二軸の現実
今すぐ死ねたらいいのに。
一緒にいる間、実はそんなことを思っていた。
なんて、小説だったらかっこいいけど。
本当は何も考えてなかった。
世界は満ち足りて完璧で、何も言うことが思いつかなかった。
終わるなんてことも思いつかなかった。
あなたがいかに傲慢で冷たくて、哀しいほど寂しい人であっても、私はあなたと居られるだけで全てが完成されて安全な世界にいた。
現実的じゃないほど美しく胸を打つ夜景を前に、夢は現実のように過ぎ去って、その時が迫って来る。
でも記憶の中にあれば、永遠でしょう?
何よりも美しい永遠の愛。
肉体が伴わなければ真実じゃないって言う?
私はそうは思わない。出来ることと出来ないことがあったのは、世間の常識じゃなくて私の心の声が決めたから。
ただ、やり方が分からなかっただけかもしれないけど。
心の中を見せられたらよかった?
でもそれが真実だったかどうかは、あなたにも分かってたでしょう?
紛れもなく真実だった。
確かに現実の中に在った、夢のような至福の時間。
そうしてやがて夢は覚めるもの。
現実に帰るの。
さあ、起きなくちゃ。
私とあなたと、異なった時間軸の中に。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?