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お正月花材の話。松と千両は年に一度です。

まだ これからクリスマスだというのに、お正月の花の話が続きます。それは、お花の業界では 既にクリスマス後の正月花材の準備を済ませているからです。
一般的な話に置き換えると 12月早々、クリスマスケーキの予約と同時に おせちの材料を買い揃えておかなければ、おせちが作れない…くらいの感じでしょうか。

通常、お花の市場での「切り花」の仕入れは 月曜・水曜・金曜の週3回あります。お客様からの花材指定のご注文など 必ず揃えなければならない花材は、予め注文をかけておいたり、万一入手できないことや 品質がよくない時のことも想定して 早めに買い付けしておきます。
日曜日に使う花だとしても… 時間的には 間近の金曜日の市場で買えば良いのですが、お花というものは 一期一会で欲しいモノが無いことも有り得るので 水曜日にも買っておくという具合です。逆に考えれば、買い付けのチャンスは 二、三度ある訳です。

それができないのが お正月花材です。お正月花材の中で「松」「千両」は、無いとお話にならない大事な花材です。
私は、中学生から いけばなを習っていましたが、花屋に勤めるまで 松と千両が 年に一度しか 市場に出ないということを知りませんでした。
「松市」「千両市」は、どの花市場も12月の1、2週辺りの土曜や日曜日に開催されます。今年の大田市場は、松市が12/5(日)  千両市が18(土)でした。

つまり、松と千両は、この「松市」「千両市」にしか出回りません。買い付けに失敗したら一大事です。仲卸さんや大手の花屋さんは、一年に一度の気合いを入れて臨みます。
しかも、年々 市場への入荷数が減っていて 価格も上がり、買い付けの難易度が上がります。

年に一度の市場ということは、生産者さんも 一年かけて作ったものを たった一度の市場にしか出せない…労働力不足、後継者問題もあり、今後の数量は さらに減少の見込みとのことです。

お近くのお花屋さんを覗いてみてください。松や千両が揃っています。早めにお買い求めになるのが良いと思います。
松は、葉を落とさない常緑樹。永遠の命を象徴し、年神様の依代(よりしろ・目印)となる縁起物です。
千両は、寒い冬に赤や黄色の 沢山の実を付けることから 商売繁盛・金運アップの縁起物です。

縁起物を飾って、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。


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