団子の気持ち……🍡🍡🍡

 どうしたの、ため息なんかついて。
 だって、せっかく、やわらかいうちに買ってくれたのに、おやつじゃなくて、夕飯のときに食べるんだって、みたらし団子さん、どう思う。
 あんこさんは、夕方まで、やわらかいままでいられると思う。
 さ、さあ、時間が経ってみないとわからないわね。
 あたしたちは、おいしく食べてもらおうと、職人さんたちが朝早くから作って、お店に並んでいるけれど、お米の粉だけでできているから、時間が経つと固くなっちゃうのよ。
 本当にね、できたてのぼくは舌でつぶせるほど柔らかいんだと。
 あのお客さんはいつも買いに来てくれる車椅子のお客さん。
「このお団子は、余分なものが入っていないから、あんしんしてたべられるのよ」
「そうだね、歯がないあたしでもかみ切れるから安心よ」と車椅子を押しながらおかあさんが言った。
 親子だけどお年寄り。
 柔らかいうちに食べてもらいたいなぁ。

 なるべく寒いところに置いておけば、夕方でも大丈夫だよ、きっと。
「食べよう、食べよう、あたしはみたらし2個ね。おかあさんはあんこが2個ね」
「3本だからね、仲良く食べよう」
「ちょっと歯ごたえがあるかな」
「やっぱり、買ったら早く食べたほうがいいかもね」
 ああ、よかった。安全に食べてもらえたよ。
 また買いに来てね。
 お待ちしてます。

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