休んでみることにした。
2023年5月○日
僕は休職することにした。
限界だったかといえば、そうではなかったかもしれない。
けれど徐々に徐々に、僕は自分のコントロールが利かなくなっているようなそんな感覚に陥ってしまっていたと思う。
このところの数年間でそれはゆるやかにやってきて、いつのまにかもう戻れなくなっていた。
気づかないふりはできなかったし、まだなんとか自分で動かせるうちに、”壊れる”前に、人生に変化をつけたかった。たとえそれが、人に言わせれば逃げることになるんだとしても、それでいいんだと言い聞かせることにした。
そう決めてしまえば(カミングアウトしてしまえば)、気はすこし楽になった。
そして迎える休みの日々。
会社を辞めたわけではないけれど、なんだかそのふわふわした身分は、なだらかな心地よさがあるとともに、心には少しの不安からくるこわばりがあったと思う。
「これからどうしようか」
どれくらいの期間休もうかも決めず、
何をするかも定めず。
まだそのときは、背負っていた荷物をおろしたような気持ちでいたと思う。
僕は5月の気持ちいい風の中を歩きながら、できるだけこの美味しい空気を味わいたいと思っていた。
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