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K・ヨシコさん

K・ヨシコさんは、気鋭の刺繍作家です。絶滅危惧種の生き物をテーマに作品を制作されています。

K・ヨシコさん

K・ヨシコさんは、岡山市に3姉妹の第2子として出生されました。名門・岡山県立S山高校では、吹奏部に所属し、クラリネットを担当されていました。

東京の美大に進学し、服飾を専攻されました。卒業後は帰岡されて、アパレルブランドで、生産計画から店頭の営業まで幅広く活躍されていました。栄枯盛衰が著しい業界で、人間関係の軋轢も多くありましたが、3人姉妹の中間子として身につけた世渡り力を生かし、充実したキャリア人生を歩まれていました。

2011年3月11日に起こった東日本大震災のとき、原発事故で環境汚染がクローズアップされたのをきっかけに、地球上のほとんどの生き物が絶滅の危機にあることを知り、それを広く世の中に知ってもらおうと、絶滅危惧種をモチーフにしたアート作品作りを始められました。ほどなく、退職して活動に専念され、現在に至っています。

いくつか、筆者の所蔵作品を紹介します。

まずは、以前紹介したことがある「クロヒョウ」です。

クロヒョウ 2021年 筆者蔵

ネコ科の動物は筋肉がしなやかで、体が液体としての特性を持ちます。野生に生きるクロヒョウの筋肉のしなやかさは、街で見かけるネコの比ではありません。ネコはの体は、パンケーキの生地程度の粘性がありますが、野生のクロヒョウは、さらさらしていて、トマトジュース状です。
野生動物は、実際に見たり触れたり出来ませんので、画像を参考にして制作されるのだそうですが、K・ヨシコさんは、想像力によって野生の動物に触れた質感を見事に表現されます。

続いては、ツシマヤマネコです。

ツシマヤマネコ 2022年 筆者蔵

前脚の体に近い部分から肩甲帯にかけて筋肉が異様に発達してボリュームがあります。座ったときの背中のカーブが崖のように急峻になっていて、肩から下半身がぶら下がっているかのように見えます。まるで、世界水泳の競泳選手のような体格で、普段見かけるネコと峻別されています。

最後はツキノワグマです。

ツキノワグマ 2022年 筆者蔵

ヒト以外の哺乳動物の眼は、全体が黒くて白目がないので、眼の表情が乏しいのですが、K・ヨシコさんは、眼の周りの刺繍糸の流れや色彩を繊細に整えることによって、つぶらな瞳でこちらを凝視するツキノワグマを表現されています。環境破壊を招いた人類を静に告発しているような、哀しい表情に感じられます。
おそらく、制作の参考にされたクマの画像では、クマが撮影者を警戒していたときの表情なのでしょうが、それが忠実に再現されることで成されたアート表現です。

K・ヨシコさんは、アート表現を追求する一方で、発表にも力を注いでおられ、現在、2会場同時に展示会を開催されています。
アートで食べて行くために、アート性に富んだ商品開発にも励まれています。

感じが良くて,生きる力がすごい人、

そ・れ・が、K・ヨシコさん。


追伸
ちなみに、もう一人のヨシコさんは、D・ヨシコさんです。

D・ヨシコさんは、岡山市中区のギャラリー陶佳のマダムで、アーティストたちの母のような包容力のある人です。


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