十八章 やっぱり仕立て屋アイリスが一番2

「アイリスすまない。遅くなった!」

「待たせてしまったな。竜の涙手に入れて来たぞ」

「マルセンさん、ジャスティンさん有難う御座います。……って二人ともボロボロじゃないですか。大丈夫なんですか?」

マクモが精霊であると暴露されてから数分後にマルセンとジャスティンが駆け込んできた。

砂埃と怪我だらけの二人の姿にアイリスは心配して尋ねる。

「お前が作ってくれた服が無けりゃ今頃どうなっていたかだな」

「心配はない。少々手こずったが何とか倒した」

「すみません……こんな怪我をさせてしまって」

彼等が笑って答えるも彼女は自分が受けた依頼のせいで怪我をさせてしまった事を謝る。

「謝ることはない。アイリスが悪いんじゃないからな。それより、竜の涙受け取ってくれ」

「はい。……皆さん有難う御座います。後は私が、頑張ります」

「アイリス俺も手伝うよ。それで、どんな感じに作り上げるのかはもう決めているのかな」

マルセンの言葉に竜の涙を受け取ると改めて皆にお礼を言う。

イクトがそう声をかけると彼女はスケッチブックを取り出す。

「こんな感じに作ろうと思ってます」

「なるほど……なら、アクセサリー類は俺に任せて、アイリスは服の制作を」

「はい」

彼女がデッサン画を見せると、それを確認した彼が話す。そして二人は作業部屋へと向かった。

「よし、やるぞ」

「頑張ろうね」

素材を作業台の上に置いたアイリスは意気込む。イクトがそう言うと二人は服とアクセサリーの作成へと入っていった。

そうして翌日開店前の店内で皆が固唾を呑み見守る中、作業部屋からアイリスとイクトが出てくる。

「……できました!」

笑顔でそう言い切った彼女は達成感とやりがいに満ち溢れた顔をしていた。

カウンターに置かれた品を見た皆が嬉しそうに、そして無事に完成したことに安堵した顔をした。

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