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くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第200回 「祝!200回!今後は『障害者』の枠を少しずつ外したところの生き方を考えていくよ!」ってお話

登場人物

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(※この記事は200回記念として無料公開になります。ご承知ください)
[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。

[く] さて、今回はこの対談記事の連載の第200回目です!

[寺] なんと!ついに200回達成!読んでくださっている皆様のおかげです。有難うございます!

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[く] 節目節目に色々とイベントをしておりますが、今回はこの連載の101話~150話までを、10話ずつマガジンにしました!1マガジンにつき500円とお安くなっておりますので、最近読み始めた、という方などに大変おすすめになっております!是非!

(過去マガジンのまとめはこちら)

[寺] くらげさん、商品説明する店員みたいな話し方になってますよ。まとめも3回目ともなるとだいぶ慣れてきましたね(笑)あと、もう一つ、くらげさんのほうでnoteの「サークル」を立ち上げたい、ということでしたね。

[く] noteに「サークル」という機能ができたのですが、まぁ、オンラインサロンを簡単に作れるような仕組みですね。以前からオンラインサロンを作ってみたかったので、一度立ち上げてみたいな、という。

[寺] どういうサークルを立ち上げるんですか?

[く] はい、発達障害の方から色々と相談があるのですが、私に対して特に多いのは「どうしたらライターになれますか」とか「私も本を書きたいんですがどうしたらいいんですか?」みたいなことなんですね。

[寺] 漫画家のわたしにも、どうやったら漫画家になれるか聞いてくる人も多いですよ(笑)

[く] それで、私なんかは「書けば書けるんじゃないですか、まとまった量の文章を書いてきたら添削しますよ」というんですが、だいたいは続きのアクションがありません(笑)

[寺] まあ、そうでしょうねえ。何をどう書いたらいいかわからないから聞いてくるのですし、ある程度書けるなら添削など受けずに仕事をくれそうな編集などに持ち込みますよ。

[く] 流石に回答になってなかったかなぁと最近反省しまして、なぜ「まとまった文章を書けないか」ということを発達障害の方に何人か聞いてみたわけですよ。しかし、自身が「なぜ書けないのか」がわからない、という。

[寺] なるほど、子どもの頃から作文が苦手で、学生時代は課題に泣かされたという話もよく聞きますが、そういう人たちが「なぜ苦手か」はあまり知られていないかもしれませんね。

[く] そこで、発達障害者向けの文章教室…というか、「なぜ文章が苦手なのか」というレベルから事例を集めてみんなで研究していくサークルを作りたいな-、と思っております。現在準備中なので、近日中に公開できるかと思います。

[寺] 研究会みたいなものですか。メカニズムをあれこれ考察するのが好きなくらげさんらしいですね。これは永続的なものなんですか?

[く] とりあえず、1ヶ月500円で3ヶ月限定でテスト運用してみたいと思います。その中でテーマがしっかりすれば次のサークルを準備するみたいな、そういうシステムにしていきたいなーと。

[寺] なるほど、noteでは同時にいくつものサークルを持つことはできませんから、テーマごとに時期をずらして開催するわけですね。

[く] きちんとした募集要項はまた改めてnoteなどで発表する予定です。人数はあまり多くしないつもりなので、興味のある方はぜひ直接問い合わせ、または予約などしていただけると有難いです。

[寺] 充実したサークルにしていけるように頑張りましょう。しかし、ライターとか漫画家とかになりたいという人が出てくるのは、障害者のキャリアを考える上で結構重要な話だと思いますよ。くらげさんもそろそろ転職して1年、以前はくらげさんはいわゆる「障害者者雇用」で、言い方は悪いのですが福祉の下駄があった状態でしたが、いまはオープンの一般雇用ですよね。

[く] そうですね。前職も後半のあたりはどちらかといえばガチンコでライターもやっていた状態でしたが、今の仕事は「障害者だから」という理由だけで雇われてはいないですね。

[寺] 障害者雇用で働いている人はみんな障害者ですが、一般就労の人は障害者の人もそうではない人もいてガチンコ勝負をしているわけじゃないですか。そこで戦っていくにあたり障害者として受けてきた教育だけでは足りないと思うことはありませんか?もしくは、この先キャリアアップしようとしたら、どうすればいいんだろう?とか。

[く] それはありますねぇ。というか、社会人のスキルとしては足りないことばかりなんですが、学び直しの機会はあんまりないですね。

[寺] そうなんですよ。障害者として教育を受けると、ふつうというか、最も大きいボリュームゾーンの1番後ろあたりまで底上げするとそこで終わりになるじゃないですか。年配の方の中には、「健常者でも経済的事情で大学に子どもをやれない人がいるのに、福祉で生きている障害者が大学に行くのはおかしい」っていう人も少なくないですし。

[く] ああ、まあそういう考え方があるのはわかります。

[寺] 経済的事情なら、就職して自力で学び直しをすることもできるでしょうが、やはり時間繰りなどの面で難しいです。障害者だと、更に学歴を伸ばすことが難しくなるという印象があります。

[く] 実際、親が資産家とか、本人が飛び抜けて優秀だとかでなければ、一旦社会に出た障害者が大学に入り直すなんてことほとんどないと思いますよ。就労移行支援とか職業訓練校にいくとかはあると思いますが、まぁ、そこで学べるものもあれば学べないこともありますよね。私は今、割と統計の勉強がしたい(笑)

[寺] もちろん、そういう個別的な支援も必要なのですが、そろそろ一度「支援」を外して「学ぶ」ということにもう一度フォーカスをある必要があるのかなぁ、と。

[く] といますと?

[寺] くらげさんは「学歴」っていうとどんな感じを受けます?

