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見える世界を変えたいと望むなら抽象化を身につけて 『細谷功 具体と抽象』

「一を聞いて十を知る」という言葉があるけれど、たった一度の経験から多くのことを学ぶ人もいれば、何度も似たような経験をするしかない人もいます。一体、何が違うのでしょうか。

具体的な経験から抽象化できるかどうか、そして抽象化された概念を別の具体的な事項に当てはめて考えることができるかどうか、そこに違いがあるのです。そんな具体と抽象について書かれたのが本書です。

『メモの魔力』というベストセラーの中で言及されたことで、改めて注目された本です。本書は、本当に人生に役に立つ本ではないかと思います。

抽象化レベルが合わない人との対話は難しい

話をしていて、どうにも話が噛み合わないときがありませんか。もしかすると、それは見えている視点が違うからかもしれません。視点の高さの違いとはなにか。それが抽象化のレベルの違いです。

抽象の世界に足を踏み入れてしまった人は、その世界が見えていない人にいらだちを覚えます。「表面事象」でしかものをとらえられない部下に不満を持つ上司がその典型です。あるいは逆に「前例」や「数値目標」という具体的なものでしか判断しない上司にいらだつ部下も同様です。

抽象化というのは、ものごとを大雑把に捉えることであり、その本質の部分以外の枝葉末節については切り落として理解する思考の方法です。また、いくつかある実体をグルーピングして、一つにまとめて考えることでもあります。抽象化することで話が早く伝わったり理解できるようになります。

そもそも動物と人間の大きな違いが、抽象化できるかどうかだと本書では伝えています。言語や数字を扱うのも抽象化できるからです。しかし、抽象化にはレベルがあります。より高度な抽象概念を知ってしまうと、それを知らなかった自分には戻れません。抽象化を知ることは不可逆なプロセスです。

というように、この記事でも非常に抽象的に書いてますが、これがよくわからないと思う人もいれば、伝わる人には伝わるはずで、これが抽象的のレベルの違いです。

抽象化が得意な人の特徴とはなにか

色々な人と話をする機会がある中で、頭が良いなと思う人に共通するのは、言葉尻を捉えるのではなく文脈や全体感から理解して話ができる人で、自分が理解したり相手に理解してもらうための例え話がとても上手な人です。それらも抽象化の能力の賜物でしょう。

『宇宙兄弟チームの話』の感想でも書きましたが、フィクションの小説やマンガを読んだり、映画やドラマを見たりするだけでも何かしらの学びを得る人も、抽象化が得意だと言えるでしょう。学びの質や多寡はあれど、どのように受け取るかはその人次第です。

ある程度の規模の会社を経営する経営者の人たちには抽象化の能力の高い人が多いように思います。会社には幾つもの機能があるのでまとめて考える必要があります。また、事業というのは、つまるところ概念の世界なので、抽象化できないと成立しません。

また、プログラマの世界では抽象化の能力が高くなければ優秀なプログラマにはなれません。プログラミングとは、コンピュータの動きを抽象化して表現することで、様々な条件や状況に応じた動きを設計することだからです。抽象化が下手なプログラマの書くコードは美しくありません。

どうやったら抽象化は鍛えられるのか

抽象化を身につけることで、物事の本質を掴みやすくなるでしょう。そのスキルはビジネスだけに限らず人生の様々な場面で活用することができるはずです。

現代社会において、抽象化する能力を持った人たちが有利になるような社会になりつつあります。人類の文明は、抽象化された概念が折り重なるように出来上がってきているからです。

では、どうやって抽象化を鍛えれば良いのか。まずは抽象化について気付くところからです。詳しくは本書をご覧ください。

抽象化に興味を持ったら、ぜひ上のリンクから買ってくださいね。

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