くら

過去の後悔とか秘密にしていることを書いたり、たまに創作小説も書きます。サンリオのシナモ…

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過去の後悔とか秘密にしていることを書いたり、たまに創作小説も書きます。サンリオのシナモンとメルちゃん、吉澤嘉代子さんが大好きです。弱いのでいろんなものに救われて生きてます。

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サンリオのシナモンに救われた話

「ピンク色が好きなのは、ぶりっこ」。―――ずっとピンク色とかわいいものを愛することに抵抗があったけれど、サンリオキャラクターのシナモンのおかげで自分に正直になれた話です。 ぶりっこの呪いにかけられて物心ついたときから、ピンク色が好きだった。ピンク色。桃色。桜色。かわいくて、見ているとあたたかな気持ちになって、全身がよろこびにあふれるような不思議な色。 親がピンク色とほかの色のおもちゃや服を買ってきたら、真っ先にピンク色を選んでほかの色は妹に押し付けていた。保育園のクリスマ

    • この真夜中にしか書けない

      働いてはいるけれど鬱病で3年くらいずっと通院しているし、今は生理のPMSで落ち込みが酷すぎて日付が変わる前からずっと泣いたり泣き止んだりを繰り返している。何が悲しくて、何が嫌なのかもよくわからない。ただとめどなく涙は出てくる。今は真夜中の3時半。本当はあと3時間半後に起きなければいけないのに。眠いはずなのに、眠れなくて。 この真夜中の、もうすぐ夜が明けようというひんやりとした空気のなかで、こうやって形の無い悲しみに向き合って、世界で自分だけが一人ぼっちになってしまったかのよ

      • あの日の背伸びの高さに追いついていく 

        私は歌手の吉澤嘉代子さんが大好きである。過去のnoteでも、嘉代子さんへの気持ちをぶちまけた怪文書を投稿した痕跡が残っているので、こちらの記事も参照してほしい。 https://note.com/kuragenomori_/n/n05646cb86db8 (投稿後に嘉代子さんご本人がTwitterで見つけて読んでくださり、リプライで感想までいただいてしまってメチャクチャ泣いた) 嘉代子さんの曲を聴いているとき、私はいろいろなことを考えてしまうのだが、今日の昼間に嘉代子さんの

        • 【創作短編】美しく生まれたお前の目をつぶす

          今は夕方。17時30分。 「お待たせー」 「阿久津さん」 「浴衣も草履も歩きにくくて。遅れちゃってごめんね」 そう言って、片足をあげた阿久津茉莉花は笑った。大きな目が半月の形になって、リップグロスをつけているのか、つやつやした唇がすっと弧を描く。ポニーテールに結われた髪が揺れて、白いうなじを撫でる。水色の浴衣の上に、祭りの提灯がオレンジの光をちらちらと落とし……やっぱり綺麗。阿久津さんは本当に美人だ。 「えー! 佐野さん、浴衣じゃないの⁉︎」 「浴衣、持ってないし」 「な

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        サンリオのシナモンに救われた話

          サービス終了した推しコンテンツの2.5次元舞台を観に行った話

          夢か幻を見ているのかと思って涙が止まらなくなっちゃった。 観に行ったタイトルは、声優志望者が集まる学園を題材にしたソーシャルゲームアプリ『オンエア!』。舞台のほうの呼び方は「ジュエルステージ」、略して「ジュエステ」(以下この表記でいきます)。2022年6月3日〜12日まで東京ドームシティシアターGロッソにて上演されている。 ■『オンエア!』ゲーム公式HP https://on-air-coly.com/ ■「ジュエステ」公式HP https://onair-stage.c

          サービス終了した推しコンテンツの2.5次元舞台を観に行った話

          あのとき、怪物になれたらよかったのに

          初めて映画『キャリー』を見たときは衝撃だった。 ❇︎映画のあらすじ❇︎(視聴済みの人は読み飛ばしてください) 厳格なキリスト教徒の母親のもと育った少女キャリー。彼女はおとなしく気弱な性格と冴えない容姿のせいで、いつも学校でいじめられていた。 しかし、ある事件をきっかけに、キャリーいじめの罰を受けたクラスメイトたちは、逆恨みからキャリーをプロムで酷い目に合わせてやろうと画策する。それからなんやかんやあってキャリーはプロムでとんでもない目にあわされ、それをきっかけに隠された超能

          あのとき、怪物になれたらよかったのに

          ありのままで生きることの罪

          まだ全然長く生きているわけじゃないけれど、人生のほとんどを自らの容姿に振り回されて生きてきた気がする。人は見た目じゃない、中身が大事!と喧伝されるなかで、結局私はルッキズムに白旗を上げざるを得ない。 1.永年のデブ今でもよく覚えている。卒業を間近に控えた小学6年生の冬、夕方に友達と公園で遊んでいたときのことだ。 ブランコに乗っていると、知らないおじさんがこちらに歩いてきて、「今何歳なの?」と聞いてきた。12歳です、と答えて他愛のない世間話をした。おじさんはいつも夕方になると

