刺繍をはじめた話
突然だが、私は1度復職に失敗している。
再びメンタルが壊れたとき
メンタルぶっ壊して1ヶ月ほど休職して戻ろうとしたけど、その途中でまた追いつめられる出来事があってから再び「死にたい」欲が出てきてしまった。
夜、何度も飛び降りようとベランダに出て下を見つめるけど、さすがに車に直撃したら申し訳ないし、この程度の高さじゃ大けがして終わるかもしれないし、そもそも骨とか肉とかバキバキに出た汚い状態で死にたくないし…と思い、踏みとどまる。自分の意志で勝手に死にたいと言っておきながら綺麗な姿で死にたいなんて、なんて都合の良い奴。。とまた自分を責める無限ループに入る。
そして、また何の感情も無いのに涙がぼろぼろと止まらなくなり壊れてしまった私は、1週間ほど実家に帰ることにした。
最初はとにかく布団からなかなか動けなかった。そして、私の中に蓄積されてしまったとりとめのない話を母に聞いてもらった。私のしゃべり方的に、「ずっと話が終わらない」から、本当に病んでるんだなあと母は思ったらしい。
はじめてのクロスステッチ
そんな中、母と買い物に行ったときに
「なんか黙々と集中できることやってみたら?」
とすすめられたのが刺繍である。
母が最近ハマっているのは知っていたけど、どうやら結構楽しいものらしい。針と糸を扱うのそんなに得意じゃないんだけど大丈夫かな…と思ったが、「頭良いんやけん大丈夫やろ!」と言われ、とりあえずお店を見てみることに。
クロスステッチだとたぶん不器用な私でもできるのではということで、目の大きい6本取りのクロスステッチキットを買ってみた。
最初はよく分からないので母に教えてもらって、しばらくすると軌道に乗って黙々と作業できるようになっていった。
嫌な考えとか不安とかも忘れて、無心でちくちくと針を刺していくと、ずっともやもやでいっぱいだった頭の中が、スッ…とクリアになったのである。
指定された位置に指定された色を入れていくと、だんだん綺麗な模様が浮かび上がってくる。非常に達成感を感じた。達成感を感じるなんて、いつぶりだろう。
やってもやってもうまくいかない、割り込みがあったり邪魔が入ったりで最後まで作業が終えられない、というところでストレスを感じてしまっていた私にとって、「正しくやれば完成させられる」刺繍は自信を取り戻す効果を最大限に発揮してくれることに気づかされた。
刺繍が与えてくれるもの
もう少しレベルを上げてみようと、今度は2本どりの目が細かいものを2作品作ってみた。
1個目はミモザ、2個目はカランコエ。かなり細かくなって時間はかかったけども、こちらも黙々と縫っていき美しいお花を咲かせることができた。
ちくちくと針をさしていくと浮かび上がってくる花模様に、心の中で「おお~」と思いながら感動する瞬間、やはり達成感がある。1日1日できる時間でコツコツと針を進めるのが、楽しみになった。
本来、仕事もこんな風に何かしらの達成感を得ながら進めていけばうまくいったのかなと思う。
とてつもないことに対するプレッシャーに負けて、いつも周りより自分はできないと思い込んでしまって(それに至るまでには過程があったけども)、自信を失っているときは完全に正常ではなかった。
心を殺して頑張り続けた結果、身体が悲鳴を上げだして、それにも蓋をした結果すぐに再起できないところにまでなってしまったのである。
そんな私に、本当に心から「できた」と思える「達成感」を再び与えてくれたのが刺繍だった。
この状態で新しいことをやってみるのって「失敗」を恐れてしまう私にはかなりリスクだったのだけど、これはやってみてよかったなと思った。
そして、なんか嫌なことがあってもこれをやれば達成感を得られる、という新たな選択肢を手に入れることができたのである。
集中力もつくし、本当に復職へのリハビリとしてもってこいの作業となった。
基本ステッチ8種への挑戦
インスタで、とてもかわいい刺繍アクセサリーを作られている方の作品を見つけたのをきっかけに、クロスステッチの次は本格的に刺繍をやってみたいなと思うようになった。
普通の刺繍だとトレーシングペーパーで絵を写して…という少しハードルが高そうな作業があったので(どんだけ不器用)、これならできるかなと思い、「100ネエサン」のお試し版を買ってみることにした。
本来はカットクロスに100人のネエサンがいて、ネエサンを刺繍や布ペンで着飾っていくというものだが、さすがにほぼ初めてだし、お試し版で8人のネエサンで基本のステッチを学んでみることに。
8種の基本ステッチで各ネエサンを着せ替えさせていくのだけど、針と糸で多彩な表現ができることに感動した。
結構難しいやつも多数あったのだけど、今の私は「最後までやる」という達成感を求めていたので、練習だと思って前向きに取り組むことができた。
左から3体目のレジ―デイジーステッチとかは最初全く意味が解らなくて何度もやり直した。そのすぐ隣のチェーンステッチなんかは途中までちょっと縫い方間違えてて途中から修正したし…。反省点は正直たくさんある。
でも、全然落ち込まなかった。
まだまだ不格好ではあるけど、普通にこれはかわいいし、めっちゃくちゃ良い練習になったと思う。
そう思えてきたので、だいぶ精神的に調子も良くなってきたのかな、と感じられた。
基本こういう反省しないといけないときってめちゃくちゃ落ち込んでしまうのだけど、今回は楽しかったから「また次もっと上手にやろう!」と思えた。
これからも刺繍を続けていきたい
そんな感じでいつか刺繍で何か作れたら良いなと思うくらいには刺繍にドはまりしてしまったので、今度は正式な100ネエサンのカットクロスを買ってみた。難しそうだけど、自分が普段できない格好とかを刺繍でやれるのもとても楽しみである。
新たに得た「趣味」である刺繍。
きっとこれからもたくさんの「できない」困難にぶつかるであろう私を救ってくれるに違いないと思う。
せっかく出会えたのだから、長く刺繍ライフを楽しんでいきたい!
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