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はっぴぃ過去役ファイル1 吉本兄(リプレイ 高橋いさを)

※記事の構造上高橋いさを「リプレイ」のネタバレを含みます。予めご了承ください。


さて、しばらく大きな演劇活動が無いので、ちまちま過去に演じた役の備忘録でも書こうかと思います。

大分前の記事で、私が神戸大学演劇研究会はちの巣座に入った経緯はお話しましたが、その後、6月の部内公演で一度経験を積み、初めて一般のお客さんに観てもらう新人公演を迎えました。役者始めたての頃にはあるあるの「やりたい役=出番の多い役」で主役級を希望していた私でしたが、当てられたのはマッドでサイエンティストな爆弾魔でした。リプレイという脚本は未来から魂だけ転移し、他人に憑依した死刑囚の主人公が自分が起こしたテロを止めるために銃やらドンパチするガンアクション系会話劇です。そんな中でクールだとかハードボイルドだとかに憧れた私に与えられたのは、タンクトップ姿で爆弾を赤ちゃん抱っこし、割とダイレクトな下ネタをかなり言う狂った男でした。
サムネで銃構えてるからクールな役だったと思うでしょ?残念でした。

舞台写真はカッコいいんだけどなぁ…

今の私なら「よっしゃあ美味しい役ゲット!」と喜ぶところなんでしょうが、当時の私は不満タラタラでした。まあ、カッコいい役やりたかったもんな、しゃーないよ。
でも、練習を進める内に役の難しさと自分の武器を自覚していくこととなっていきました。
物語前半から中盤にかけてはシリアスの合間に割とコミカルに進みます。私の演じる吉本兄がカツラを指摘されたり、自律神経が失調してると自称する専務が色々ボケたり、爆弾で脅迫してる割にはコミカルです。
この辺りは掛け合いのテンポが大事で、コミカルとシリアスのメリハリをつけるのも苦労したポイントです。

物語の終盤、人質を取るシーン

しかし↑の写真のシーンで状況は一変します。直前のシーンで主人公(未来)のせいで取引が失敗し、私が演じた吉本兄はその報復に自作の爆弾を起動しようとします。そこに主人公(過去)
がやってきて、劣勢になった吉本兄は一緒に居たOLを人質に取りますが、一瞬の隙をつかれ撃ち殺されます。
ここから、バタバタ人が死に話が一気にシリアスに振り切れます。その分岐点を任されたのが自分だったと言うわけで。このシーンは本当に何回も練習しました。どう撃たれてどう死ぬのか、同期に付き合ってもらいながら何度も何度も。最終的にはその苦労も報われ、アンケートにも名指しで褒めていただいたりして、打ち上げでも演出が泣いてくれる位には良い作品ができて割と満足いく公演となりました。
この経験が無かったら、役者続けたいって気持ちも生まれなかったでしょうし、やっぱり原点の作品ではありますね。
次回は、元自衛官がマジで元自衛官の役をやる話。お楽しみに。

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