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任せるって、難しい

仕事で役職がつき、役割が増えて、自分のやるべきことが増えてきました。

ただ、時間は有限なので、これまで抱えていたタスクの中から自分がやるべきではないことに変わったものを手放して、他の誰かに任せなければならない場面に直面する機会が増えました。

本記事では、こういった機会を経て意識するようになったことを記述します。

■ 手放す難しさ

・価値を出してきた、事情を知っている領域を手放さなければならない

任せる内容にもよるが、これまで自分自身がその領域で価値を出してきた場合が多いでしょう。

また、事情や勝手を知っている領域である場合もあるかと思います。そういったタスクや内容を手放さなければならないというのは、気持ちの問題になりますがなかなか難しいです。

感覚的には、自分の居場所を他の人に譲って、自分は見知らぬ新たな場所に旅立たなければいけない状況と似ています。

じゃあ、自分がこれまでやっていたことを続けて、新しいことを他の人にお願いすれば良いじゃないかという話もあると思います。もちろん、個人の適性や内容次第でそういった選択を取ることはありますが、組織という視点で考えると正解ではないことも多いと思います。

■ 任せないことによる弊害を考える

・冗長化できない

自分だけがそのタスクや領域を分からない状態が続くことは短期的には良いですが、長期的に見ると問題があります。

短期的に良いというのは、例えば期限があり、短期間で一気に何かを作り上げる必要がある場合であれば、一旦は冗長化を気にせず、まずは作りきる必要があります。

ただ、その後いつまでも特定の人しか分からない状態であり続けるのは健全ではないです。

突然の退職や病気にかかることで長期的な離脱が起きることや、他のことにかかりっきりになってしまい対応が出来ない事態に陥る等、何が起きるか分からない中、組織で対応できるようにするためにも、脱属人化を目指していかなければならないです。

・組織として成長しない

誰かがやっていたことを引き継いだり、他の人に機会を渡さないと、組織としても成長していかないです。

「誰かがやっていたことであれば手順書があれば誰でも出来るでしょ」と思うかもしれませんが、定型業務かつ知識を必要としないものであれば確かにそうです。

しかし、必要となる知識を踏まえた上で新しく何かを作る場合や、手順はあるが結果が流動的に変わる内容の場合は話は別となります。

手順や必要となる知識は渡せますが、状況を逐一判断しなければならないため、誰でも出来るわけではないですし、仕事の大半はそういったものであると思います。

誰かが通った道であっても、見落としや新たな発見に出くわすことはよくある話です。複数の視点が加わるため、プロセスの見直しやそもそもの理解が深まることもあります。そういった意味でも組織として成長させるために、任せていくことは必要になります。

■ 考えないといけないこと

・自分はどこで結果を残すべきか

これまでと同じことで結果を残したいという気持ちがあるのは分かります。

ただ、自分がどの領域で結果を残していかなければならないのかと考えたときに、どこを挙げるかは経験や立場によって変わってくるかと思います。

やるべきことが増えてきた中で、昔からやっていることを自分がいつまで続けた方が良いのか、他の人に任せるべきなのかは、その都度考える必要があります。

大切なのは、自分が残すべき結果は何で、その実現のためにやるべきこと、やらなくてよいことを常に考えて、そのまま続けるのか、はたまた他の人に任せるのかを判断することです。

・時間の価値を意識する

1日のうちの何時間という限られた時間の中で、その時間を何に使うのかをこれまで以上に考える必要があります。

役職がつき、個人としてだけではなく組織としての成果を求められ、なおかつ、より大きな仕事を進めないといけないという中で、これまでやっていたことに時間の一部を取られ続けることは良いことではないです。

他の人に任せられることは任していき、自分がその時にやらなければならないことに時間を割くべきです。

ここで気をつけなければならないのは、「面倒だから他の人に任せよう」といった、単に時間や手間がかかる・かからないから任せるという判断をしないことです。

面倒なことであっても自身でやらなければならないものもあれば、簡単なことでも他の人に任せてはいけないものもあります。

ここでも重要なのは、自分がやるべきことか否かを軸に判断し、任せられるものは任せていかなければならないです。たとえ、自分の得意領域や好きなことであったとしても、そこで価値を出しきれないのであれば任していくべきですし、時間がかかっても自分がやるべきことはやらなければなりません。

・誰に任せるのか?

自分がやっていたことを他の人も出来るようにするということは、組織としての方向性にも関わります。

この人にこういった知識をつけてほしい、判断ができるようになってほしい等、何らかの思いが含まれなければなりません。

どういった状態にしたいのか、そのために誰に出来るようになって貰う必要があるのかを考えた上で、任せる必要があります。

■ 任せ方も難しい

・背景を伝え、意図を伝える

なぜ任せるのか?そして、なぜこれをやっているのか?を伝えないといけません。

もちろん、やむを得ない状況で急遽お願いすることになる場合もあるかと思いますが、それはそのまま素直に伝えましょう。無理やり言い繕っても、むしろ不信感を抱かれてしまいます。

ただ、基本的には任せることでその相手にとってもプラスになることでなければいけません。マイナスになることをお願いされるのは誰だって嫌です。

なぜこれまでこのタスクをやっているのかを可能な限り伝えた上で、どういった動きをしてほしいのか、といった相手に期待することを伝えましょう。

・丸投げはダメ、でも関わりすぎるのは機会を奪ってしまう

任せる相手にもよりますが、引き継ぎを終えた後、その後のフォローをどこまでやるかを考えなければなりません。

ある程度の経験がある人であれば問題ないですが、経験が浅かったりその領域に詳しくなかった場合には、フォローが必要になります。しかし、その際に関わり方には注意が必要です。

これまで自分が専門に扱っていた領域であり、事情に詳しいがゆえに、つい手厚いフォローをしたり、気付けば自分で解決しがちです。

問題の解決という点では良さそうに見えますが、その人自身で考えたり、解決したりする機会を知らず知らずのうちに奪っていることに気づきましょう。

また、機会を与えなければと思いすぎたために極端に関わらないようにすることで、気付けば丸投げという状態にすることも良くないです。結果として解決に時間がかかってしまった場合に、その責任は任せられた人にあるのではなく、自分自身にあることを肝に銘じましょう。

考えてもらう時間と解決に要する時間のバランスを意識した上で、適度にフォローをしつつ、最終的には自分が関わらなくても解決できるような状態にしていきましょう。

■ おわりに

一口に「任せる」と言っても、自身の気持ちの問題や任せる相手への考慮等、意識すべきことが多いです。それら1つ1つと向き合った上で任せていくことで、自分自身の価値の出し方が変わっていきます。

また、組織として最適化する上で必要になる判断の1つだと思います。その上で、お願いする人にとっても価値のあるものにしなければなりません。自分だけがプラスになり、相手にとってはマイナスになる判断はすべきではありません。全体を見た上で、どうすれば良いかの判断をしましょう。

あくまで1つの視点ではありますが、参考になれば幸いです。

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