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消えたEMS

昨年の9月末は引っ越しのために日本からEMS(国際スピード郵便)で段ボールを新しいドイツのお家に送る作業をしていました。
合計6箱の引っ越し荷物だったのですが、紆余曲折あったものの5箱は手元に届きましたが、残りの1箱はドイツの通関手続きの最中に「紛失」。
(1つ税関送りになってしまった段ボールがあり、電車と徒歩で1時間の税関局まで取りに行き、手続きをしてから約10kgの段ボールを抱えて帰りました…正直めちゃくちゃ大変だったし、税関に行くという異様な緊張感で気持ちがいっぱいいっぱいでした)
10月の上旬にはドイツの通関には届いて通関手続き中だということを追跡していたのですが、一向にその表示が変わらず1ヶ月が過ぎ、2ヶ月を迎えようとしていました。
「ドイツだから」「日本の郵便事情のようによく整備されていないから気長に待っていよう」そう思っていたのですが、音沙汰のなさと通関手続きから一向に変わらない表示に焦りを覚え、日本にいる母に連絡をとり発送元の郵便局に問い合わせをしました。
それを12月の初めに日本の郵便局からドイツに問い合わせをしてもらう「郵便調査」を依頼しました。師走の忙しい時期だったのですが、時差8時間を乗り越えて調査依頼を出しましたがこちらもしばらく連絡がなく、ヤキモキするような忘れかけているような、彷徨っているEMSの段ボールを待ち続けました。

年が明けて1月。ミュンヘンから帰ってきてから、夜中にかかってくる日本の番号の電話が私の携帯電話にありました。いつも睡眠モードにしてしまうので着信音は鳴らず、2-3日ほどイタズラ電話だと思っていました。しかしながら、同じ番号が何度もかかってくるのは何かあるのかもしれないと番号をGoogle検索してみたところ、私の地元の郵便局の電話番号。
あれ、なんでだっけ。というレベルに記憶の彼方に行っていたEMSの存在を思い起こし、折り返し電話をかけてみるものの海外からの通話ということで接続ができず。結局、日本の母に事情を話して郵便局に連絡してもらうことに。
そこで言い渡された郵便調査の結果は「紛失」。

え…。日本に送り返された・間違ったところに到着した、ではなく「紛失」。
すでに3ヶ月近くドイツで生活しているので、送ったものが届かなくて困っているということは正直ないのですが、自分のお気に入りのニットワンピースや楽しみにしていた新しい本、スープジャーやお気に入りのタッパーなどが全てなくなってしまったので、ショックのどん底でした。
何を入れたっけ、と全てを正確に思い出せるわけではないのですが、分散してEMSで引越し荷物を送っていたため、それなりにお気に入りのものが入っていた段ボール。特に気に入っていたニットワンピースや母から譲ってもらってコンサートの時に年中羽織として使っていたカシミヤのカーディガンがなくなってしまったのは、流石にずーんと落ち込みました。あれもこれも、ドイツで使いたかった日本の製品や本、着たかったお洋服など、じわじわと蘇る引越し荷物を思い出しては今も気分が沈みます。

きっとドイツまではたどり着いていたのだと思うのですが、どこかのタイミングで箱が壊れて中身が出てしまったなどハプニングがあり、ゴミ箱行きだったのかなあとドイツの郵便事情や配送事情を見ていて思います。
日本の郵便局の方は親切に対応してくださり、また(日本の郵便局のせいではなく、ドイツのせいなのに!)お詫びと、返金手続きということになりました。

ああ、ドイツ…
と思わず頭を抱えてしまっていますが、ふと思ったのはこの言葉たち。
”何かを手放さないと新しいものは入ってこない。”
”過度な執着は停滞を生み出してしまうこと。”
お気に入りで大切にしていたものたちが、きっとまた次の新しいお気に入りを繋いでくれるはず。

あると思っていたものがなくなる、届くと思っていたものが届かなかった。
事実だけを受け止めるのはなんとも気分が下降しますが、これもドイツ生活の洗礼と(スピリチュアルとかではないのですが)何かがまた動き出す兆しなのかもしれないと思い、また自分の生活を豊かにするものとの出会いや段ボール1箱分身軽になったということにして、今日も一日過ごして行きたいと思います。

Bis Bald ;)

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