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バリアフリーファッションプロジェクト「a.ladonna.+」展示会訪問記。あるいは苦痛を取り除くためのデザインについて。


最初に

先日、「超福祉展」の記事を書いたところ、note公式の「おすすめ」に載ったこともあり、大変多くの方々に読んでいただけました。誠にありがとうございます。

その記事の中で取り上げた「a.ladonna.+」ですが、「NASA向けに開発された特別な生地」を使って開発されたワンピースなどがとても素敵で、「これなら感覚過敏がある妻のあおにもいいのではないか?」とか「どんな構造なんだろう、どんな方が着るんだろう」と好奇心がむくむくと湧いてきていました。

9月24日~26日に展示会が行われるということで、本日(2019年9月25日)、この陰キャラかつファッションセンスが壊滅している私にあるまじきことに中目黒は「Ohhh!!」というギャラリーにおっかなびっくり行ったところ、ご好意から実際に触ったり試着させていただいきましたので、簡単に感想などを述べさせていただきます。

「a.ladonna.+」とは

「a.ladonna.+」とは、加藤千晶さん(以下の写真)が代表を務めるアラドナ合同会社が展開するプロジェクトで、「考え方や身体、世代、性別、国籍など、自分と違う、人と違うことで生じてしまう壁(バリア)をファッションを通して取り除く」という理念を掲げて、障害の有無などに関係なく、誰もが楽しく着ることができるアイテムを研究しています。

このプロジェクトをたちあげるきっかけになったのは2014年に加藤さんが福祉関係の仕事をしている人から「障害者でも着こなせるファッションはないか」と聞かれたこと。

それ以来「障がい者も着れる服ってどういうことなんだろう?」と考え始め、2015年に生地・付属メーカーやパタンナー、縫製メーカー、福祉関係者たちとプロジェクトチームを立ち上げ、4年にわたって障害がある方などにヒアリングを重ね、バリアフリーなデザインを追求してきたそうです。

そして、今年末からアイテムを販売を開始する準備が整い、現在はミリタリー調レインコートや温度調整素材のワンピース、フォーマルセットアップなどをラインアップしています。

展示会に行ってきました

さて、そんな素晴らしい思いで展開されている「a.ladonna.+」ですが、先の超福祉展で出展されており、とても素晴らしいデザインに一目ぼれして、デザイナーの加藤千晶さんに話しかけてしまいました。

そうしたら意気投合し、思いもがけず「障害者がおしゃれをする意義」とか「誰もが好きなファッションを選ぶ権利があるよね」などと盛り上がり、ぜひ展示会にも来てください、ということでお言葉に甘えて行ってまいりました。

ここには超福祉展には持ち込めなかったすべてのアイテムを展示しているとのことで、数十アイテムがきれいに並べられていました。

一つ一つ触ってみると、どれも滑らかな肌触りで、特にNASAが開発した新素材こと「アウトラスト」を使ったアイテムは見た目の繊細さと裏腹に頑丈で伸びやすくてすべすべしていました。体の一部が不自由でも着替えやすく、感覚過敏があっても着られる人はだいぶ多いのではないか、と感じました。

ざっくり眺め終わって、ちょうど来客対応を終えた加藤さんと「こういう素材を使った服はもっと広まってくれるといい」「この先、体が不自由なお年寄りも増えていくからバリアフリーかつデザイン性のいいファッションは求められていく」という話をしていました。

試着してみました

その中で、うっかり「でも、自分も着てみたいですねぇ」と口を滑らしたら、加藤さん、目を輝かせて「あ、着てみます?くらげさんに着てみてほしい服があるんですよ!」といろいろ渡されました。私、本当にファッションがわからないので名前すらわからないのですが、おそらく、パンツとガウンのようなものだったと思います。(あとで聞いておきます)

そして、更衣スペースで、185㎝1○○kgの大男が「これ?どういう構造なの?どう着ればいいの?」と悪戦苦闘しながら着た結果がこちらになります。(どう評価するかは皆様にお任せいたします)

パンツは「アウトラスト」を使ったもので、伸縮性がめちゃくちゃあって足が太い私で問題なく履くことができて、しかも履き心地がめちゃくちゃ軽くストレスフリーです。

私は股に布が余るデザインのパンツを身に着けたことがなく、ちょっと恥ずかしく感じてしまいましたが、このデザインは車いすに長時間乗っていても擦れにくく、男性でも女性でも違和感なく装着できるように考え抜かれたものでした。私の体がコンセプトをぶちのめすほどにでかい、ということでここはひとつ。

また、話によると温度を一定に保つ機能があるため、ヨガやストレッチにも最適、ということでして、私も少し懐に余裕ができたら一本ほしいなぁ、と本気で思いました。

私は結構足と布が擦れす感覚は嫌いで疲れるとうちの中では下着だけでうろうろしていて、妻氏に「偉そうなことを書いていても下着野郎だから説得力ねぇなぁ!」とか煽られるんですよね…。

ガウンのほうは別な素材のもので、こちらも大変軽く、車いすなどでも楽々着ることができるようになっていました。ポケットも左右上下4か所あり、なんで?と思いましたけど、椅子に座ってみると上側は座ったままでも取り出しやすいようになっていて、なるほどなと。また、腰ひもを通すところも3か所あって、立ち方、座り方によって調整できるように作られています。どんな人でも着やすい、というコンセプトが至る所に仕掛けられていて、自分がいかに服のデザインを甘く見ていたか、と痛感しましたね。

また、展示会に来ていた女性が試着していた上着も見せていただいたのですが、腕周りがとても複雑な構造で、車いすを長時間漕いでも邪魔にならず、擦れて痛くなりにくいという効果があるそうです。もちろん、普通に着てもいてもスタイリッシュでした。(全般的に語彙が足りない…)

まとめ

今回、試着させていただいたり見せていただいたアイテム類ですが、「障害」という問題を意識することなく、見事にデザインと調和させているのがとても素晴らしく、デザインとはここまで考えて作るのか、と大変勉強になりました。いや、ほんと。少しは「いい服」というものについて考え直したほうがいいなぁ、と初めて思いましたね。

障害者に生まれると、身体的な問題から「おしゃれ」というものから最初から隔絶されてしまいがちですし、生きていく過程で障害を負った人もこれまで通りおしゃれなものがない、というのは結構絶望感が強まるものだそうです。

また、この先、超高齢化社会になっていきますが、老人になるって「できないことが少しずつ増えていく」ということでもあります。そして、それは「服を着ることができない」という問題すら生まれて、老いていくことの苦痛がますます増えてしまうこともあります。

そういう「絶望」をファッションで救う、というコンセプトはこれから先、ますます大きくなっていくので、ぜひこのプロジェクトは成功してほしいですし、私も応援していきたいですね。(そのうち買います)

展示会は明日26日までですので、ちょっとお近くの方はぜひ足を運んでみてください。よろしくお願いいたします。(追記 10月21日〜23日も展示会を開催するとのことです。)

さて、今回はこれくらいで。では。

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。