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ピンクの粘土板と茶色のランドセルの話

川村元気さんの粘土板の話がとても印象的だ。
小学一年生の時、粘土板を買ってくるように言われ、近所のお店に買いに行った。そこでピンクの粘土板が気に入ったので買った。
翌日、ピンクの粘土板を持っていくと、クラスメイト達に笑われた。
女の子の色の粘土板を買っているんだよ。と。
彼は幼稚園に通っていなかったらしく、世の中にそのような概念があるなど知らなかった。と話した。
彼は、泣きながら青色の粘土板を買いなおしたそうだ。

この話を聞いて、思い出すことがある。
今でこそ、カラフルなランドセルが当たり前になっているが、
少し前までは黒か赤の二択のようなものだった。
それ以外の色が店頭にないわけではない。
販売はしていたのだ。
でも、男子=黒、女子=赤。以外あり得なかった。
そんな時代のお話だ。

私はランドセルを自分で選んだ記憶もない。いつの間にか手元に届いた。教室には黒と赤のランドセルばかり。
そんな帰り道で一人茶色のランドセルの男子がいた。彼は隣のクラス。茶色ということもあり、他の男子から『う〇こ』などとからかわれていた。
翌日、彼の背中のランドセルは黒かった。
新品ではなかったと思う。確か兄弟がいたようだった。お古だったのかもしれない。さらに数日後には新品に変わっていたように思う。

細かいことは覚えていないが、簡単にとっかえひっかえ出来るものじゃないのにと思った気がする。
そして、少し残念に思ったような気も。
どのような経緯で購入したランドセルか分からないけれども、きっとみんなと同じように、ランドセルを背負うことを楽しみにしていたはずなのに。

その後、高学年になってから茶色のランドセルを背負っていたような気もする。
曖昧すぎる記憶だが、昨今のランドセル市場を見ると彼を思い出す。今ならずっとあのランドセルを背負っていたんだろうか。と。

ピンクの粘土板の話もそうだ。
色で固定概念を作ってしまうから、好きな色を選べない。
親にもそれがあるから、こどもが好きな色を選ぼうとする時に『その色は(異性の色だから)やめて、こっちにしたら?』と言われている場面も少なくない。
好きな色を選べても、今度はクラスメイトにからかわれる。

でもこれが、男女ともに同じ色なら誰もからかわない。
たまに私立で男女ともにランドセルが黒の学校がある。きっとその学校では女子に対して『なんで黒なんだよ』などと言う男子はいない。
言うならば、学校外の子だろう。
みんなと一緒。ならば、誰もからかうことはない。

性別による色もあるが、年齢による色もあるような気がする。
大人になったから好きだった言えるようになった。
逆にこの年齢でこの色が好きって言いにくい。など。

どこを取っ払えば、誰もが好きな色を選べるようになるのだろうか?

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