「感情労働」に思うこと
#22 人付き合いで1番大切だと思うこと
このお題では、「お仕事での人付き合い」について書いてみたい。
お仕事といっても多種多様だが、主に感情労働で発生する人付き合いに対して、わたしなりの乗り切り方がある。感情労働ってなに?というところから始めてみよう。
お仕事は3つの労働の組み合わせ
大まかに、労働は3種類に分けられる。
肉体労働
体を使ってものを作ることで価値を生む働き方。建設・製造・農林業などの労働には、この肉体労働が多く含まれる。体が疲れる。頭脳労働
頭を使ってものを作ることで価値を生む働き方。士業や研究者、企画・管理・事務などに多く含まれる。頭が疲れる。感情労働
相手に対して働きかける際、自身の感情をコントロールして体験をつくる働き方。サービス業・医療介護保育業などに多く含まれるが、他業界でも職種に左右される。心が疲れる。
3種類の労働形態が切り離されて存在するというよりは、ベン図のように重なって成り立っているんじゃないかしら。
例えばわたしが過去に経験したホテル業での接客系の職種は、自身の体感では【肉体:頭脳:感情=3:2:5】くらい。企画営業をやっているときなら、【肉体:頭脳:感情=2:4:4】くらい。
あらゆる仕事において少なからず感情労働の要素は含まれる。心を使う分、相対する顧客から心遣いを受け取る機会も多く、それをやりがいと感じている方もいるはず。ただ、感情労働の割合が高い場合、自身の感情を常にコントロールする必要があり、心が疲弊しがちなことは否定できない、かも。
感情労働での自己開示に疲弊する
仕事上でも人付き合いをするにあたって、ある程度自己開示は必須だ。これはあくまでわたしの考え。仕事相手や顧客も、どこの誰だか分からない人に時間を預けたくないだろう、なんておしはかっている。
名乗ることから始まり、相手の些細な動きを捉えて、共感をことばで示したり、提案しながらもう少しヒントをねだったり。そうこうしながら必要量で自分自身の体験や感情の動きを共有する。
心を使う仕事では、ものごとに共感を寄せ、顧客の状況に寄り添う姿勢を見せるシーンが頻繁に求められる。相手と自分の状況に大きなギャップがあることもあるが、ポジティブな反応を引き出すために自分自身のなけなしの感情を一部分ずつ差し出して。
わたしの心から切り取って、優しさ・100g・100円です。もし読んでくれているあなたが何かしらの表現者なら、持っている心すべてを差し出さなくては、と感じる瞬間もあるだろう。ぶつかり稽古みたいな状況もあって、心を全部差し出さないと太刀打ちできなさそうな気持ちになることも。そんなとき、自分自身がすり減っていくさまがビジュアルで脳裏に浮かぶんだ。
差し出すのは適正量でいい
わたしなりの感情労働の乗りこなし方。それは、適切な量の自己開示をすること。そして、適正量の加減を決める主導権は自分自身にある、と強く自覚することだ。
例えばわたしのなかの感情が全部で100あったとして、目の前のちょっと難しい顧客に渡す分は優しさから10、憐憫から10にしようかな。言わないよ、言わないし、もちろん相手にとっては100に見えるようにお渡しするテクニックだって使うけど。
またあるときは、感情のなかから10渡したつもりが、思わぬポジティブな反応におまけで5付けちゃった。そんなこともあってもいい。
本物だろうが、おまけだろうが、采配は自分自身だ。相手から求められる量は頭に置きつつも、決めるのは自分でいいよと思っておくこと。ちょっと売りすぎちゃったわ〜ってときは、仕事以外で取り戻してもいいし、感情労働ならではのいいところもあって、知らないはずの誰かから分けてもらえる機会も多くある。
最後に思い出したこと
継ぎ足し続ける秘伝のタレ、みたいなものを思い出す。お鍋の中から大将が目分量で取り出して分け与える。お店ならではの味が続いていくように、ちょくちょく継ぎ足していく。
全部なくなっちゃうと継ぎ足せないからね、うっかり分け与えすぎて「もうあの味はわかりません」にならないようにご注意を。
万が一空っぽになってしまったら、過去に秘伝のタレをお裾分けした誰かが知ってるかもしれないし、レシピを知っている人がヒントをくれるかもしれない。当たってみるといい。
自分自身が決めた量の感情でお裾分けすること。お仕事での人付き合い、今日も頑張っていこうね。
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