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小さな興味から「住み続けたい」に【田ノ岡志保さん・十日町市】

こんにちは!カメレオンです。今回インタビューをしたのは、十日町市で暮らしている田之岡志保さんです。志保さんは、岩手県出身で、大学時代に十日町市の直売所じろばたでイナカレッジのインターンを経験。その後3年間十日町市の地域おこし協力隊として活動し、現在は再び直売所じろばたで働いています。
志保さんはインターンを通してどのような体験をし、十日町市に住み続けるようになったのか。そこには新潟の魅力が隠されているのではないでしょうか。また、皆さんが暮らしや仕事の選び方を考えるヒントになるかもしれません。早速紹介していきます!

田ノ岡志保さん 職場の直売所「じろばた」にて

1.興味関心のあることに素直に

志保さんのインターン時代や協力隊時代の話を伺うと“興味や関心に素直に行動”しているように感じます。

大学3年生の時に経験した1年間のインターンでは、インターンの活動の傍ら、自分の興味を持ったことに取り組み地域での交流をしていました。イナカレッジの地域インターンは、就職や移住が目的ではなく、地域の暮らしを体感して住民とつながり、地域と学生の「学び合い」に重きを置いているのが特徴です。志保さんの場合、活動の3分の2は、直売所じろばたで調理や仕入れ農家での農作業などを。残り3分の1は、自分が興味を持った市内の地域や団体で、農作業やイベントのお手伝いをする、というふうに自由に活動していたそうです。地元の農家さんから「試しにやってみろ」と農器具を使わせてもらうなど、面白半分で新しい体験をさせていただいたといいます。
(参照:にいがたイナカレッジでの1年インターン

じろばたのお母さんたち

—「農家さんが農作業以外にも機械の整備などもこなす姿を見て、肩書のある職人とは違うけれどプロフェッショナルな仕事をする姿に魅了されました」

インターン後もこの雪国でもうちょっと暮らしを体験してみたいと思った志保さんは、地域おこし協力隊として十日町市に住み続けることを決めました。協力隊では、松之山地区でお母さんたち向けの居場所作りや地域のイベントの企画・運営を行っていました。インターン時代よりも地域との関わりが強くなったといいます。

—「イベント毎に漬物を作って持ってきてくれるおばあちゃんがいて」
—「人が集まる場所があるから食べ物を持ってきてくれる」

志保さんは、インターンと協力隊、地域とのかかわり方や距離感の違う2つの経験を通して、自分に合った働き方を見つけていったように思います。それを見つけられたのも、自分で興味関心のあることに小さく一歩踏み出し、交流し、体験しているからだと感じました。
十日町市に移住したわけを聞くと、

—「移住というより、興味があるから気軽に引っ越してきた、それがたまたま続いている」
—「興味が尽きないから住み続けている感覚」

こんな言葉をいただきました。
好奇心に素直に、気軽に行動する。志保さんのお話から、単純で大切なことに気づかされました。

2.十日町市の人々


志保さんの暮らしぶりから、地域の人との交流が多いように思います。その背景には、十日町市の人々の「若い人を受け入れる姿勢」がうかがえます。
まず、地域の集まる場所になる公民館のようなまちの施設「十じろう」「文じろう」の存在です。定期的にさまざまなイベントが開催されていて、テーマに興味のある住民たちが集まれる場所です。志保さん自身も、「イベント後に飲み屋さんにも寄れてゆっくりと話す機会ができ、地域の人たちとつながるきっかけになった」といいます。

—「自分からつながりを探すっていうより、地域の人たちの方から来てくれるという感覚」

また、十日町市は移住者が多いのが特徴。地元を出ていく人も多い一方、昔から外とのつながりがあり、「出ていった20~40代の世代にちょうど移住者がきて上手くはまっている」といいます。
外から来た若い世代を受け入れることで、地域の伝統や文化、ライフイベントなど、世代を空けず継承していっているのかなと思いました。十日町市での暮らしの裏には、外から来る人が暮らしやすい場所づくりができる地域の方々がいることを知りました。

 ちなみに、志保さんは、十日町市に来てくれた友人に地域を紹介するときには、自分の家ではなく一緒に旅館に泊まるのだとか。それは、イノシシの肉などの食や、この地域に慣れすぎるからこそ、旅行者気分で改めて体感するようにしているといいます。

3.自然と好きな場所に

最後に、志保さんに自分の考えをぶつけてみました。

カメレオン:私自身、学校や仕事とは別のコミュニティがあると、いつもと違う人たちと出会えるので、色々な学びがあったり考えが変わったり、影響が大きいなと感じています。志保さんは、そうしたコミュニティに所属して、いろんな人と交流することは大事だと思いますか?

—「必ずしも、所属しなくてもいいかな」
—「自分のやりたいこととか考える先で自然と人との交流が生まれるから、何かに所属することにとらわれすぎなくてもいいのかなと思う」

十日町市で行われるイベントでは、運営に協力隊や移住してきた人、地元サポーターが携わったり、キャンプに行けばキャンプ場の運営の方、スキーに行けばスキー場のインストラクターなどの地元の人と話したり、遊びながら地元の人と交流することもできる。交流目的でなく、気軽にしゃべれるところがいいと話してくれました。

お話を聞いて、交流は気軽にしていいことや、どこでも居場所になることに気づかされました。これまでの私は、例えば、地域の人たちと交流したいなら地域のプロジェクトに参加する、というように、なにかに所属しないと交流はできないと考えてしまっていました。目的のあるところに行ってその目的のことをする、他の自分の興味や関心に目を向けていなかったと思いました。地域を知りたいと考えていればどこにいても地域を知ることはできるし、趣味の集まりに所属しなくても個人で活動しながら趣味のつながりはできる。コミュニティに所属するという枠にとらわれすぎる必要はないのだな、と考えさせられました。

志保さんのインターン時代や地域おこし協力隊の経験から、自分とはまた違った、地域との触れ合い方、暮らしとコミュニティの関わり方を知ることができました。そして、「くらす・はたらく」について考える幅が広がったと思います。
住む場所を選ぶときには、「この場所はここがいい」「こんなところがあるからここに住もう」、などと明確な理由ものはなくて、自分の趣味や遊びを通して、そこで出会った人や新たな魅力が積み重なって、その地域を好きになって、住み続けたくなっていくのだろうと感じました。

十日町市は「大地の芸術祭」でも有名。美術館MonETにも行きました!

(参照:美術館MonET

書いた人:カメレオン
埼玉出身の大学4年生。運動好き。
4年生になってから新潟を知る機会が増え、最近新潟を楽しんでいます!

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