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【連載小説】犬と猫⑪

そういうとハンモックを椅子からベットに直してた。ベットに座る僕の足の間に座って寄りかかって来る。そっと後ろから抱きしめると心愛の肩に頭を乗せる。

「雪くんは、甘えん坊だなぁ」
「そんなことない。ちっこいなぁと思って」
「ひどいなぁ。雪くんが大きいだけだよ。」

 そっと心愛のお腹を撫でるとビクっと身体が跳ねる。心愛の身体はモチモチしていて抱き心地が良い。今まではスレンダーな彼女が多くぽっちゃりな彼女は心愛が初めてだ。こんなに癒されるものなのかと思ってしまった。心愛の柔らかさを堪能してると急に心愛が立ち上がり頬にキスされた。

「そろそろ、寝るよ。雪くん」
「そうだな。じゃベット借りるわ」
「うん。電気消すよ」

 ハンモックに潜る心愛は猫みたいで少し可笑しかった。ふと目をやると手を伸ばしていた。

「手……繋ごう?」
「はいよ」

 小さくて柔らかい手をそっと繋ぐ。そうすると安心したのかすぐに心愛は眠ってしまった。ベットから体を起こし頭を撫でるとくるっと寝返りをうってしまった。まるで子どもだなと思いながらベットに入り眠った。
 朝6:30に目を覚ましてまだ寝ている心愛を起こさないようにリビングに降りると真琉くんがすでに起きていてキッチンで朝食の準備をしていた。

「雪兄ちゃん。おはよう。ホットサンド食べるでしょ?ツナチーズだけど平気?」
「ありがと。真琉くんは、いつも朝食作ってるの?」
「まぁね。心愛いつも頑張ってるからさ。」
「そっか、真琉くんは心愛をママって呼ばないんだね」
「だってママって呼んだら心愛は無理しちゃうだろうし。今だってコールセンターして、衣装やアクセサリー作ってるからね。出来ることはしないと。心愛は仲間というかそんな感じなんだ。変かな?」
「変じゃないよ。そうだ、今日プールいかね?真琉くん達が良ければだけど」
「いいの?行く!あっ!さっきの話しママには内緒で」
「わかったよ。心愛起こしてくるわ。」

 そう伝えてから心愛を起こしに行った。子ども達は心愛が無理しないよう本能的に行動しているのだろう。この家族は、傍から見たら普通じゃないのかもしれないがとても平和に回っているのだ。心愛と子ども達は例えるなら、海賊船みたいなものだ。船長が心愛。航海士真琉くん・補佐が宇琉くんというところだろうか。

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