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定時に帰るには、明日できることは今日やらない【グローバル化と多様性】

社会人になって、商社勤務の父に言われたことの一つ。

明日できることは今日やるな。

当時は「24時間戦えますか、ビジネスマン」の平成時代です。
<今日できることを明日に延ばすな、Never put off till tomorrow what you can do today.>だろう、と一笑に付しました。


父の言葉の意味が分かったのは、その十数年後でした。
世の中ではワークライフバランスが話題となっていました。

残業が多い部署

時は令和。前職の経済団体で、残業が多い部署の部門長になりました。そこで私は徹底したのは<定時にあがる><明日できることは今日やるな>です。

それで確実に残業が減りました。今まで残業していたスタッフが、やらなくて良い仕事を切り捨てていくことを覚えたからです。明日に回すと消えてなくなる仕事も結構あるものです。

残業は職場にとってはコストです。浮いた残業代をボーナスとして上乗せできないか、昇給・昇格の理由にならないかも合わせて追求して成功しました。

定時であがるを基本に

まず、<定時であがる>を徹底すると、仕事の優先順位を考えざるを得ません。これはいつまでに仕上げる、力の入れ具合にメリハリをつける、今日やろうと思っていた事の順番を替える。
すごい勢いと密度で仕事をすることになります。定時で上がって、リスキリングや副業を、ということではないです。定時で上がってぶらぶらするためです。

翌日に大きなイベントがあって、どうしても仕上げなくてはならないこともあります。残業もメリハリです。霞ヶ関では、国会当番とか「待機」がかかると、「解除」がかかるまでは待つしかありません。そういう時は特別です。でも基本を<定時にあがる>を身体に染み込ませます。

そして定時にあがるとは、常に締め切りを守ることです。積み残しの仕事だらけということではないです。絶対にこの時間までに仕上げる。最後までやる。

提出が遅れないためには、自分の中での締め切りを半日か1日早く設定しておきます。コピー機が詰まるかもしれないし、PCがフリーズするかもしれない。急な仕事が飛び込んでくるかもしれない。

実際の締め切り前に仕事が済んだのであれば、余った時間にコンビニにでも行ってくれば良いのです。自分へご褒美を与えて、期日まで仕事には自然熟成していてもらいましょう。

やることを可視化

やることがたくさんあって、何から始めよう、と途方に暮れそうな日や週は、やることを書き出します。私は小さなメモサイズのホワイトボードに書いては消しています。書いてみると、やらなくていいか、というものも見えてきます。

優先順位づけがすべて

先輩や上司に追加で仕事を頼まれたときに、
「今、これとこれとこれを進めていますが、この順番で良いですか?」と聞いてみます。そして60点を目指して必ず急ぎのものは今日中に提出します。
それはやらなくて良い、その会議には出なくて良い、と判断を手伝って貰えば、こっちを先にやって欲しかったのに、それにそんな時間をかけなくて良かったのに、と言われなくて済みます。

職場での仕事でも家の仕事でも、緊急病棟のトリアージ方式が参考になります。積み上げで仕事を進めるのではなく、皆に平等に与えられた24時間をどううまく使うか、です。この救急医のTEDトークが参考になります。

重要度を色分け

新人を抱えていた前職では、仕事をチャットで依頼するときにコードを色分けしていました。🍓は今すぐ、🍊は今日中、🍋は明日以降、🐳は中期目標、🐢は余裕があれば。
🐢の多くは営業を含む先方都合の依頼で、本来業務じゃないものです。

米国家安全保障局の治安目安とそれに合わせた 色のコード

本当に明日までにやらなければいけないことなのか?

定時間際に「これやっといて」と言われたら「明日の朝一番で取りかかりますね!」と明るく力強く答えて定時であがるのもありです。

<定時であがる><明日やれることは今日やらない>これを常に考えながら仕事をすると、時間や仕事に追われなくなります。仕事が終わらない、という事態も防げます。
仕事は遅くまでやればやるほど、集中力も判断力も鈍って、やらなくて良い作業をしてしまうこともあるからです。

情けは人の為ならず

自分と自分の時間を大切にできない人は、人や人の時間を大切にできません。知らずに人の時間や労力を奪います。自分を大切にして、相手を尊重できます。社会を変えられます。

休み休み仕事をしないと、視野が狭まります。効率も落ちます。人生楽しくなくなります。

父はいつも楽しそうに仕事をしていました。残業も海外出張も多い昭和の時代に、サボり方を会得したのでしょう。

明日できることは今日やるな。サボるために頑張りましょう。令和の超過勤務縮減の第一歩です。

ワークライフバランスは実践あるのみです。

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