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テレワーク導入の悩みを、仮想オフィスで解決

先日、BSテレ東の『日経プラス10』という番組に出演させてもらいました。

緊急事態宣言が出て、出勤者を7割減らすことを要請され、多くの企業が急遽求められたのが、会社に行かずに働くテレワークです。しかし、ある調査によると、テレワークを実施している中小企業はごく少数で、あまり浸透していないのが現状。
「仕事がテレワークに向いてない」「社員同士のコミュニケーションが心配」などハードルが。そんな中、本社オフィスを撤廃し完全テレワークを実現する企業が注目を集めています。全社員が自宅などから仮想オフィスにログインして働きながら、それでも成長を続けています。見えてきたテレワークの課題を先駆者と解決策を探ります。

ということでしたが、この情勢下もあり、自宅からリモートで出演させて頂きました。スタジオ側とZoomで繋いで出演です。挑戦的な試みでした。

そこで話をした内容をメモ代わりに残しておきます。番組上「テレワーク」で話してますが「リモートワーク」と同じです。

質問:倉貫さんの会社は完全リモートなんですか?きっかけは?

今は全社員がテレワークをしていますが、創業当時の10年前から少しずつテレワークを導入していき、徐々に社員が増えていく中で、2016年には社員の半数以上が地方に住むような状況になりました。

そこで社員同士がコミュニケーションをしやすくするために、全社員テレワークに揃えました。そのタイミングで、渋谷にあった本社オフィスは解約してしまいました。

質問:テレワークの現状、大企業であればあるほど環境は整っているが、中小企業がテレワークできていない現状、どう思われますか?

もちろん業界業種によってはテレワークが困難なものはあります。実際、医療や物流に携わって頂く方には感謝しかありません。一方、可能な業種であっても準備できていなかったというのはあると思います。

テレワークを始めると試行錯誤がいるので一定の生産性は落ちます。これは自転車に例えるのですが、乗り始めはコケたりフラフラしたりして、今まで通り歩いてる方が早く見えるものです。しかし慣れてくると、やっぱり自転車の方が早くなるのです。自転車理論と言ってます。

一時的に生産性が落ちることは許容した上でチャレンジすると良いです。

質問:自転車でいえばフラフラしないまで、どれくらいかかりましたか?

私たちの場合は、全社員テレワークまで5年くらいかけて試行錯誤してきました。当時は技術が未成熟だったこともあり難しかったですが、今なら技術や環境に関しては揃っているので、真剣にやれば1〜2ヶ月もあればできると思います。はるかに導入しやすくなっています。

質問:コミュニケーションの難しさについて、以下のケースどうしましょうか?

中小企業に務めるAさん、育児も考えてテレワークを選択。しかし、上司と同僚は毎日出勤しています。そうすると疎外感を感じるし、確認不足からミスが出てしまい、生産性が落ちるので、結局出勤することになりました。

これはよくあるケースです。テレワーク導入の際に「選択制」にするというものです。「テレワークしてもいいよ」というわけですが、それを言うのは偉い人で、その人たちはハンコ仕事があったり、慣れていたりして出社してしまう。そうすると、つられて出社する人が出てきてしまいます。

テレワークしている側は、テレワークならではの困ったことがあっても、「テレワークさせてもらっている」という意識があるので、自分から改善要求を出すのは難しいものです。

だからこそ、全員一斉にテレワークに取り組むのが大事になります。

質問:営業職などテレワークできない仕事はどうしますか?

営業職だと、やはりお客さまのところに行ってナンボみたいなところはありますが、昨今の外出自粛の状況では客先に行っても人はいないという状況になって意味がありません。

そもそもアポイントなりお約束が取り付けられるなら、最初からテレビ会議でお話させてもらうことは可能です。実際、私たちの会社ですと、初回からテレビ会議でお話させてもらっています。

なによりも会社の経営スタンスとして、セールスに力を入れるよりも、マーケティングに注力することで、売り込みでなくお問い合わせを頂けるようになれば、テレビ会議の提案も出来るようになります。

質問:上司としてはサボってるんじゃないかと心配になりますが?

サボっているのではと心配になる方もいらっしゃると思いますが、そもそもオフィスにいてもサボっているかどうか把握はできてなかったはずです。椅子に座ってコンピュータに向かっていても、その中までは見えないのですから。つまり、それなら今までも実質は管理できてないのです。

管理職の仕事は、チームで成果を出すこと、成果の出る仕事を渡して、成果が出るようにサポートすることです。それはオフィスにいても変わりません。なにより、人間関係や信頼関係を築く方が大事だと思います。

質問:逆に、働きすぎちゃう人はいませんか?

