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第1話:インディーズ出版とは!?

事の発端は、倉貫さんと仲山さんのポッドキャスト「ザッソウラジオ」に呼ばれたことだった。

仲山さんを通して、お互い存在は知っていたものの、ほぼ初対面で、収録中に倉貫さんから「相談したくなりますね」といったコメントがあったのだが、完全に社交辞令だと思っていた。
ところが、収録後早々に連絡があり、「何か一緒にやりましょう」とお話をいただいた。「何か」のイメージが全く付かず、リアルで会ったこともなかったのに、なぜか即承諾してしまったことから、この話は始まる。

1ヶ月ほど経ったある日、「出版事業を立ち上げようと思っており、すでに初稿的なものもできている」と共有される。
前述のとおり、全く知見がないので知らなかったのだが、一般的な出版社から書籍を出版すると、どの書店に何冊置かれるかは、その会社のルールで自動的に決まり、著者の知るところではないらしい。
また、ビジネスモデル上、できるだけ早く初版を売り切ることが最優先されるため、販売戦略は限られるように見えた。

概ね、ここまでを「へぇー、そうなんだぁ」と、他人事として聞いていた。

「そこで、インディーズバンドがCDを売るイメージで、立ち上げから手伝ってほしいんですよ。」

私からすれば、「え?」とか「は?」と反応するので精一杯である。
たしかに、倉貫さん・仲山さんが音楽に明るくないのに、ザッソウラジオでインディーズバンドの話を強行したのは私だ。

しかし、一つ言っておきたいのは、インディーズバンドが好きなだけで音楽業界で働いた経験はなく、自分で言っておきながら、「インディーズ」の言葉の定義さえ曖昧である。

何がやりたいのか擦り合わせるため、双方が知っている内容で例え話ができないか、それはそれはチープな言葉のキャッチボールが始まった。
今思えば、これを好きと言うと引かれないか不安に思いながら、徐々に自己開示していく様は、陰キャの中学生が友達を作る時に近かったかもしれない。
腹の探り合いの結果、結局、倉貫さんと私の共通項は、BECKという漫画しか見つからなかった。しかも私は未読であった。

この方法での認識合わせは諦めモードになったので、とりあえず、「ライブハウスにデモテープを置いてもらって、口コミで売れていく感じですかね。」、「サブスクでも音源出してなくて、ライブに来ないと聞けない、みたいな。」、「はじめからタワレコに置いてもらうよりディスクユニオン目指そう、っていうイメージですか。」、「大手レコード会社からスカウトが来ても断る感じで。」、「紅白歌合戦には出ません、とか。」などと思いつく限りの、インディーズバンドの好きなところを列挙してみた。
音楽に明るくないはずの倉貫さんの反応は悪くなかったので、なんだかいけそうな気がした。

この列挙をしていた時に、気付いたことがある。
例え話として喋れば喋るほど、私は、音楽業界のインディーズの仕組みを理解していない。音楽業界と出版業界は違うので、かなり遠回りになってしまうが、いったんちゃんと調べよう。中2病を拗らせた感じになるから恥ずかしいけど、自分の考えを整理するためにも資料を作ってみよう。
こうして、本題とは遠くかけ離れた資料をメンバーに共有する勇気を持てたのは、ザッソウラジオのディレクターがオタク女子マーケを観察している人で、興味を持って聞いてくれたからだ。これまでの私なら、自分一人で留めていた資料なので、この場を借りて感謝を伝えたい。

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