若い頃からずっとひとり暮らし
ひとり暮らしの三パターン
多くの人はいつかひとり暮らしになります。今は夫婦二人で暮らし仲睦まじくても、同時に手を携えてあの世にはいけないでしょう。つまりどちらかが残されるのです。
ひとり暮らしもそれまでの状況により、違うので一つずつ見ていく事にしましょう。
若い頃からずっとひとり暮らし
若い頃から長年ひとり暮らしを続けていると、まず自分のことは自分でできます。もしくはしてくれるサービスを知っています。友人の大切さもよくわかっています。また年を取る不安もいちばん持っていますので、いざという時の準備はいちおう考えているでしょう。落とし穴があるとしたら、わかってはいても自分はまだ若い、大変になるのはまだまだ先のことだと思っていることです。風邪をひいたり、足をくじいて動けなくなった時に、はっと気づく人もいます。
一人で暮らすということは、スペースも時間も一人で思い通りに使えます。また誰に遠慮することもなく、どこで何を散らかそうと自由です。文句を言う人はいません。脱いだ服が山のようになっていても、掃除をしなくても、ほこりで死んだ人間はいないと開き直ることもできます。つまり自分がよければそれでいいということです。
家族で暮らしているとそうはいきません。どこかで互いに譲り合わないとトラブルになります。家族から「少しは片づけて!」と責められると、ひとり暮らしは気楽でいいなと思われるでしょう。しかし、その「人の目」のないひとり暮らしの気楽さがものを増やし、片づかない(片づけない)原因になっていることもあります。
対策としていちばん簡単なのは友人を招くことです。そのためには…少しでも家の中を片づけますね。いくら親しい友人でも、招いておいて、けもの道のように服や本のすき間を歩けとはなかなか言えないでしょう。わざわざ友人を招くなんてことをしなくても、ちょっと片づければ済むことではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。いえいえ、片づけられる人はそもそもこんな状態には陥らないのです。
友人を呼んで、自分にプレッシャーをかける。たとえて言うならば国内で進まない問題に外圧をかけるようなものです。友達が来るとなると、「いつか片づけよう」では間に合いません。来客があるその日までに何とか片づけようと努力するでしょう。
実際、ひとり暮らしで老前整理をはじめようとする人にアンケートをとると、動機の上位に「友達を呼べるようにしたい」という回答がきます。
家に友達を呼べばゆっくり話ができるし楽しいということももちろんありますが、それだけではありません。一度来てもらえば、急病のときに助けてねと頼むこともできる。一人で寝込んだらという不安もこれで少しは軽くなるし、部屋も片づくという一石二鳥です。
片づかない人とは反対に、うちは「すっきりピカピカ」という人もいるでしょう。つまりひとり暮らしは自由であるだけに、その人自身の状態が住まいに表れます。以前はきちんと整理整頓ができていたのに近頃は難しいという方は、体調が悪い、忙しすぎる、ストレスが溜まっているなど、原因を考えてみてください。
『心と暮らしを軽くする「老前整理」入門」2014年 NHK出版より
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