はい、家で仕事するということで、メリハリがつかずに働きすぎてしまう人はいます。なので、サボっているかを心配するよりも、働きすぎてしまっていないか、ということを管理職の人はしっかり見ていく必要がありますね。

質問:実際に、倉貫さんの会社でどのようなコミュニケーションをとられているのか、仮想オフィスの様子を見せていただきます

物理的なオフィスがないので、仮想空間にオフィスを作って出社しています。全員が仮想オフィスで働いています。

質問:これは皆さんが出社されている状況ですか?

そうです。ほぼリアルタイムで今働いている状況をお互いに見ることができます。実際に働いている様子が見えるので声をかけやすくなります。

質問:勤務時間の管理というのは接続してる時間ですか?

勤怠管理については、これとは別にコンピュータのログで把握できるようにしています。仮想オフィスは管理のためというよりも、コミュニケーションをしやすくするためのものです。

自分の席が用意されていて、そこに独り言を書いたり、挨拶をしたり、他にはオフィスだとよくある「ちょっといいですか」と声をかけることもできます。

質問:「ちょっと集まって」みたいに呼びかけたりもできるのですか?

はい、自分の席に集まってもらって相談したり、そこから軽く打ち合わせしたければ、テレビ会議をすぐに始められたりします。

質問:普通のオフィスみたいに、予定を決めた会議もできるし、ちょっとした会話をしたり、誰と誰が話し合ってるかという様子も見えるわけですね。

そうですね、社内の雑談や会話の様子が見えるようになっていることで、そうした雑談にも入っていけますし、安心感もあります。

テレワークでコミュニケーションがしにくくなるのではないか?という心配ですが、テレビ会議なら決められた時間で会話できますが、それより「ちょっと相談したい」「ちょっと見てもらいたい」みたいな会話が難しいところが課題になります。仮想オフィスは、それを解決するツールになっています。

質問:1日のスケジュールはどんな感じでしょうか?けっこう早くから活動されてますね。夕食が19時というのは、早い方ではないでしょうか。

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私の場合は、経営者という立場もあるので、けっこう長めに働いています。夕食も仕事が終わると、すぐにリビングに移動するだけなので。通勤時間がゼロだからです。

質問:ときどき、飲みに行ったりというのは?

会社の仲間との飲み会については、テレビ会議の延長で、リモート飲み会というのもやったりしています。

質問:社内整備についてはどうでしょうか?

会社からの要請でテレワークすることになったBさん。自宅のWifiだと、業務用の通信には堪えられることができません。それなのに会社からの補助もなく、仕事に支障が出てしまっています。

環境がない場合は導入ハードルは高いものになります。とはいえ、パソコン、Wifiなどは、場所が自宅というだけで会社のために働く業務なので、業務に必要な機器というのは会社が用意するのが筋でしょう。実際、コストが掛かり大変ですが、この状況が続くのであれば必要な投資だと思います。

質問:ハンコ文化みたいなものはありますが、どうしますか?

なかなか難しい問題ですが、まず社内でのハンコに関しては、クラウド化でペーパーレスを進めて紙をなくして、電子決裁の仕組みを入れることで完全になくすことは出来ます。その方がセキュリティも高まります。

電子契約のサービスを使うことでお客さまとの契約書についてもハンコは不要にできます。あとは、どうしても官公庁向けの書類などにはハンコは必要ですが、通常業務においては相当に減らすことはできるでしょう。

質問:セキュリティに関するトラブルなどはないものですか?

セキュリティに関する取り組みは、テレワークだからということでなく、オフィスであっても大事なものです。多くの漏洩の原因は、社員のリテラシーの部分だったりするので、セキュリティ教育を徹底することが大事です。

また、トラブル時の連絡体制を整備することなども事前にしておくべきでしょう。

質問:あらためて仮想オフィスに驚きましたが、こちらは御社で作られたのですか?社員30人ほどの会社だと月の管理費はどれくらいになりますか?

はい、自分たちが全社員テレワークをするにあたり必要になって作ったものです。やはりテレワークに取り組む多くの企業さんからのニーズがあり、サービス提供させて頂くことになりました。

ユーザ数に応じて変わりますが、11人〜50人であれば月額7万円で利用することができます。

質問:もはやテレワーク導入せざるを得ない環境ですが、日本の職場環境はどのように変わっていくとお考えですか?

多くの方が、今回の件で通勤しない働き方を体験してしまいます。そこでなんとか問題なく仕事ができることがわかってしまった場合、それ以降になると「なぜオフィスにいくのか?」ということが問われるようになります。

オフィスに行かなくても、自律的に働いて、生産性も高い状態になっていき、それが当たり前の状態になれば、それは日本の生産性が大きく向上することに繋がりますし、それは希望があることだと思えます。

質問:今回のことで働き方の見直しを余儀なくされるということですね。無駄な仕事も省かれていくと?

はい、もちろん無駄なものがなくなり、本質的な生産性が高まっていくと思います。そうなれば良いなと思っています。

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