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#006 | 振り娘

就職活動の都合で制作物を完成させるため、学校に泊まる事になった。

私の通っていた専門学校は、二十四時間機材を使用できるのがウリだった。
いつもはこのシステムを利用してたくさんの生徒が制作に没頭する。しかし、学期末に行われる制作展という大きな行事を終えた後で、その日は顔見知りの友人が三人泊まっているだけだった。

私は五階フロアにあるパソコンルームの一室で作業をしていた。
途中、集中力が切れた私は、パソコンのファンの音しかしない部屋で何もせずにボーッとしていた。

ふと、ドアついている縦長の覗き窓を見た。見たが誰も覗いていない。
そこから誰かが顔を出したような気がしたのだ。
どうせ誰かが暇つぶしでからかいに来たんだろう。私はそう思って放っておいた。

だが、また覗き窓の向こうで何かが引っ込んだので、しばらく見ていたが誰も出てこない。やっぱりからかわれているみたいだ。

そっちがそういう気なら、とドアにそっと近づいた。誰かが顔を出したらこっちも顔を出して脅かしてやろう、と待ち構えた。

覗き窓に誰かの気配があったので、私が「わっ!」と顔を出した。

「うわっ!」

 私の方がひっくり返ってしまった。



覗き込んできたのは、白いワンピースを着たボサボサ頭で長髪の女性だった。

しかも、両目がえぐり取られたように黒く空洞になっている。

ドアの向こう側で振り子の如く、規則正しい動作で何度も何度も顔を出していた。

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