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「カスタマージャーニーマップ」マーケティングの基礎セミナーの原稿から

「マーケティングの基礎セミナーの原稿から」の第6弾、今回で最後です。今回は「カスタマージャーニーマップ」のフレームワークについて解説します。

カスタマージャーニーとは

マーケティング4.0ではネット時代にあわせて「お客さまを感動させて、忠実な推奨者にすること」がマーケティング施策で重要なポイントになります。

製品そのものの価値や社会的価値だけでなく、その製品に関係するさまざまなお客さま体験が評価されるようになったのです。

お客さまは感動した体験をソーシャルメディアなどを使って他者に推奨しますので、その影響は大きくなりましたね。

企業は商品だけでなく、お客さまサポートやホームページなど、さまざまなお客さま接点で一貫性のある体験を提供することが重要となってきました。

そのためにお客さまの行動と企業との接点を洗い出して時系列に並べる「カスタマージャーニー」が注目されるようになりました。

「カスタマージャーニー」は企業とお客さまのさまざまな接点でのお客さま体験を棚卸しします。マーケティング施策を設計するために、時系列でお客さまとの接点(タッチポイント)を並べ、その時々のお客さま体験をお客さま視点で設計していきます。


カスタマージャーニーを作るメリット

カスタマージャーニーを作るメリットは、次のとおりです。

  1. 提供している価値をお客さま目線で理解することができます

  2. 思いもよらない課題や機会を発見することができます

  3. できていることと、できていないことが鮮明になります

  4. すでに認識している課題の原因を整理したり、時系列、横断的に理解することができます

  5. 出てきた課題から、お客さま目線で改善策や施策をつくることができます

  6. マップを関係者で共有することで一貫性のあるブレないお客さま体験を提供できるようになります。


一貫性のある顧客体験が必須なわけ


お客さまはさまざまな接点で企業とつながるようになりました。ネガティブな顧客体験は、SNSで拡散され、ブランドは簡単に毀損します。

そのためにも、一貫性のある顧客体験が必要であり、カスタマージャーニーマップを作成して関係者と共有することで、一貫性した対応ができるようになります。


企業目線と顧客目線

カスタマージャーニーを作るときに気をつけなければならないのは、お客さまの行動を企業側の目線で都合の良いように作ってしまうことです。

顧客目線で考えることがポイントです。顧客に成り切って、想像してみましょう。

例えばレストランのカスタマージャーニー。

友人から聞いたら、すぐ予約しようと電話番号を調べるわけではなく、その前にネットで評判検索をしたり、メニューをチェックしたりします。電話番号だけでなく、営業日時も調べますね。

車で行くような場所ならば、近隣駐車場も検索します。ホームページには駐車場のことも書いておくことが必須です。

食事が終わったらトイレにいったりしますね。トイレがきちんとしているかも顧客体験としては重要です。

そして、退店後にレビュー投稿などをレビューサイトやブログなどに書いたりするわけです。


カスタマージャーニーマップの構成

カスタマージャーニーマップは横軸にお客さまの行動のステップをとります。縦軸には、そのステップにおけるお客さまの状況とそれに対する企業との接点(タッチポイント)やマーケティング施策などを書きます。

マーケティング施策は図のようにお客さまがステップを移動できるようなきっかけとなる、ここでは態度変容と呼んでいますが、そんな施策が望ましいです。


5Aについて

コトラーは、マーケティング4.0で、SNS時代の消費行動プロセスとして「5A」を提示しています。

次の5つのキーワードの頭文字をとって「5A」と呼んでいるのです。

  1. 認知(Aware):広告や口コミで知る

  2. 訴求(Appeal):ブランドに引きつけられる

  3. 調査(Ask):評価、評判を調べる

  4. 行動(Act):店舗やECサイトで購買する

  5. 推奨(Advocate):SNSなどで情報共有する

カスタマージャーニーマップではこの5Aを横軸にとると良いです。

顧客接点は、5Aのステージの中で、オンライン、オフラインで増えており、お客さまはそうしたさまざまな接点でブランドを体験していきます。

カスタマージャーニーマップの作り方

横軸は、5Aを時系列に並べています。

まず「認知(aware)」は、お客さまが「認知」に至るプロセスです。たまたま自社商品の広告に触れたり、他者から口コミで聞いたり、過去の経験を思い出したりして、自社商品を知っている状況です。

競合商品などを「認知」したお客さまは、獲得した情報を整理してその中から自分にとって好ましいと思うものに絞ります。この状態が、「訴求(appeal)」です。お客さまは、「これが好きだ」という気持ちになっています。

次にお客さまは、好きな商品について「調査(ask)」するようになります。友人に電話をしてアドバイスを求めることもあれば、オンライン上で製品レビューをチェックする場合もあります。あるいは価格を比較したり、コールセンターに電話するかもしれないし、販売員と話すことで、もっと情報を得ようとするかもしれません。

「調査」段階で詳しい情報を手に入れたら、お客さまは「行動(act)」へと進みます。ここは、「購入」でも良いのですが、「購買行動」だけでなく、実際に商品を使う、利用する行動があります、アフターサービスを受けることもあります。アフターサービスの対応次第で、お客さまのブランドに対する気持ちが変わってしまうことは多いでしょう。商品が好きになって、良いと確信して購入したものの、ちょっとした不具合が生じて、アフターサービスに依頼したら、ひどい対応を受けてしまうと、愛情は冷めてしまいますね。企業は、すべてのお客さまの「行動」で満足してもらえるように、一貫性のある対応をしなければなりません。

お客さまの「行動(act)」により、商品やブランドに対する強いロイヤルティが芽生えていきます。それは顧客維持、再購入 、そして最終的には他者への推奨という行動をとるようになります。これが「推奨(advocate)」段階です。熱心な推奨者は、自分の大好きなブランドを自発的に他者に推奨し、伝道者になるのです。

縦軸は、お客さまの行動、お客さまと企業の接点、お客さまの気持ち、感想を書いていきます。これらが埋まった後に、全体を俯瞰しながら、マーケティング施策をお客さまがステップを移動できるようなきっかけとなる、態度変容する施策を考えていきます。


まとめ

フレームワークを使ってマーケティングの基礎を学んでいただきました。

今回解説したのは、

1.「マーケティングの歴史」で、マーケティングとは何か? なぜ必要か? とマーケティング1.0~4.0の進化を確認しました。

2.「マーケティングの進め方」ではマーケティングのプロセス(R-STP-MM-I-C)で、典型的なマーケティングのやり方を解説しました。

3.「企画書の書き方」では、R-STP-MMで作った企画を企画書に文書化するポイントを解説しました。

4.「分析のフレームワーク」では、2つの分析方法「SWOT分析」「3C分析」を解説しました。

5.「STP-VPのフレームワーク」 では、お客さまは誰かを明確にする独自のフレームワークを解説しました。

そして今回、

6.顧客の行動全体の可視化では、「カスタマージャーニーマップ」について解説しました。

個人、グループでのワークショップを行いながら、マーケティングの基礎を学ぶ研修の講師のご依頼をお受けしております。

今回の原稿を読んで、研修のご要望がございましたら、ぜひご連絡ください。

info@kuralab.co.jp


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