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Bookレビュー「マンガでわかる「日本絵画」の見方」

いつからだろうか、絵が下手というコンプレックスも持ってきたし、そのせいか美術の世界はあまり関心を持てなかったのだが、だんだんと歳をとるにつれて美術に興味が湧いてきた。
美術は「描く」だけでなく、「見て感じる」「美術評論を読む」など、いろんな楽しみ方があることを知ったから。
私なりの楽しみかたで美術に触れられればそれでいい、と気楽に考えるようになった。

この本は代表的な日本絵画が取り上げられていて、解説がイラスト付きで分かりやすく、私のような初学者(初心者?)でも受け入れてくれる懐の深さがある。

マンガでわかる「日本絵画」の見かた

今回、観点を3つに絞っていくつかの絵の感想を備忘録的に書きたい。
(※率直に感じた感想などをド素人が書いています)

1.風を感じる絵
2.臨場感がある絵
3.オリジナルで斬新、面白い絵

1.風を感じる絵
(1)狩野永徳/唐獅子図屏風
(2)長谷川宗宅/柳橋水車図屏風
(3)俵屋宗達/風神雷神図屏風
(4)歌川広重/名所江戸百景 市中繁栄七夕祭

当たり前だが、風そのものは目に見えない。
風の影響を受けている対象物を描写することによって、そこに風があることが分かる。
風にもいろいろある。穏やかな風、強風、暴風、花の香りを運ぶ風など。
風があることにより、生命の吐息を感じ、自然の流れを感じることができる。
今と異なり、映像記録媒体がなかった時代。
紙という平面に、しかも自然素材だけで作られた作品。
「動き」が表現されていること自体、すごいことなのかもしれない。

2.臨場感がある絵
 (そこにある、いる)

(1)長谷川等伯/松林図屏風
(2)伊藤若冲/群鶏図

(1)は東京国立博物館で実際に見たことがあるのだが、そこにある、と感じた。自分が絵の世界に入っているのか、松が現実の世界にあるのかわからないが、とにかく同じ空間に立っている感じがした。

(2)は確か若冲展に行ったときに見た記憶がある(もしくはどこかでレプリカを見ただけなのかもしれないが、)鶏の描写がリアルで特に「目」に惹きつけられる。「眼力」(笑)。幼少期に近距離で目が合った時に「ギョッ」とした記憶がフラッシュバックした。過去の記憶と結びついてより印象的になるのだろう。すぐそこにいる、と感じた。

3.オリジナルで斬新、面白い絵

伊藤若冲/鳥獣花木図屏風

どの絵も斬新で面白いが、特に面白いと思ったのがこれ。
本の世界でしか見たことがないが、インパクトが大きい。
中央に大きく象が配置されていて、しかもまっすぐこちらを見ている。パリコレモデルの風格だ!
たくさんの動物が一堂に介しているのも面白い。

「枡目描き」(=モザイク画のような技法)も面白いし、現代のデジタル世界と繋がっている感じがする。

個の集合体が一つの絵を作っている、と考えることもできる。
一つの大きい絵の中には、粒子のように小さな絵がたくさんある、と考えることもできる。

緻密で計算され尽くされている。
驚きも含めて新鮮だ。
実物を見てみたい。





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