[く] 大学卒みたいな意味を含むのでしたら、そもそも私の世代の聴覚障害者だと大学に行くこと自体がめっちゃレアだったので、正直、東大卒と聞いても「すごいなー」と思ってもそれ以上はあんまり考えないですね。自分には関係ないみたいな。

[寺] 私は雇用機会均等法第一世代ですが、この世代だと「学歴」は絶対的な指標ですし、令和になった今でもまだまだ根強いのですよ。有名大学を出ているとかそういうことに限らず「どんな勉強をしてきたか」を証明することが必要になります。通りのいい学歴を手に入れられなかったがどうするか、みたいな話は成人発達障害の当事者ではかなり大きな話題かと思います。

[く] うーん、「障害者なんだから学歴とかそういう話をしても意味はないかな」くらいの意識なのでそこはあんまり共有できないところかも。むしろ障害者やってるとそういう学歴の話から逃げられるから得じゃない?くらい…。

[寺] くらげさんは「聴覚障害者」としての意識が強いんですね。発達障害だと一般就労の人も結構多いですから、学歴は仕事を得る時には必要な武器ですよ。

[く] 私は、「たまたまADHDがある聴覚障害者」というくらいで、ベースは完全に「聴覚障害者」です。なので、障害者として福祉を受けつつ、障害者としてはそれなりの生活ができればいいかなぁ、くらいの感覚ですね。

[寺] 障害者として、というくくりを外す場面はないのですか?

[く] 「障害者として生きる」以外の選択肢を持っていないので、発達障害の問題も「より広い範囲できっちり障害者となること」が大事だと思っていますねぇ。その範囲の中の学び直しが大事かと。

[寺] そういう福祉を受けるべき人が正しく支援を受けるという事は必要だし、このあるある対談でもかなり紙面を割いてやってきましたよね。しかし、くらげさんが「障害者として生きる」以外の選択肢しかないと言うのは勘違いですよ。

[く] 障害者は治らないから障害者なんじゃないですか。

[寺] そういう意味ではなく…例えばくらげさんが「障害者の未来のために」というテーマで提言をすると、それは障害のある当事者からの提言という事になりますよね?でも、「幼女が戦闘機に変形して戦うラノベ」を描いたとしたら、多分障害者が書いたという事は著者の属性の一つにしかすぎなくなる。もちろん、障害者が書いたからといって読んでくれる人はいません。

[く] そういうことは考えたくないですね…!(笑)

[寺] くらげさんが思っている以上に「障害者にもなれない発達障害」は多いし、仕事をお金を得る手段以上のものと考えている人は多いんですよ。こういう人が仕事をどうしようと考えるとき、障害者も健常者も関係ないところで勝負をする世界、つまりラノベを書くとか、ライターになるとか、…学歴が無くても就ける仕事に目が向くんですね。くらげさんに、ライターになりたい、本を出したいと言ってくる人は、そういう想いを抱えて来られるんだと思うんです。

[く] しかし、そうは言っても実際に文章を書くところで躓いている人が多いですよ。

[寺] 発達障害のお子さんで、療育や機能回復訓練が効果を発揮して、大人になると障害状態ではなくなるパターンが結構あるんです。親も「18歳で高校を卒業、就職、一人暮らし」というところを目標にするみたいで…かろうじて滑り込んだ!ぐらいの状態で、福祉から切り離されて社会に出てくるんですよね。でも、一般的な職場で期待される知識を得ていない場合も多いんです。具体的には社会に「公民」が無かったとか。

[く] どうやって補えばいいんでしょうね。奨学金を取って社会人入学とか?

[寺] それもいいんですが、それより手前の中学校、高校のレベルでかなり普通級と比べて科目が抜けてます。大学やそれ以上の学歴を積もうと思うとそこからやる必要がありますね。該当科目をの単位を取得していないと就けない仕事や、取れない資格もありますが、そういう情報、社会常識といわれること自体知らない人も多いですよ。くらげさんも時々怪しいですよねー。

[く] まぁ、放送大学にはそのうち行きたいなぁ、と思っています。放送大学、ほとんどの教材に字幕がついているんですよね。こういうサポートは充実しています。

[寺] くらげさんは「障害者」の枠から、望むと望まざるにかかわらず外れようとしているところだと思うんです。「障害者雇用」ではなくなったし、ITやSNSがあったから文章を書いて発信出来て、人工内耳の発達のおかげで人に会うことも電話することもできるようになった。これから身体的な障害を克服して社会的な障害にぶち当たるところを体験していくんじゃないかと。それが大変興味深いと思っています。

[く] 私は「障害者」のまま「健常者」に下剋上したい、という気もないわけではないのですが、健常者になりたい、とは微塵とも思わないし、なれるわけでもないんで、とりあえず今のままスキルを高めていくだけじゃないでしょうか?

[寺] どうでしょう? 下剋上とか言いますが、どこの業界でもトップの方は障害や既往症のある人ばかりじゃないかと思いますけどねえ。まあ、そういうことも踏まえつつ、200回からの「あるある対談」では発信していけるかなあと思っています。

[く] ところで、寺島さんはサークルはやらないんですか?

[寺] そうですね、私は以前からガッツリ障害傾向があるのに「障害者」として支援がないという立場なので、療育がうまくいったりして障害が軽くなったら周回遅れだということに気がついた!という人と何かやりたいなあと思っています。研究よりも実験をするサークルにしたいですね。ちょっとした事業を起こしてみたりとか。

[く] ああ、それこそ学び直し的な。

[寺] 的なですね。(笑) では、皆様これからもよろしくお願いたします!

[く] よろしくおねがいします!また来週!

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。