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【森田療法】ってなに?VOL.1

私Kuonは、森田療法でパニック・全般性不安障害を克服し社会復帰を果たすことができました。

まだ森田療法を知らない
興味はあるけどよくわからない

このような方々に向けて書いた記事です。

今後、森田療法を解説する記事をシリーズ化してアップしていきます。

このシリーズを読むことで、森田療法について具体的に理解できるようになります。

森田療法に興味のある方へ、少しでもお役に立てる内容にしていくつもりです。




森田療法の創始者:森田正馬はパニック障害だった


今回はVOL.1 創始者:森田正馬についての記事です。まず、どんな人なのかをイメージしてもらえるよう書いてみました。

森田療法は精神科医・森田正馬(もりたまさたけ・1874~1938)によって創始された、日本独自の精神療法です。

治療対象は神経症とされています。パニック障害・全般性不安障害・対人恐怖・強迫観念(確認行為や不潔恐怖など)が含まれています。

近年では、長期のうつ病や、慢性の痛みへの対処法にもなっています。

実は、創始者の森田正馬もパニック障害に苦しんでいたのです。

もともと神経質な性格で、幼少期にお寺で見た地獄の絵を見て以来、死への恐怖に怯えるようになりました。

さらに、病弱な体質でした。そのため中学~大学生の時には、体の不調に過敏に反応する心気症と呼ばれる状態になっています。

体力がなく、少し運動すると動悸が激しくなり、「心臓が止まるかもしれない」と気に病む心臓神経症になり、パニック発作にも悩まされる時期を過ごしています。

しかし、大学生の時に自らの行動で克服する体験をします。
森田療法が創始される、きっかけとなったエピソードです。

当時の森田正馬。
大学へ通うため、郷里の高知県から上京し、下宿生活をしていました。

この頃、パニック発作や心気症による頭痛がひどくなり、郷里から母親を呼び、一緒に生活してもらっていました。医師から処方された薬の服用もしていました。

そんなとき、一大事が起きます。

大切な試験をひかえていたある時、郷里の父親からの仕送りが止まったのです。

これは、多忙な父親の手違いで起きたことでした。ところが、神経質な人にありがちな思い込みで、森田正馬は父親の嫌がらせと勘違いをします。

そして、父親への当てつけのつもりで「これで死んだらオヤジのせいだ」と猛勉強を始めたのです。

パニック発作や頭痛の心配をやめて、「どんな症状が出ても耐えてやる」と決意。飲んでいた薬もやめてしまいました。

不思議なことに、こうして勉強しているとパニック発作も頭痛も起きなくなっていました。

努力して勉強した結果、試験の成績は上位。これまで悩まされていたパニックや心気症の症状も治ってしまったのです。

この不思議な体験をベースに、森田療法は創始されました。


森田正馬はなぜパニック障害を治せたのか?


パニック障害をはじめ、神経症は悪化する原因も、改善するポイントも、実はシンプルなのです。

森田療法では、神経症のどんな症状も、根っこにあるのは【不安・恐怖】であると説明しています。不安・恐怖に対して逃げの姿勢をとると、症状はますます強くなり、やがて定着してしまうのです。

森田正馬は、パニック障害をはじめ、身体の不調を気に病む心気症の症状に苦しんでいたわけですが、最初は症状におびえて、自分の行動や生活を制限していました。勉強にも身が入りませんでした。

この逃げの行動が、神経症をより悪化させていたのです。

ところが、【父親からの仕送りストップ】という事件をきっかけに、行動が変わりました。【父親への怒り・あてつけ】という、なんとも大人げない理由ですが、怒りのエネルギーを勉強に向けたわけです。

それまで症状のことばかり心配し、「頭が痛い、身体が重い」「心臓が止まるかも?」「恐い!苦しい!助けて!」となっていた意識が変わりました。

「なんだよ親父!仕送り止めやがって!もう頭にきた!」

私の勝手なイメージですが、おそらくこんな気持ちだったのでしょう。こうして一転、症状への心配・抵抗をやめて試験勉強に励みました。

父親への怒りから「症状なんかにかまっていられない」という思考の変化が起きたのです。

のちに、この体験をベースとして、森田正馬は神経症治療の手段を作りあげていきます。

森田療法の治療メカニズム

森田正馬が体験した「症状なんかにかまっていられない」という思考の変化。森田療法は、この思考の変化を意図的に起こすよう誘導するものなのです。

思考の変化を起こすためには、何らかの作業活動が有効です。

説明のために、わかりやすい例にします。極端ですが、トイレ掃除でも良いのです。

今ここに、森田療法で入院中。症状はパニック障害という患者、Kuonという男がいたとします。頭の中は、発作を恐れる予期不安でいっぱい。心配でなにも手につかない。

そんなKUONは森田療法の作業活動として、トイレ掃除をまかされました。
古いトイレで、便器はかなり汚れています。


ここで問題です。このとき、取り組む姿勢として森田療法的には、A・Bどちらが好ましいものでしょうか?ちょっと考えてみましょう。

A:「これもパニックの治療法なんだ。汚いけど我慢してやろう」

B:「うわ!くっさ!やりたくないけど仕方ない。早く終わらせよう」


この問題、正解はB

Aの方が、真面目に取り組んでいそうな印象ですが、パニックに心がとらわれている状態です。まだ症状を気にしていますね。

Bの方は、不真面目な態度に見えますが、森田療法的には理想の状態なのです。なぜなら、パニックのことなど心にありません。

「クサイし汚いけど、掃除しなければならない。さっさと終わらせよう」

考えていることは、今、目に前にある汚い便器の掃除の件のみ。不思議なことに、心が目の前の作業に向いていると、パニックは起きないのです。
もちろん、他の神経症でも同じです。

気分や症状に対してコントロールを試みたり、消そうとしたりはしない。無駄な抵抗はやめて、あるがままに受け入れる。

まず目の前の物事に、今・現在のみに意識を向ける。この意識状態を習慣づけると、パニック障害・その他神経症は改善に向かうのです。

森田療法は、日常的・建設的な方向へ意識のエネルギーが向かうよう、修正する訓練方法なのです。

まとめ

最後に簡単ですが、今回の記事のまとめです。

創始者の森田正馬自身がパニック障害・心臓神経症・心気症という神経症で悩む人物だった。

森田正馬が、症状よりも試験勉強に意識を向け、結果として克服できた体験がベースになっている。

症状のことは一まず置いて、目の前の作業のみを意識する。
トイレ掃除なら、「治療のためにやる」のではなく「汚いからさっさと終わらせよう」という意識で作業をする。

心のエネルギーを、症状よりも日々のやるべきことに向けるために訓練するのが森田療法。

次回より、このシリーズで更に詳しく森田療法について解説していきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




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