          ありのままで生きることの罪

          真っ白な昼下がり、朱い金魚と

          私は、金魚が大嫌いだ。金魚を見ると、自分がおばあちゃんにした、取返しのつかないことを思い出すから。 おばあちゃんが出て行った日金魚とは、あの金魚である。お祭りでは必ずといっていいほど露店の出し物として見かける。朱や白の美しい体をひらひらとさせて、水中を優雅に泳いでいる。 金魚が好きな人には申し訳ないが、私は金魚がものすごく嫌いだ。見ていると口の中が生臭いような味がしてきて気持ち悪くなるし、何よりも昔の後悔を思い出すから。 私にはおばあちゃんがいる。おばあちゃんは隣の家に祖

          真っ白な昼下がり、朱い金魚と

          吉澤嘉代子さんの『ニュー香港』を聴いて泣いた

          2021年3月から今まで、この曲を愛し続けている。 『ニュー香港』。昨年発売された、吉澤嘉代子さんのアルバム「赤星青星」に収録されている一曲。3月にアルバムが発売されてから、もうすぐ1年が経とうとしている。 一昨年に鬱病になってから、この曲と出会って、突然キラキラ光る素敵なものを授かった子どもみたいに、毎日宝物のように抱いて、この1年を過ごしてきた。 1.2020年12月までのこと一昨年2020年の秋に、突然ごはんが食べられなくなった。おなかは空くのに、食べ物が喉を通らなく

          吉澤嘉代子さんの『ニュー香港』を聴いて泣いた

          ホテルキーにまつわる覚めない夢

          ホテルキーがたべたい、とかねてより思っていた。 ホテルキー。どこかズレた調子のゆるいフォントが踊る、カラフルで透明な直方体。その一面から銀色のチェーンがのびて、どこかに繋がる鍵がぶらさがっている。なんかよくわからないけど、あぁこれはとてもかわいいな、と思う。 ホテルの名前が、なんとも言えないフォントでクリアな直方体に刻まれてるだけなのに、どうしようもなく良いなぁと思うし、手に持って、ぎゅっと握りたくなる。ひんやりと冷たい、直線の感触に少しびっくりしてみたい。 白い蛍光灯に

          ホテルキーにまつわる覚めない夢

          ボールペンが食べたかった私はアイシングクッキーを齧った

          昔から、「食べられない」モノが食べたかった。 中身のインクが透けて見えるような、クリアピンクのボディをした三色ボールペン (駄菓子のいちご味みたいなチープな味、もしくは夏祭りの屋台で食べる飴細工のような味がしそう) 日のひかりに照らされて窓がキラキラと青色に輝く、四角くてつるんとしたビル (あんみつの四角い寒天のような食感で、ほんのりと甘いハッカの味がしそう) パワーストーン屋さんで売っている、柔らかい艶とまるみがあって、ひんやりと冷たいタイガーアイやローズクオーツ (

          ボールペンが食べたかった私はアイシングクッキーを齧った

          卒業間近、一瞬だけ主人公になれた気がした

          中学と高校の六年間を女子校で過ごし、たまに起こる男子校との交流イベントでは教室の隅に縮こまる。そんなこんなで塞ぎ込み、もはや「青春」の落ちこぼれとなっていた私だったが、卒業間近に愚かな悪あがきを見せる。 「青春」の主人公になりたかったあの日々中高六年間の女子校生活は、嬉しいことも悲しいことも、すべて色とりどりの思い出であふれている。 しかし、そのなかでも高校時代を思い返すときには、雨の日の昼間の風景を窓ガラスを通して見ているような気持ちになる。雨が嫌いなわけじゃないのに気持

          卒業間近、一瞬だけ主人公になれた気がした

          はじめて友だちに「死ね」と言った日

          はじめて誰かに「死ね」と言ったとき。 それは「死ね!(笑)」だったかもしれないし、「死ねよw」だったかもしれないし、あるいは「……死ね」「死ね!!」だったかもしれない。 だが、普通、人に「死ね」とは言ってはいけないのだ。小学生のときに読んでいた漫画ではどのキャラクターも惜しみ無く死ね死ね言いまくっていたけれど、現実で「死ね」と言うのはダメなことであると、教室で誰かが「死ね!」と言うたびに担任の先生が教えてくれた。それを見てみんななんとなく、あっ死ねってそんなに軽く言ってはい

          はじめて友だちに「死ね」と言った日

          他人のような祖父だったけれど

          「家族愛」がテーマのあらゆる作品が苦手、とまではいかないが視聴前は必ず身構えてしまう。私と家族との関係はするすると滑らかなものではなく、だからといって殊更に悪いというわけでもなく。ただ、家族ひとりひとりとの関係は、ところどころ毛羽だって毛玉がついたコートのように手触りがあまりよくない。大事なコートだから捨てることもできないまま、クローゼットの奥に静かに寝かせてある。そろそろ毛玉と向き合わねば……と引っ張りだしてきては、うーん、と少し考えて、また明日でいいやと元の位置にしまいこ

          他人のような祖父だったけれど