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週末の夜に倉敷美観地区のカフェ&ギャラリー青い鳥でクロミツ&フィエリーペ中村のライブDuoを聴く

11月12日土曜の夜、倉敷美観地区のカフェ&ギャラリー青い鳥でクロミツ&フィエリーペ中村Duoが開催されました。お二人は岡山に縁があり、クロミツさんは岡山市出身で、中村さんは会場近くの倉敷市東町出身です。それぞれヴァイオリンとギターの熟練奏者で、とても仲良しですが、今回は会場で久しぶりに会ったそうです。

短時間の打ち合わせの後、即興演奏が開始されました。音色の打ち合わせはしていなかったとのことです。予想できないような「化学反応」が期待できそうです。

今は、今は音響機材や演奏支援機材が小型になって携帯できるようになり、手元や足下に機材を設置して、ライブ中でも奏者自身が機材を操作しながら演奏ができるようになっているみたいです。楽器も電子化されていて、音圧やエフェクター効果や音色の調節が即興で思うがままです。

曲目は、クラシックあり、ジャズあり、アフリカ音楽へのアレンジあり、インド風の曲ありと、ワールドワイドです。フェリーペ中村さんご自身が作曲されたブラジル風のゆったりとした楽曲も披露されました。いずれも旅愁漂う哀しい旋律をベースに、馴染みのあるポップな感覚が味付けされています。お二人の演奏は、一期一会の化学反応であり、会場はラボ(実験室)になりました。

とても小さな会場なので、演奏者と観客との距離がなく、休憩時間は客席との掛け合いトークで盛り上がります。
観客の一人に、外務省に長く勤務されていたHさんがおられました。Hさんは、かつて駐在していた国々の空気感を思い出した、と絶賛されました。Hさんはさらに、演奏は、例えば英語で「play」、フランス語で「jouer(ジュウ)」と言うように、どこの国のことばでも「遊ぶ」という意味なんだ、だから音楽はこのように、即興で掛け合いをして、いろいろ試しながら楽しむのが本来の姿なんだ、とコメントされました。

筆者も今夜のライブは、リハーサルを繰り返して、いかに楽譜に忠実に演奏するかを極めるクラフト的な世界ではなくて、あえて打ち合わせを充分せずに不確実性を入れ込んで、思わぬ表現が出てくるのを楽しむ、アート的な世界だと思えました。今は、音楽家の創造性を支援する機材が進化し、エンジニアを介さずに使えるようになって、いよいよ音楽本来の、遊ぶ時代が到来したのだ、と、認識させられました。

追伸
お二人ともソロ演奏のときは、緊張した面持ちで集中されていて、音には、さすがプロだと思わせるシャープさを感じました。

クロミツさんのソロ演奏
ソロ演奏中のフェリーペ中村さん

フェリーペ中村さんは、話術もすばらしく、実力があるのになかなか業界で認められないという自虐ネタで会場を和ませてくれました。
筆者は関西出身なので、何十年ぶりかで「芸は一流、人気は二流、ギャラは三流、恵まれない天才、上岡龍太郎です」というフレーズを思い出し、思わず、ふふっ、と鼻息が出てしまいました。

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追記
画像は、カフェ&ギャラリー青い鳥マスター、田口哲男さんに提供していただきました。

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