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メンタル整えたいんだけど、どうしたらいいの?

日本は世界でも群を抜いて安全で、物質的にも恵まれた国なのに、不安やストレスを抱えて生きている人は少なくないです。

僕はそのひとりで、メンタルダウンを経験して仕事に行けなくなり、3年間も休職しました。復帰して元気にやっていますが、また再発したらどうしよう…という不安は常にあります。

メンタルヘルスの問題には長時間労働も絡んでいるので、日本よりもっと休みのある国の人たちは、もっと健康なのでしょうか?

残念ながら、実際にはそうではないようです。

スウェーデンでは、大人の8人に1人が抗うつ剤を処方されているそうです。基本的に残業はなく、男女ともに夕方5時には仕事を終え、夏休みは5週間もあるのに。

日本だけでなく、諸外国でもメンタルヘルスの問題は深刻なようです。原因は何でしょうか。スマホの普及やSNSが僕たちを不幸にしたのでしょうか?

どうすれば僕たちのメンタルヘルスは向上するのでしょうか?

それを知りたくて、アンデシュ・ハンセン著の『ストレス脳』と鈴木祐氏著の『最高の体調』を読みました。

ハンセン氏はスウェーデンの精神科医でメンタルヘルス界隈のインフルエンサー。

鈴木祐氏は新進気鋭のサイエンスライター。ヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がけている方です。

どちらも多数の文献を引用しながら書籍を書いているので、信用できると思います。

凡人の自分はこう考えました。

2冊の書籍に共通して書かれていることを理解して実践すれば、メンタルヘルスが向上するのでは?

というわけで、2冊から学んだことをこのnoteに書き残しておきます。


僕たちは進化してきた

僕たちは生き延びて子孫を残すために進化してきました。健康に生きるためではありません。また、脳も生き延びるために進化しました。幸福を感じるためではありません。

僕たちは狩猟採集民族の子孫

人類の歴史を辿ると、農耕を始めたのはつい最近。人類は大部分の間は、狩猟採集を行っていました。実はヒトの身体と脳は、狩猟採集民族の頃とあまり変わっていません。

サバンナで暮らし、ライオンに怯え、少数のグループで狩りに出かけていた頃と、ビルに囲まれ、スマホが手放せない現代で、脳はあまり違いはないそうです。

ヒトのさまざまな不調は、進化の過程で獲得した脳と「現代社会」のミスマッチ、不適応で生じてしまいます。

扁桃体はアラーム

扁桃体はヒトの脳に備わった警戒システムです。危険の可能性に反応して、身体を「闘争か逃走か」の状態にします。

例えば、茂みがカサカサと揺れたとき、そこにライオンがいるんじゃないか。僕たちの祖先そう考えました。これも扁桃体のおかげです。

そうやってビビりながら生き残ったのが僕たちなので、不安になるのは当たり前だそうです。

不安もアラーム

「茂みの中にライオンがいるんじゃないか?」はハッキリとした不安ですが、「今の仕事をこのまま続けてもいいのだろうか?」はぼんやりとした不安です。

現代は扁桃体のスイッチが常にオンになっていて、さまざまな情報を浴びながら、脅威に晒されています。

狩猟採集民族は未来のことをあまり考えません。一方、農耕を始めた我々は、遠い未来を予想する代償として、ぼんやりとした不安を抱えるようになりました。

このぼんやりとした不安が、ハッキリとした不安と違って解決しにくく、じわじわと健康を奪っていくようです。

うつ病の原因は炎症?

人体が何らかのダメージを受けてサイトカインという炎症性の物質が分泌されると脳に影響が出ます。それが気分を下げて、僕たちに「引きこもらせようとする」そうです。

うつ全体の3分の1程度が炎症が原因だそうです。

これまでセロトニンなどの脳内物質の不足が原因だと思われて、セロトニンを増やす薬などが世に出されてきましたが、2人の著者が「炎症」というテーマで一致して書いているのは興味深い。

炎症の原因は何でしょうか?

炎症の原因とは?

