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No.112/オススメの一冊:ビレッジプライド 「0円起業」の町をつくった公務員の物語(2024.04.21)

こんにちは、くのてつです。

自分の読書備忘録も兼ねて、僭越ながら毎週日曜日はオススメの1冊を紹介させていただいています。

今回の1冊はこちら。

・ビレッジプライド 「0円起業」の町をつくった公務員の物語
・寺本 英仁(著)
・ブックマン社

※ご興味のある場合は画像をクリックしてください

主人公である寺本英仁氏は1990年に東京農業大学業後、故郷に戻り、島根県石見町役場(現邑南町役場)に入 庁。

紆余曲折を経て「ビレッジプライド(地域に愛着を持ち豊かな暮らしを誇りをもってできるまち づくり)」を目指した活動に取り組まれています。

「地方公務員・寺本英仁」としてNHKの「プ ロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられていて、これはすごいの一言。

今は、2022年3月に28年間務めた邑南町役場を退職の後、にっぽんの田舎を元気にする (株)Local Governanceを設立し全国で引く手あまたの活躍をされています。

そんな地域ド密着の真髄が描かれた一冊からの自身の学びを、一部抜粋して整理してみます。

地方の誇りこそ幸せである

今は、都会より田舎のほうが 暮らしに誇りを実感できる世の中なのだ。 これを、「地方の誇り=ビレッジプライド」だと考えている。

寺本 英仁. ビレッジプライド 「0円起業」の町をつくった公務員の物語 . ブックマン社. Kindle 版.

本書はこの一文から始まります。

なんのこっちゃ、という話かも知れませんが、自分は既にこの言葉で引き込まれた感覚でした。

都会に過ごしている今、何も困ることはありません。

とても便利で住みやすいし、子育て環境も全く悪くありません。

それでも何か欠けているような感覚があります。

コロナ禍を経て、オンラインという便利な概念が全国に浸透して、距離という垣根がなくなりました。

その変化によって欠けていたものが分かったように思います。

それが地方、田舎にあり都会にない「豊かさ」でした。

ちょうど地方の自治体さんと仕事をしていますが、「豊かさ」を体感させてもらっています。

これがまさに「ビレッジプライド」なのだと、自身の理解が強化されますね。

地域活動のジレンマ

「寺本さんのは地域振興ではなくて地域信仰」

寺本 英仁. ビレッジプライド 「0円起業」の町をつくった公務員の物語 . ブックマン社. Kindle 版.

寺本さんは地域振興を目指し様々な取り組みを行っています。

地方には本当に美味しいものがあり、それを地方の人こそ知っている。

そう考え「A級グルメのまちおこし」を掲げて、ここでしか食べられないものが提供されるレストランをオープンさせてえいます。

この実績だけ見ると、何と素晴らしい地域振興なのか、と見えますが試行錯誤しながら、そこに辿りついていらっしゃいます。

そのプロセスでなかなか成果が出ないこともあり、「邑南町はいいところだ」と言っているだけだと冷ややかな目もあったとのこと。

地域振興ではなく、地域振興・・・うまく言ったものですが、その苦労は相当だったものだと思います。

想いがあっても空回りしてしまうこともあります。

そんなジレンマと向き合ったからこそ、活動の成果が出たのだと感じましたね。

果たして自分は幸せであるのか

お金や地位を求めているのではない。だが「自分の幸せとは何か」を住民それぞれが考えて、追求し続けているから、生き生きとした表情になる。

寺本 英仁. ビレッジプライド 「0円起業」の町をつくった公務員の物語 . ブックマン社. Kindle 版.

お金ではない。

地位や権力ではない。

こう言うと、そんな綺麗事では飯が食えない、と批判もあるでしょう。

それは理解できます。

一方で、人が生きる中での本質がこの表現の中にあると思っています。

都会のコンクリートジャングルは全て人工であり、便利と引き換えに不自然な環境にあります。

一方で地方はまだ自然がたくさん残されています。

決して便利ではないかも知れませんが、人の本能が刺激される環境があります。

土に触れる、森の中で過ごす、海、山、川・・・心穏やかになれる場所が物理的にある、というのは財産だと思います。

そこでやりがいのある仕事ができるほど、幸せなことはないと思うんですよね。

まさにこれが「ビレッジプライド」の本質ではないか、そう感じた次第です。


決して地方で、田舎で暮らそう!ということではありませんが、地方の可能性がよく理解できる一冊でした。

自分の地元も地方で田舎。

いつか地元に幸せな場所、環境を作れるような人生を歩みたいものです。

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