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『移住×芸術』体験ツアー @北茨城市

先日のオンラインセミナーで、北茨城市の移住についての取り組みに興味を持った私は、翌週開催の日帰り体験ツアーに参加してきました。
正直なところ、その名の通り「茨城県の北にある街」としか意識したことがなかった場所ですが、セミナーで聞いた「芸術に着目した移住促進」に注目して訪問してきたので、レポートします。

北茨城市って、どこにある?

文字通り、茨城県の北端にある街。隣は福島県です。
今回は、土浦駅でバスに乗車して移動だったのですが、常磐自動車道を使って土浦から約一時間半ほどの距離。
配布された資料では「特急を利用すれば、品川から約2時間」とアナウンスしています。
ちなみにセミナーでは、大型ショッピングセンターなどへの買い物は、県内より、お隣の福島県いわき市が近いと言っていました。

北茨城市ってこんな場所

今回伺って印象にあるのが、「海・里・山」のエリアに分かれるなと。
それぞれ個性があって、市内でこれを一度に感じられるのは、少し羨ましいと思いました。

今年度から、地域おこし協力隊として着任されたスタッフさんによると、海側と山の中では2度気温が違うのだそうです。
また、暑さ厳しいと言われる名古屋から着任してきて、この夏海近くでも扇風機だけで過ごせたとのこと。
市の職員さんからも、「気候としては軽井沢とあまり変わらない」と言います。
雪については、山間部が積もっても、平地は積もることがほぼないし、むしろ雪の降ること自体あまりないとのこと。

夏は避暑に、冬は名物『あんこう鍋』でホクホク。
そんな場所です。

芸術の街北茨城市にある県立美術館『茨城県天心記念五浦美術館』

県立美術館『茨城県天心記念五浦美術館』

市内で最初に訪れたのが、この美術館。
日本で最初に美術学校を設立した「岡倉天心」が、学校をこの北茨城市となった「出浦(いずら)」に移設したとあり、そのゆかりの地に建てられた美術館です。

横山大観など著名な作家が卒業したことから、この美術館では、名だたる作者の作品が展示されていました。
1時間という限られた時間だったため、流し鑑賞しかできませんでしたが、歴史ある作品を一堂に観られる、貴重な施設です。

また、館内には美術に関するライブラリも充実していて、こちらの利用は無料。とても静かな環境で「もしこの地で自分の作品(物語)を創作するなら、ここに通って芸術の歴史を学でいるのだろうな」と想像した場所です。

美術館は高台にあるため、北茨城の海が一望でき、癒しのスポットでもあります。

次回は、併設されているカフェ(レストラン)で、海を眺めながらランチして、ゆっくり作品のイメージを膨らましたい!
そんな心落ち着く場所です。

ランチはもちろん海の幸!『汐騒の宿暁園(あかつきえん)』で、あんこう汁つきの豪華な海鮮料理

汐騒の宿暁園

ここのランチにありつく前に、市の職員さんの口から「ノドグロって、家で普通に食べてるけど、高級な魚らしいですね」と出てきたことで、そこにいた参加者が「イヤイヤ、それはないでしょう」と口を揃えて返したのですが、どうやら本当の事らしく、太平洋でもノドグロが獲れて、普通に食卓に並んでいたらしいです。
今度その真偽を確かめに、地元の魚屋を覗いてみたいと思ってます。

そんな会話をしていたら、おなかが空きました。
食事開場は、海辺に佇む民宿『汐騒の宿暁園』さん。
震災で被害に遭い、建て替えての営業ですが、楽天トラベルではアワードを連続受賞するほど人気の宿です。
宿の外に、おしゃれなカフェ風の建物があり、そこが宴会場とのこと。
普段は、ランチ営業しています。

暁園さんの宴会場兼レストラン

海を眺めながら、お刺身がメインの海鮮料理に、あんこう鍋のシーズンはこれからなので、あんこうの身の入った、あんこう汁をいただきました。

厚切りのお刺身、左のお椀があんこう汁

おいしいのはもちろんですが、お店の方皆さん温かい。
これが、お客さんからの評価の高さにもつながっているのでしょうね。

そして、お店の前の駐車場に3日ほど前に設置された自動販売機に、注目が集まりました。
「あんこう鍋」「どぶ汁」の自動販売機!

海辺に佇むあんこう鍋、どぶ汁自動販売機

食事をしながらそれを眺めていると、車で乗り付け買いに来ている人が!!

お値段!
おみやげとして買うには、手が届かなかった…

そんなに話題なんだと、ちょっと調べてみたら、どうやら毎日新聞の地方版に記事が掲載されたようです。
これからがシーズンのあんこう鍋!気軽に家庭でいただけるのは、嬉しいですね。
旅行のおみやげにしたい場合は、保冷の準備をして帰路につく頃の購入をお勧めします。

石井竜也氏が命名した、芸術家のための施設『期待場』

廃校となった小学校の校舎をリノベーション

お腹が満たされたところで、次に向かったのは芸術家が作業に没頭できる場『期待場』へ。
ここは、市の生涯学習センターの分館として、廃校となった小学校を、芸術に関わる人たちの作業場としてリノベーションし開放している施設。
『期待場』という施設名は、北茨城市出身の米米CLUBのメインボーカル、石井竜也(カールスモーキー石井)氏が命名。

旧校舎には、ろくろ室・陶芸窯室、アトリエなどがあり、様々な芸術家に向けた環境が整っています。

また、芸術家専用のシェアオフィスも開設し、新たな芸術家への活動の場を提供していました。
入居が決まると、上限100万円までの開業や設備費等の補助も用意されているそうです。
芸術の街としての発展に、市も相当な力を入れていることが分かります。

さらに、この『期待場』の旧体育館は、ギャラリーとなっていて、石井竜也氏の作品が並んでいました。

期待場って北茨城市のためにある名前ですね
おおお!
ステージ衣装!
ステージセット!!

