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僕はそれでも野球を続けた / 中学野球編①


母親が教えてくれた「プロ野球選手になる方法」

それは

いい高校に入ること

だった。


おお!そうか!!確かにいい高校に入って甲子園にでも出たらプロになれそうだ!!

そう思った自分は母親と話して、いい高校に入るためにまず野球のレベルの高いチームに行った方がいいこと、硬式野球を早くからやっていた方がいいこと、などを踏まえて中学校の軟式野球部ではなく、地域の硬式野球クラブチームに入ることにした。

いくつか候補がある中で、1番厳しくて1番強い強豪である「瀬谷リトルシニア」に入ることに決めた。

もちろん周りには反対された。少年野球ですら試合に出ていなかったし、何より内気な性格だったこともあると思う。

それでも自分は自分の可能性を信じていたし、嫌われていたから試合に出ていなかっただけでバッティングと脚の速さと肩の強さには自信があった。

だから正当に評価してもらえさえすれば可能性もゼロでは無いと思っていたし、たとえ試合に出れなくても厳しい環境に身を置くことで自分のレベルアップには間違いなくつながると思った。

入団した瀬谷シニアには
2つ歳上の3年生に、現在東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーしている鈴木翔天さんと、藤井聖さんがいて、

1つ歳上の2年生には、横浜高校→日体大→東芝でプレーした北山比呂さんがいた。

お三方とも、中学の時からすごい上手かったし、ほかの先輩方や同期もみんな上手かった。自分がその場にいる場違い感は否めなかったが、

「俺も先輩たちみたいになれるように頑張ろう!!」

と意気込んで家から約30分ほぼ毎日自転車を漕いだ。


まぁ、この前置きから皆さんもお察しのように、次に来る文は「しかし、現実はそうではなかった…」というものである。


自分は入ってすぐ、5月か6月ごろにイップスになった。
イップスとは、すごく簡単に説明すると脳と神経が多分過去のストレスで過敏に反応してしまって、動作を行うときに拒絶反応のようなものが起き、思った通りに身体を動かせなくなってしまうこと。である。


最初はそれがイップスということも分からずにただコントロールが全然定まらないな。と言う程度だったが、おそらく投げ方はイップスによりおかしくなっていたため、肘を痛めた。野球肘と言われるもので、軟骨?が剥離骨折をしていた。

自分がイップスなんだと認識するのはまだ先のこと。



夏休みだったから8月ごろだったと思う。
いつものように自転車を漕いでいた。自転車のギアを変えたときにうまくギアが変わらなかったがそのまま立ち漕ぎをし続けた。ちょうど左足が上にあるときに勢いよくギアが変わって左足がペダルから落ちた。

という記憶しかないのだが、自分でもよくわかっていない。

涙が出るほど痛かったが、とりあえずグラウンドまで自転車を走らせた。


これ以上ケガでプレーできなくなるのは嫌だったし、グラウンドについて着替えを済ませたが、限界だった。

「足が痛いです」とコーチに報告をし見せた足首はボールが足に埋まっているのかと思うほど腫れていた。

その日はすぐ帰してもらい、接骨院に行った。その当時は整形外科も接骨院も分からなかった。

そこでの診断は打撲と捻挫で、簡易的な固定をしてもらい、松葉杖で生活することになった。


この時のことはあまり覚えていないが、松葉杖が外れた時はとても嬉しかった。しかし、そこからが長かった。

松葉杖があった頃は誰も何も言わない。ただ、松葉杖も固定も無くなった自分は「本当に怪我をしているのか?」という目に晒された。

自転車を漕いだりする分には痛くないが、走るのだけとても痛かった。

だからチームメイトからは「バックれてる」「サボってる」などと言われることが多くなっていった。身体も痛いし、心はもっと痛んだ。


足首を怪我してから1年が経とうとしていた。しかしまだ足首の痛みは取れなかった。

そんな時に先輩が大きな病院で診てもらって肘が良くなった、という話を聞き、その病院で診てもらうことにした。


どうやら、その怪我をした時には骨折していたらしい。そして、成長期だったため骨がくっつく時に元の形よりポコっと飛び出るように治癒したらしい。
それが引っかかる形になって痛みが出ているとのことだった。

だから最初は痛いけど、やっていくうちに痛く無くなっていくと言われた。

記憶が曖昧だから本当にこう言われたのかは分からないが、当時の自分の解釈としてはそうだった。


そしてようやく次の日から練習に参加することになり、最初はかなり痛かったが時間と共に痛みは無くなっていった。

こうして自分は1月に立てた目標である「完全復帰」を達成した

瀬谷シニア 毎年恒例の書き初め


はずだった。



次回、中学野球編②に続く…

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