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くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第279回 「選挙に行くって文字通り『行く』だけでいっぱいいっぱい!?投票所にもバリアはいっぱい!」ってお話

登場人物

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本編

[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。

[く] さて、先日、結婚して4年目ということで久々に二人で外食してまいりました。

[寺] 結婚記念日おめでとうございます!東京も緊急事態宣言が終了して一ヶ月ほど経ちましたね。どちらに行かれたんですか?

[く] テキサスをイメージしたというステーキハウス&バーに行ってきました。酒も食事もとても美味しかったですよ。ただ、酒をほとんど飲まない生活にシフトして長くなって、普段の移動も車に変えたので、駅前のバーから酔って帰るのがめちゃくちゃしんどかったです(笑)

[寺] そこまで弱体化してましたか!というか、これまで本当に「飲めていた」んですか?(笑)

[く] 飲めていたはずなのですが…。若さでねじ伏せていたしんどさがこらえきれなくなったのかもしれませんね…。

[寺] そうだと思いますよ(笑)いやもう、バーに行くのは楽しいですが、ノンアルコールカクテルとかに切り替えたらどうです?

[く] ノンアルコールカクテルだけのバーとかもこのコロナ禍で登場したとは聞いていて興味はありますね。車で行ってノンアルコールカクテルを楽しんで帰るほうがもう肉体的に楽かもしれない…。

[寺] それならもうバーでなくてもよさそうな気もしますが…。そういえば、バーの経営をしている人のnote記事で見たのですが、カクテルはそもそもお酒ではなくて、当時最先端の技術で作った炭酸水を美味しく飲むために、何かを混ぜるっていうところから始まったみたいです。「ハイカラな炭酸水でやっほいしたーい!」「でも味のない炭酸水そんなに飲めなーい!」ってことで。だから、ジュースを混ぜたカクテルがカクテルのはじまりらしいんですね。

[く] へぇー、じゃ、お酒が入ってないほうが原点回帰なんですね。

[寺] 日本に入ってきた時はすでにお酒のカクテルが主流だったのでカクテル=アルコールのイメージですが、日本人のバーテンダーさんでもジュースのカクテルは普通に作れるそうです。まあ、だから飲めない人もバーに来てね。バーのジュースカクテルはただのミックスジュースじゃないんだよ。いい値段ついてるけど勘弁してね。という話でした。

[く] それは面白いですね。発達障害があるとどうしても薬を飲む人が多いのでなかなかバーに行きたくても行けない、という人が多いと思いますが、そういう楽しみ方もあるんですよ、ということですね。

[寺] 今回のテーマはバーに行きたくても行けない精神障害のある人の話?

[く] いえ、これはほんのマクラでして…先週の10月31日(日)に衆議院選挙があったじゃないですか、あれで発達障害のある知人がはじめて投票に行ったけど、受付でどうすればいいかわからなくなって困って軽くパニックになりかけた、次回も選挙いにくのが怖い、という報告を受けまして…。意外と選挙に行くハードルの高さってそういうところにもあるのかな?と。

[寺] ほうほう(梟) その方はどのへんで詰まったんでしょうね?

[く] ネットで下調べなどはしたようなのですが、いざ投票所に行くとどう振る舞っていいかわからず固まってしまったようです。窓口の方に聞いたのですが、マスク&ビニール幕で聞き辛いこともあって理解できず、まごついていたら「そのくらい常識ですよ」と言われたことでトラウマ刺激されたみたいです。

[寺] あー、それは投票に限らずあかんワードですわー。まぁ、しかし、投票場のアルバイトは精神障害者支援のプロではないですからねえ…。

[く] 聴覚障害や視覚障害、肢体不自由の方のサポートは想定しているでしょうけど、発達障害へのサポートなどはあまり想定してないんでしょうねぇ…。で、その方が言うには「選挙と大切さは教えられたけど選挙のやり方は教えられてない」と言っておりまして、たしかにそういう面はあるし、未知のことに踏み切ることに普通の何倍も体力がいる発達障害の人にとっては投票に行くこともハードル高いのかな、と感じた次第です。