狩猟採集民族の炎症は、「外傷」や「感染」。短期的でわかりやすいものです。

現代人の炎症は、「体内でくすぶるもの」。長期的で少しずつ進行します。

例えば、

・多すぎるカロリー。ストレス。
・少なすぎる睡眠。
・新しすぎるデジタルデバイス。孤独。

などが原因です。

2人とも肥満と孤独がリスクだと主張していました。

運動や睡眠、適度なストレスを確保することで、炎症にブレーキをかけ、脳が「攻撃に曝されている」と誤解することをやめ、健康に近づくそうです。

※ただし、ストレスと炎症だけでは説明がつかないものもあるそうです。そりゃそうですよね。

孤独はリスク

『ストレス脳』では5人に1人が孤独が原因でうつになる。『最高の体調』では10数年で日本でも孤独が問題になってきた。と書かれています。

孤独だと、交感神経が働き、闘争か逃走かの状態になります。「精神的な落ち着き」や「ゆったりとした消化」は実現できません。孤独は脅威なんだそうです。

都会の暮らしは「興奮」と「脅威」を掻き立てるものが多く、「満足」「安心」「親切」などはなかなか手に入りません。

友人を作ろう

『ストレス脳』によれば、浅い付き合いの友人が多いより、親しい相手が複数いるほうが大事だそうです。

狩猟採集民族だった頃の名残なのか、ヒトは1回につき5人前後としか親しい関係にしかなれません。

親しい関係のためには、一緒に過ごす時間を長くしたり、合唱などの共通の行動を増やしたり、互恵といって、好きな相手に利益を与えたりするのがいいです。

わかりやすい例で言えば、高校の部活動、大学のサークル活動などでしょうか。友人を作る努力はメンタルヘルスの向上に有効です。

一番手っ取り早い方法は?

これは『ストレス脳』と『最高の体調』で分かれたのですが、

『ストレス脳』ではとにかく運動しよう。と書かれていました。

週に2時間〜6時間心拍の上がる運動をする。最低でも、週に1時間早歩きで散歩をするだけで、うつ病のリスクを減らせるそうです。

うつ全体の20%が孤独によるもので、18%がもっと運動をすれば防げたとのデータもあるようで、

誰かと一緒に有酸素運動を楽しむのは、効果的なアプローチと言えます。

『最高の体調』では自然との接触を増やそう。と書いてありました。

自然の中にいると、ストレスが減り、腸内環境にもよく、自律神経が整いデジタル断食にもなります。

キャンプに行ったり、観葉植物を置いたり、スマホの画面を自然のものに代えるだけでも効果はあるそうです。

狩猟採集民族の生活に比べて、僕たちの生活は整い過ぎています。もっと運動して、もっと自然と触れ合う機会を作って、脳のコンディションを調整してあげるのが良いみたいです。

どんな価値観を持てばよいか?

ナチスの強制収容所で4年を過ごした精神科医のフランクルは『夜と霧』の中でニーチェの言葉を引用しています。

「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える」
『最高の体調』p144

奇しくも『ストレス脳』でも、フランクルのニーチェの引用が書かれていました。

「生きる意義を1つでももつ者は、いかに生きるかという問いのほとんどに耐えられる」
『ストレス脳』p241

言葉は少し違いますが、引用元は同じだと思われます。

ストレスが多く先行きが不透明なこの時代に、希望を持って生きるためには、自分の中に「価値観」を持ったほうがいいようです。

そこで幸せを求めることはオススメされていません。

繰り返しますが、僕たちの祖先は健康や幸せのためではなく、生き延び、子孫を残すために進化しました。

狩猟採集民族であった祖先は、生き延びて、子孫を残すことにシンプルに集中していました。

しかし、現代の僕たちには考えることが多すぎます。結婚や子供を持つことだけが人生の喜びではないこともわかってきています。

そんな現代の混沌から抜け出すキーワードは、「他者貢献」だと思います。

自分はもちろん、他人のためにも生きる。自分のケアをしつつ他者に貢献する。これができたら、大きな生きがいを感じるのだと思います。


終わりに

今日のnoteをまとめると

①脳は狩猟採集民族の頃から変わってない。
②現代社会と脳のミスマッチが起きている。
③不安はアラーム。現代はよく鳴ってしまう。
④うつ病は炎症が原因かもしれない。
⑤現代の炎症の原因はカロリー過多、睡眠不足、スマホの見過ぎ、孤独など。
⑥孤独はリスク。親しい友人を増やそう。
⑦とりあえず運動量を増やそう。
⑧とりあえず自然との接触を増やそう。
⑨できれば「価値観」を持っておこう。

こんな具合です。

参考にした『ストレス脳』と『最高の体調』にはもっと詳しく、丁寧にメンタルヘルスに関する知識や実験が書かれているので、ぜひご一読ください。

僕は今日まとめたことを参考に、メンタル整えてみています。効果があったものについては、Twitterやnoteで発信します。

よかったら、一緒にやっていきましょう。

おわり。

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