素人がインタビューしたら、勇気をもらった話。―「シマシマ編集室」取材記事 ライター:長岡さん
◎2019年5月7日に実施した「シマシマ編集室」取材の記事です。インタビュー内容をそれぞれがまとめ、自分の言葉で綴る、という体験をしていただきましたので、ご覧ください。
まえがき ~謎の焦燥感を持ちながら過ごす日常の中で。
これまでインタビュー、そしてライターなんてしたことが無い素人の私が貴重な機会をいただいた。
30歳を目前にした私は今、謎の焦燥感にかられている。
気持ちとは裏腹に日々は流れるように進んでいく中で、ふと目に止まったシマシマしまねさんの「一歩踏み出すプロジェクト」。今までなら受け流していたところだが、時には緊張する場面に自分を置いてみることで案外楽しめることがあるのかもしれない!と内なるポジティブな私の声に背中を押され、一歩踏み出すことを決めた。
1.森脇さんについて。
今回お話を聞かせていただいたのは、森脇香奈江さん。島根県浜田市に生まれ、管理栄養士を目指して広島県の大学に進学。ドラッグストアに14年勤務した後、松江市の地域おこし協力隊に着任。玉湯町の「八百万マーケット」立ち上げに尽力された。
協力隊の活動の中で、害獣であるイノシシをめぐる問題に直面し、課題解決を目指して、仲間とイノシシ肉の加工品開発などを手掛ける会社を設立。2018年には狩猟免許(わな猟)を取得されている。
森脇さんご自身が、狩猟免許を取得されていることにまず驚く。インタビューの際も、蛍光の黄色とオレンジ色の狩猟ベストを着用したまま、笑顔でハキハキとお話をしてくださった。その姿に森脇さんの優しい人柄や仕事への敬意を感じ、初対面ながらグッと心を掴まれた。
小学生のころに“食”に興味を持ち、中学にあがった時にはすでに志望大学が決まっていたという森脇さん。ドラックストアで多くの方の健康への意識に寄り添いながら、目の前の人に「ありがとう」と言ってもらえるその仕事にやりがいを感じておられた。
それから、ふとしたきっかけで旦那さまの地元である島根県松江市で“地域おこし協力隊”という立場での生活が新たに始まったそう。
2.イノシシをめぐる地域課題 ~まず、現場に飛び込んでみる。
協力隊としての活動を続けるうちに出会った、八雲猪肉組合の方々。現場の話を聞くことで気づいた鳥獣被害による農家の人々の怒りや叫び。そして、環境はそろっているものの猪肉の販売の仕組みがうまくできていない現状。後継がいない猟師の方々の高齢化。さまざまな内情を理解した上で、「今の自分たちはこのまま“モノを販売して終わり“でいいのか?」という考えが頭に浮かんだとのこと。
そこでまず生産者の現場に飛び込んでみた森脇さん。時には罠を張る山へ、時には猪を解体する場面にも同行された。そして、猟師の皆さんと知識、技術ともに対等な立場で話せるようになりたいという考えから、ついには狩猟免許まで取得されたのだ。
あれよあれよと森脇さんの挑戦は進み、今では組合の一人として猪肉を使ったさまざまな企画を立ち上げようとされている。
3.成し遂げたいことが見つかった人は強く、美しい。
正直なところ、ほとんどが初めて聞くような話だった。そしてなにより、約2時間のインタビューのなかで、そんな苦悩も葛藤もずっと楽しそうにお話される森脇さんの人柄に、私は惹かれた。
「これから立ち向かう問題は、解決するのにどれくらいの時間がかかるのだろう。」なんてこちらの心配も、いらぬことだと気付かされるくらい、「自分の人生をかけて成し遂げたい」と思えることが見つかった人は強く、美しく見えた。
販売員当時に感じた喜ぶ人の顔が見えることでのやりがい。協力隊当時にかかげた「人々と寄り添い、一緒に泣いて、喜びたい。」という思い。いままでの経験と出会いの一つ一つが繋がり、今の森脇さんを築いてきたことを知り、私はそれを自分に置き換え、少し安心した。
周りの目を気にして、自分の人生を焦らなくてもいい。きっと今のこの“点”もいつかどこかで繋がって線となるときがくるはず。今は一歩一歩を前に進むことが大切だと、今に焦る自分に勇気をもらった。
インタビューののち、森脇さんが相方の佐藤さんと一緒に企画、加工をしている猪肉ソーセージを食べさせていただいた!添加物など細かなところまでこだわって作られたそれは、変な癖もなく、誰かに紹介したくなる美味しさだった。きっとそれまでに伺ったお話もいいスパイスになったのだと思う。
これまで森脇さんにお会いした皆さんは、モノの価値以上に「この人から買いたい!」と安心を買っているのだろうとも思った。
森脇さんが言うには、アイデアの泉である相方の佐藤さんの頭のなかには、今後作りたい猪肉加工品の構想があと20種類はあるそうだ。これからのお二人のご活躍を応援したい。
ライター:長岡さん / 文責:シマシマしまね
取材日 2019年5月7日
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