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クリスマスを過ごす

ドイツに来て初めてのクリスマス。
11月くらいから街や人々がわくわくしている雰囲気を感じていました。
「日本に帰るの?」という質問を友人から何度もされていたのですが、私は帰る予定はありませんでした。10月に引っ越しをしたばかりで、2ヶ月も経たないうちに帰るのは勿体無いと思ったのと、ありがたいことにギリギリまで演奏会や授業がフランクフルトであったので、今は帰る時ではないと最初から思っていました。
また、ドイツ人の生活に浸りたいというのも一つの理由でした。クリスマスの準備が始まる前、10月下旬から11月の初めにかけて急に寒くなり、11月からは鉛色のどんよりとした空が続きます。ドイツ特有というかヨーロッパ特有の、重く厚い灰色の雲に覆われた空が続き、太陽が見えない日々が続くこともあって、気分が下降気味になります。そのため、11月にうつ病の症状を訴える人がドイツの中では多いそのだとか。
私の場合は少し違う理由でしたが、確かに11月は鬱々とした気分になりやすく寝れない日々が続いたり、日の出を感じられず朝が辛かったり、夕方の時間が短くて夜の暗い時間が長いように感じると、少なからず心身に不調がありました。
そこにクリスマスマーケットという明るい場所というか、暗くて寒い夜にホッと温まる風景があると嬉しくなる、そのドイツ人の気持ちに心から共感。少しずつ準備が始まり、クリスマスの飾りが街を彩っていく過程をドイツ人の目線に立って見ること。そして、実際にグリューワインを片手に寒空の中で友人たちと肩を寄せ合って雰囲気に浸ること。ああ、だからドイツ人はクリスマスマーケットを心待ちにしているんだな、クリスマスマーケットがあるから頑張ろうって思って日々を過ごしているのだなと生活者の新しい視点が取り込まれた気がします。

ありがたいことにいろんな人に誘ってもらって、何度かフランクフルトのクリスマスマーケットを巡りました。グリューワインを片手にずっとおしゃべりしたり、屋台料理の食べ歩きをしたり、クリスマスの飾りを見たり。寒いけれども寒さを忘れるくらい暖かい雰囲気に包まれた時間でした。
フランクフルトのグリューワインのグラス・マグカップは伝統的な柄というよりイラスト風で、サッカーを愛する市民が多いためかサンタさんとトナカイがサッカーをしているデザイン。ふふふと思わず笑ってしまいますが、その街それぞれの個性がよくわかるマグカップのデザインはついつい集めたくなります。リファンドといって、マグカップを返すとデポジットを返金してもらうこともできるのですが、気に入ったマグカップは家に持って帰ることもでき、クリスマスの雰囲気を家でも楽しむことができます。友人が住むマンハイムへ1日遊びに行ったこともあり、我が家にはフランクフルトとマンハイムのマグカップが新しく食器棚に並びました。

今年のフランクフルトのクリスマスマーケットは21日まで。22日には全ての屋台や移動遊園地が閉まり、一気に片付け。23日には跡形もなくなっている撤収の早さに驚きました。そしてスーパーマーケットや多くのお店が24日から26日まで閉まるので、22日くらいから買い溜めに走るドイツ人。そして、クリスマスに家族にプレゼントを渡すためにプレゼント探しに奔走している人々。クリスマスは家族と静かに過ごすもの、という文化の中では家族と一緒にクリスマスのディナーを作るために準備をしなくてはとスーパーマーケットで大量の食材を買い込んでいる人がたくさんで、レジは激混み。私が2人くらい乗れそうなくらい大きなカートに野菜やターキー、ソーセージやケーキの材料やお菓子をもりもりと詰め込んでいる家族たちの風景はここまでくると圧巻でした(笑)
そして、同じアパートに住む学生の住人たちもテスト期間を終えて次々に帰省ラッシュ。いつもならそこはかとなく住んでいる人たちの気配を感じるのですが、日に日に静かになっていくのを感じていました。
スーツケースを持った住人たちがこれから家族のところへ嬉しそうに帰っていく様子を見ているとほんわりと心が温まりました。
クリスマスマーケットの幻想的な雰囲気が一瞬で過ぎ去り、家族と過ごす静かで内省的な時間が街全体に染み渡っている、静と動の空気感、ここの風景や空気を同じように時間を過ごしているから感じることができて、「住んでいる」ということを実感した今年のクリスマスでした。

私の個人的なクリスマスは、スイスのローザンヌに住む妹が電車でフランクフルトに来てくれたことです。私の誕生日が12月25日ということでそのお祝いも兼ねて、2人でゆっくり街をお散歩したり、スイスの伝統料理を妹が覚えてきて我が家で振る舞ってくれたり。「家族と過ごす」ことにフォーカスするドイツ人と同じように私も家族・姉妹の時間を楽しみました。

クリスマスを終えたドイツ人はこれからどんな生活を送るのでしょうか。最近仕事で知り合ったドイツ人の指揮者は、「これから春になるまでがきついんだよ。クリスマスマーケットも終わっちゃったから、また雨と雪と曇りの空が続く…。」と嘆いていました。
次は「春」がキーワードになるのかなあ。春の花の芽吹や暖かい日差しに喜びを感じるドイツ人の感性を音楽からも生活からも感じていきたいと思います。

Frohe Weihnachten :) 🎄

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