじゃ、ということにロマンを感じているらしい。知識はないのに「野菜作りは土作り」とか言ったりする(だからこそ根菜にこだわる)姿は、よくある「田舎暮らしに思いを馳せる男性」そのものです。


話は変わって、先日農家さんから直接お野菜を買わせていただいた際、紫色のえんどう豆が入っていました。ツタンカーメンという品種で、「これで豆ごはんを作るとお米がピンク色になるんですよ」とのこと。

画像1

なに?それは萌える!と、

画像2

超わくわくして豆をさやから出し、オットに「これで豆ごはんを作ると、ごはんがピンク色になるんだって!」と教えたところ、「へー。なんでそんなにまでして米をピンク色にしたいの?」と真顔で聞かれてしまいました。…いや、そこはロマンだよ!


そういえば、かつて「山の図書室」という、「山の風景が間近に見られる部屋で、ただのんびりと読書を楽しむ」をコンセプトにした企画を立ち上げたのですが、オットに「山の中で本を読むっていう企画だよ」と説明したところ、「山の中で?読書?なんで?」と、これも本当に真顔で聞かれたこともあったなあ…。

私とオットのロマンは、かなり隔たりがあるようです。

画像3


ロマン、すなわち「強い憧れ」。

2人暮らしをしていると、こういう「ロマンの違い」があちこちにあって今更ながらびっくりすることがあります。それまで「家族」で行動していたのが、子どもが巣立ったことでそれぞれの思考が際立ってくるのが理由だと思いますが、「ごはんの中に豆が入っている」という状態に「キャー」となったり、ホーローの容器に作り置きおかずを何品も作って「よっしゃ!」と思ったりするロマンは、オットには通じない。

根菜づくりを夢見るオットの思考が、私には理解できないのと同じように。

ロマンを分解していくと、パターンになります。

「保存食をホーローの容器に入れるべし」とか、

「お弁当はなるべくアルミカップを使わずに詰めるべし」とか。

朝は白湯を飲む、とかね。

そして、ロマンの先にはある「カリスマ」がいるんじゃないか、と私は睨んでいます。

画像8

私が今の「暮らし」に目覚めた直接のきっかけは、当時「LEE」という雑誌でモデルをしておられた雅姫さんでした。それまで抱いていた漠然とした「素敵な暮らしぶり」を、そのまま絵に描いたように表現していたのが雅姫さんでした。

あの頃、雅姫さんの暮らしをそのまま取り入れた人は多かったと思います。今も本当に素敵なのですが、当時あの暮らしぶりはそのまま、ロマンであり、ロマンを分解した「雅姫さんパターン」を、みんながこぞって真似しました。

画像5

アンティークのチャーチチェアを買い、小花柄のスモックブラウスを着て、窓辺に花を飾る…そんなパターン。

画像5


そして、オットをはじめとする「田舎暮らしにあこがれを抱く人」の先には、「北の国から」の黒板五郎という究極のカリスマがいるんじゃないだろうか。おそらく。

他にもいろんなタイプの人がいるけれど、みんなそれぞれ、自分なりのロマン(憧れ)があって、カリスマがいて、そこに近づきたい!と思って生活しているのかもしれません。

でも、ロマンは分解したらパターンになるけど、パターンをただ足していくだけではカリスマに近づけないような気もします。

雅姫さんと同じ服を着て同じ椅子に座っても、心の底から豊かな気持ちにはなれないように。


ロマンを抱いたのちに、それを自分の中で取り入れ、単なる真似ではない「私のオリジナル」にしていく、というところが、暮らしを楽しむコツなんじゃないかな。

それが叶えば、自然と豊かな気持ちが生まれて、憧れに近づけたり、憧れを通り越して自分なりのスタイルができていくんじゃないか、と思うのです。

そこにはもう、カリスマはいらないんじゃないか、とも。


画像9


これは、私が生きてきた中で得た、私的な見解です。

人はそれぞれ違うから、いろんな生き方があっていい。家族だって夫婦だって、同じロマンを追いかけてもいいし、てんでバラバラなのも面白いかもしれない。一人を楽しむことだって、視点を変えれば楽しいはず。

だから、若い世代の方たちには、いろんな人を知り、憧れ、パターンを知って、自分自身を研ぎすませ、より良い暮らしを作っていってもらいたいなあ、と思います。答えはすぐには出ないし、私自身もまだ模索中ではありますが、その模索もまた楽しいものですよね。

そして、そのパターンの中に「住んでいる土地を誇りに思い、思いっきり楽しむ」というのも、入っていたらなお嬉しい。

これは究極にして最大の「暮らしを楽しむ極意」だと思っています。


* * *

…いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。おもしろいな、とか、なるほど、と感じて頂けた方は、♡マークの「スキ」を押していただければ、スタッフの励みになります。(スキは非会員でも押すことができます)。「スキ」のリアクションで画像が出てくるようにしてみましたので、押してみてくださいね~。

また、フォローやシェアも、同じようにスタッフの明日への活力となります(フォロワー500人超えました!ありがとうございます)ので、良かったらクリックしてくださいね。

* * *

サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。