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Bookレビュー「超絶技巧 美術館」


超絶技巧 美術館/山下裕二 監修/株式会社 美術出版社

P24−25
井上雅彦 バカボンド 水墨画
キリッとした目の感じ、佇まい、髪の毛が風になびく感じ。
迫力。
書道を習っていた身からすると、この墨に懐かしさとともに「字」ではなく「絵」が描かれているという不思議さがある。
ただ、筆使いとかはやっぱり共通している気がした。
特に髪の毛の表現は、筆を持ったときの力の入れ方、抜き方、運び方などが感覚として伝わってきて気持ちいい。


P50〜55
前原冬樹

1本の木から掘り出す。木彫りの作品を作っている方。

「傲慢なわけではないんですが、人に喜んでもらいたいという思いはまったくないんです。ただ自分が満足すれば、全世界から嫌だと言われても構わない。いわゆる現代美術的な作品も嫌いではないんですが、あんまり面白いと思わないんですよね」

この精神性の高さ。羨ましい。
芸術家がみんなこうだとは思わないけれど、ただただ羨ましい。
私自身、自分が「まがい物」感があるのだが、こういう人を見ると絶対的な差を感じて諦めも感じるし、突き抜けて痛快でもある。

昔、バス停のベンチにホウの実が置かれているのを見たことがあるんですが、そこだけ時間が止まったような感じだった。その静止画像みたいな空間の印象が目に焼き付いたんです。

これは、分かる。こういう瞬間はある。
だけど、これを共有できる誰かってのはいない。
悩みを打ち明けられる友人にでさえ、話したことはない。
だから、こういうSNSとかでつぶやくのがちょうどいい。
際限のない宇宙に放り投げる感じ。
恥も見栄もない。

そういう気持ちは、誰かに話したところで共感してもらえる気がしない。
「何それ」
「へー」
で終わりそうな気がするから。





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