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No.126/オススメの一冊:はじめての哲学的思考(2024.05.06)

こんにちは、くのてつです。

自分の読書備忘録も兼ねて、僭越ながら毎週日曜日はオススメの1冊を紹介させていただいています。

今回の1冊はこちら。

・はじめての哲学的思考
・苫野 一徳(著)
・ちくまプリマー新書

※ご興味のある場合は画像をクリックしてください

著者の苫野一徳さんの著書は大変読みやすく、哲学のエッセンスを分かりやすく解説してくれものが非常に多いと感じています。

何より哲学的思考が日々の生活にどれだけ重要か、そんな示唆を与えてくれます。

自分も日々の学びの中で哲学って大事かも知れない、と思いはじめていたところにダメを押してくれたのが本書でした。

苫野さんっぽく、自分なりの本書のエッセンスを抜き出して整理してみます。

本質を捉えるために必要な技

哲学とは何かという問いにひと言で答えるなら、それはさまざまな物事の〝本質〟をとらえる営みだということができる。

苫野一徳. はじめての哲学的思考 (ちくまプリマー新書) (p.14). 筑摩書房. Kindle 版.

世の中に絶対正しいというものはなく、また考え方も人それぞれだよね、と済ませてしまうことは多いと思います。

現に自分もそんなシーンに直面することはよくあります。

一方で苫野さんはそれでも、そうした物事の本質を洞察することが哲学の意義であると言います。

自分が納得できたのは「共通了解」というワードですね。

対話により対立を解消したり、協力し合ったりするために、決して交わることのない他者との「共通了解」を導き出すことが哲学はできると言います。

後述しますが、つい二項対立的に考えをぶつけ合ってしまうことはないでしょうか。

どちらが正しいか、まるばつを決めようとしてしまう。

でも、どちらも納得し得る第三の答えに辿り着けないか?

そのための対話が哲学的思考により対話という訳です。

理想論だと非難されそうですが、自分は非常に納得しています。

特に子どもたちを前にすると、この対話にこそ本質があると感じることが多い。

だからこそ、自分たち大人は今こそ哲学に触れてみる、そこでの思考を学んでみることが必要なのではないでしょうか。

哲学的思考の前に気をつけるべきポイント

ポイントは二つある。一つは「一般化のワナ」に陥らないという話。もう一つは、「問い方のマジック」にひっかからないという話だ。

苫野一徳. はじめての哲学的思考 (ちくまプリマー新書) (p.47). 筑摩書房. Kindle 版.

苫野さんは一貫してこの指摘をしてくださいます。

現に自分も日常で意識しはじめて、随分対話の精度が上がったし、対立構造から脱却できることが増えました。

一般化のワナとは、簡単に言うと自分の経験を基にあれこれ口出ししてしまうこと。

つまり、自分の経験を過度に一般化して、さもそれが当然かのように発信してしまうということです。

これってよくありませんか?

もう一つ、問い方のマジックとは、前述したように二項対立で対話をしていないかということ。

つまり、どちらが正しいですか?と正解不正解をはっきりさせようとする問い方をしていませんか?ということです。

これもまたよくありますよね?

この二点は、哲学的思考をする上でやらないように気をつけるべきポイントになります。

前述したように哲学とは本質を捉える営みであり、共通了解導き出すために有効な訳です。

そのため過度な一般化や二項対立はその可能性を一気に潰してしまうもので、哲学的思考においては避けたい悪習とも言えますね。


これだけではまだまだ語り尽くせませんが、ここに挙げた二つのエッセンスだけでも、対話の質が変わる経験をしました。

きっと多くの大人が対話で抱えるジレンマを解消してくれる、そんな技になるのではないかと思います。

自分なりに学びを深め、どこかのタイミングで哲学的思考に関する発信をやれたらいいですね。

ぜひ、ご一読ください。

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