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【連載小説】犬と猫⑬

はしゃぐ子ども達を追いかける心愛に呼ばれるように手を引かれた。今回は奮発して遊園地も楽しめるようにリストバンド型を人数分購入し、まずはプールサイドの有料席に荷物を運ぶ。子ども達が運ぶのを手伝ってくれたのでスムーズだった。

「雪兄ちゃん!ここでいいの?」
「おぅ!そこにおいて。真琉くん達、これ使って。スマホの防水ホルダーと5000円ずつな。ほら。お金はスマホと一緒に防水ホルダーに入れておけよ。このお金は好きに使っていいから。飯代はこっちで出すからな。」

 お金を中が透けないタイプの小さいジップロックに入れて渡した。これはカツアゲ対策だ。宇琉くんは、単純に喜んでたが真琉くんは遠慮がちだった。

「雪兄ちゃんいいの?」
「今回は特別な!心愛……少しここにいて、先に子ども達と一緒に着替えてくるからさ。」
「OK!待ってるよ。」

 いってらっしゃいと手を振りながら見送られた。子ども達と更衣室に入る。

「雪兄ちゃん。そういえば水着持ってるの?」
「やべっ!買ってくるわ。ちょっとここにいて」

 慌てて売店で水着を選んで戻った。すでに子ども達は着替えが終わってた。

「雪兄ちゃん。明日もどこか行くの?」
「宇琉!そりゃ心愛とデートに決まってるだろ?」
「え~!宿題みてほしいのに。」
「まだ、どこ行くか決めてないし構わないよ。宿題大変そうだもんな。」

 宇琉くんは、よし!とガッツポーズをしていたが、真琉くんは小さい声でごめんと呟いた。着替えを終えて、真琉くんの頭をワシャワシャと撫でて、真琉くんにだけ聞こえるように、気にするな!って伝えた。子ども達と一緒に心愛の元に戻ると席の目の前にある水遊び場の水がランダムに出てくる噴水で遊んでいた。こっちに気づくと駆け寄って来た。そのタイミングで噴水の水が噴射されて服が濡れてしまった。

「心愛!まったく濡れてるし。」
「心愛めっちゃドジじゃん!雪兄ちゃんプール行ってくるわ!」
「おぅ!13時頃に一度、戻って来いよ。昼食うからさ。」

 そう伝えると子ども達はプールに走って消えてった。心愛にはバスタオルを渡して着替えて来るように伝えた。心愛はバスタオルを持って更衣室に消えていった。内心ドキドキが止まらない。濡れた服が肌に張り付いて体のラインが見えていた。

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