[寺] 投票場自体はミスしにくいようにはなってると思います。すごい導線組んで、そこかしこに人が立ってますし。でも、会場に行くということも結構大変なんですよ。早くWEB投票を実現していただきたいものです。

[く] まぁ、私はとりあえず行ってみて駄目なら聞けばいいというテンションで行った気がします。というか、投票で並ぶのが面倒なので期日前投票ばっかり行ってましたね。いまはあおと一緒に行くので当日に投票所です。

[寺] そんなところにもADHDの行動原理が!(笑)いや、投票の仕方って私も習ってはないんですよ。最初の時は入り口のところに貼ってある紙を全部読みましたね。私は人がどんどんきて抜かしていっても気にしないので脳内シミュレーションが完了するまでその場にいましたが、人の群れに乗っていかないと!と思っている人は、そこでなにか見落として「自分だけ知らない!」ってパニックになったりするのかもしれませんね。

[く] 投票所に多いおじいさんおばあさんも動きがゆっくりなので、そんなに急がなくてもいいと思うんですけどね。あと、これは別の発達障害の方と話していたとき「選挙は正解がわからないから怖い」と言っていて「いや、正解はないんだけどねぇ」となったことがありました。

[寺] 発達障害に限らず何事にも「正解がある」ということに強く信念を持っている人は多いのだと思います。これは、公民や現代社会の教育の問題とも言えますが…。そもそも、日本の選挙制度は難しいですよ。

[く] どういうところが難しんでしょうか?

[寺] ほとんどの選挙が政治家を選出するための選挙だというのがあると思います。昨年大阪で行われた住民投票は「大阪都構想は是か非か」でしたよね?大阪に住む選挙権を持つ全ての人が「都構想いいじゃない!」「いや俺は困る!」という意見を投票しました。こういうのだと割とわかりやすいですよね?

[く] まあ、シングルイシューなら是か非かですからね。

[寺] でも政治家を選ぶ選挙は、まず、衆議院選挙は4年ごと、参議院選挙は6年ごと、解散、衆参同時、首長選挙、地方議会と選挙そのものが多いんです。ですから、18歳になって急に「選挙に興味を持て」って言われても、勉強が追いつかない人も多いと思うんですよね。それに「誰に入れたらいいのか」って自分で考えろって言うけど、家族やら上司やらに「この人に入れて」とお願いされたり、誰それに入れたというと怒られたりします。それで「なんで?正解を教えてよ!」って思うんじゃないですかね。

[く] なるほど、そういう流れがあるなら「正解がほしい」となるのもわかる気がします。

[寺] 更に、最後に自分でリソースを割いて投票行動しなきゃいけないということを考えると、選挙に行くってやはり簡単な行為ではないと思います。特に地方にいると車出さないといけない場合も多いからなぁ…。

[く] 歩いて数分のところに投票場があるのが当たり前という方が少ないですもんねぇ。この先、高齢者の移動の問題が増えると更に投票所までのアクセスが問題になりそうですね。

[寺] すでに問題になってますよ。「息子が選挙当日に車を出せないから投票に行けない」という高齢者の話も聞きますし、若い人でも平日はバスがあるけど、休日は朝夕2本というところに住んでいる人は「休日ぐらい朝寝したいし行かなくていいか」になりがちです。

[く] 投票のシステム自体が変わらないといけないんでしょうけど、だから「ネット投票!」となるかというと、それはそれで家族や会社からの圧力がかかりやすくなるので大変でしょうね。

[寺] 田舎の話ばかりして恐縮ですけど、夜の2時から船に乗って漁をしていて朝から飲んで寝るみたいな生活をずっとしている人っているじゃないですか。夜は寝て昼起きている人の手元に新鮮なお野菜や魚が届くのは、夜働いている人がいるからです。昼間動く人だけで政治を決めるのも、これもまた分断だと思うんですよね。期日前投票も含めて、ネットで投票できるシステムは早く実現してほしいです。もちろん私のような睡眠障害のある人も助かります!

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。