ステージで使われたセットを、そのまま展示しているなど、石井氏の世界観が迫ってくるような空間。その光景は圧巻です。このギャラリー、何と観覧無料!石井さんのファンが訪れる、聖地でもあるそうです。

地域おこし協力隊から移住した芸術家を訪ねる『檻之汰鷲(おりのたわし)』ご夫妻と、活動拠点施設『ARIGATEE』

芸術家の活動場『期待場』からさらに山を登って、生活そのものが芸術と、ご夫婦で『檻之汰鷲(おりのたわし)』というユニットでの活動をされている石渡ご夫妻を訪ねました。

芸術家の拠点として開いている『ARIGATEE』
少しだけステンドグラスがオシャレ
『ARIGATEE』に入ると、作品が並んでいます

ここでは芸術体験をするとのことで、何をするのだろう?と思ったら、なんと新しくできるキャンプ場予定地にあった、桜の木を植樹すること。「生きることが芸術」と仰るお二人らしい、芸術体験です。

山に桜を植えました

また、芸術家の拠点として開いた活動拠点施設「ARIGATEE」や、ご自宅の釜風呂、炭窯、もりのとしょかんなど、お二人が手づくりしたワクワクするものを次々見せてくださいました。

近所から貰ったという、お風呂の釜

そして体験の最後は、耕した畑に、皆で菜の花の種まき。
全員童心に返って、ワイワイ言いながら種をまいていきました。

桜も菜の花も、来年春が待ち遠しい。
成長過程を、Twitterに上げてくださるようなので、早速フォロー!

種まきの様子をUPしてくれていますので、気になる方はぜひ。

そして、もし移住となった場合、先輩移住者であるご夫妻を訪ねて、色々聞くのもいいですね。
ただ、この夫婦の生き方は真似できないですが…。
また、ゆっくりお話伺いたいな。

旅の締めくくりは、夕暮れの海岸を眺める『北浜海岸』

大海原!

芸術とグルメを堪能したツアーも、いよいよ最後の行程。北茨城の海を体感すること。訪れた海は『北浜海岸』。東日本大震災の津波被害も大きかったことから建てられた、巨大な堤防を上った先に、大海原を見ることができます。

私は、湘南方面の海を見ることが多いですが、ここの波は迫力があります。
だからこそ、芸術家達を虜にするのかもしれません。

夕日は内陸に沈みます

この北浜海岸は面白い地形で、川(大北川)が海岸線に沿って流れていて、写真の夕日の反射は川の水。
満潮になっても、川と海が一緒になることはないのだそうです。
また、この浜がどうやら、色々な魚が釣れるようで、つり好きにはたまらないスポットなのだとか。

「つりをしながら、インスピレーションが湧くのを待つ」それも、贅沢な暮らしですね。

もう一つご紹介したいのが、今回駐車場をお借りした海辺のお宿『としまや月浜の湯』さん。

お料理も美味しいし、海を眺めながら温泉に浸かれる宿と、市の職員さん。
機会を見つけて泊まってみたいです。

1日巡って感じたことと、こうなったら嬉しいこと

今回セミナー、体験ツアー参加を通して、人の温かさや土地を楽しんで住む人たちを感じて、ワクワクの止まらない時間となりました。
そこで、ツアーに参加して「こうだったら、拠点として考えるかも」を書いてみます。

北茨城市の私が勝手に作った、3つのエリアに「ゲストハウス兼シェアハウス」で拠点を作る。
山は『ARIGATEE』があるので、『期待場』近くと海岸近く。
空き家バンクを開設しているようなので、空き家を活用して有志で造り上げるのも楽しいのではないでしょうか。

また、市内にはシャトルバスが運行していますが、土日祝日は運休とのこと。
休日に移住先として検討するため、街を巡りたいと思っても難しくなります。
なので、これとは別に1日2本朝夕にその各拠点3カ所を巡るシャトルがあれば、活動範囲が拡がると考えました。

私が運転をしないので、今後お邪魔するには電車。
拠点にしたいと思っても、活動は駅周辺と平日シャトルバスで移動できる範囲のみとなってしまいます。
さらに、多拠点とするならば、ある程度格安で寝泊まりできる場所がないと、足が遠のいてしまうのではないかと。

移住するにあたっても、体験移住だけでなく、気軽に頻繁に通える環境となっていれば、少しずつ土地が好きになっていくのではないでしょうか。

北茨城市「芸術によるまちづくり」アンバサダー

アンバサダーになっちゃいました!

今回のイベントに参加した人は、無条件で「芸術によるまちづくり」アンバサダーに北茨城市から任命されました。
「できれば、感想など発信してね」程度に捉えて良いのですが、とてもステキな場所に間違いはないので、今後機会を作って訪れてみようと思います。

北茨城市観光協会Twitter

駆け足で巡った北茨城市は、本当に芸術の街と言っても過言ではないほど、芸術が街中に散りばめられているところでした。
自然と対話しながらの創作活動の拠点候補として、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

イベントで稼ぐことが困難となった今、皆様のご支援が糧となります! ぜひ、応援のほど、よろしくお願いいたします! オリジナルストーリー(創作物語)を作り、ひとり芝居でその世界を表現している、オリジナルストーリーパフォーマーyouyou。