くにたち夢ファーム Jikka は、人口8万にも満たない小さなまちで起こした事業です。資金も人手もそんなにあるわけではなく、ささやかでも色々な意味で生活困窮状態にある女性の力になりたい、と2015年に始めました。 最近は、さすがネット社会です。ネットで必死で探してJikkaを見つけ、頼ってくる女性たちが多くなってきました。しかし、よくよく話を聴くと、今まで何度となく居住地の自治体や民間の女性団体等に相談したり、公的シェルターを利用してきた経験がある人たちであり、全く相談したこ
DVや虐待、ハラスメントにあい、住まいを失う、お金がない、頼る人がいない、となったときに助けてくれるのが生活保護制度です。生活保護受給者というと、特別な人、自分の力で生きられない人と一般的には思われがちですが、本当にそうなのでしょうか? Jikkaに支援を求めてくる女性たちは、心身の疲労や疾患のために働くことが困難になり、蓄えも尽きて次の生活再建が図れない方も多くいらっしゃいます。それは本人の努力が足りないということではなく、「努力のしようがない」ということなのです。まずは
Jikkaのアウトリーチ事業とは Jikkaのアウトリーチ事業は、2021年の6月よりスタートしました。 アウトリーチというと、路上や街に出て、対象と思われる人に声をかけ、お話をして、支援に繋げていくというイメージですが、Jikkaのアウトリーチ事業は、そうではありません。 すでにJikkaにたどり着いてこれから支援が始まろうとしている女性や子どもが対象です。 Jikkaでは、様々なパーソナルサポートを行なっていますが、その中でも当事者からの相談を待つのではなく、こちらから
Yさん(30代)は夫との関係がうまくいかず、家を出たかったのですが、行くあてもなく、友人の紹介でJikkaに相談に来ました。 中学生のときに急逝した母親が忘れられず、つらいことがあると死にたくなり、リストカットを繰り返していました。精神障害者手帳を取得し、生活保護を受けて暮らしています。それでも、中学時代にやっていたバレーボールを再開し、根気よく練習に励んでいました。 今年、そのチームが、東京代表チームのメンバーに選ばれ、関東大会に出場しました。そして関東大会で優勝を果たしま
2022年2月より、全国初の居住支援ケースとして、Jikka × UR都市再生機構 × 国立市社会福祉協議会の三者連携による、困難を抱える女性への居住支援がスタートしました。UR賃貸住宅の空室を活用し、住まいの確保に困っている女性たちに、低廉な家賃で貸し出すというものです。 私たちJikkaには、現行の法制度による支援の網からこぼれ落ちてしまう女性たちからの相談が日々寄せられます。たとえば、DV防止法の対象となるのは「配偶者や恋人間の暴力」とされており、それ以外の関係(親子
フードパントリーって何? 食の支援ですぐ思い浮かぶのは「子ども食堂」ですね。 Jikka でも、給食のない学校の長期休み期間に「子ども朝ごはん」を何年も開催してきました。残念ながらコロナ禍の中、人が集まって食事する行為が感染を広げてしまうおそれから中止となってしまいました。 一緒に食べるのではなく、食品を集めて配る活動が、フードバンク/フードパントリー/フードドライブなどです。 「フードバンク」とは、企業などから食品を集めて保管し、直接配付するパントリー団体等に渡す活動で
Jikkaハンドメイド部は、2020年の7月から実質スタートしました。 Jikkaには、DVや幼い頃より近親者からの虐待を受け生きてこられた方、そして現在生活困窮となっている方など、さまざまな女性が来られます。 おそらく、そうした女性たちをイメージするとき、一方的に受ける側の弱者であり、社会に対して自ら何もできない存在だと思われることが少なくないのではないでしょうか。 しかし、ここに来られる女性たちは、それぞれに個性的で、レース編みが好きな方、絵を描くのが好きな方、アクセサ
DVを受けるのは被害者にも悪いところがあるから? これはよく言われることです。被害者自身も、「自分が悪いから殴られても仕方がない」と言う人がいます。 どんな人も完璧ではありません。長所も短所もあっての人間なのだから、人間関係で、一方が100%正しく一方が100%悪い人間関係なんてありえません。それを、「相手が悪い」と決めつけることができる力関係が成立してしまうのがDVです。 仮に、一方がひどいことを言ったり傷つけるようなことをしたとしても、暴力でその相手を黙らせようとするの
情報誌「くにたち男女平等参画ステーション・パラソル vol.09 (2022年8月)」の「地域の活動」コーナーでJikkaの活動を取り上げていただきました。 地域で活動する上で意識していることとして、「まだまだDV被害者には偏見があるので、場をひらき、当事者、地域、行政が交流できるように」「DVや虐待被害は隠さなくていい。堂々としてていい」と遠藤は話しています。 情報誌は市役所やパラソル窓口で配布しています。 こちらからダウンロードもできます。
(『Jikkaからのお便り』2020年秋号より) 新型コロナウィルス感染症が、天から降ってきたようにやってきて、私たちはいきなり日常を変えることを迫られました。命がかかっていることとはいえ、よくわからない病気を恐れ、どうすれば終息するかもわからない状態。先の見えない中での毎日の生活は、とにかくおとなしく、世の流れに従って暮らすしかないと思わせ、自主的・主体的な行動を自粛することがよきこと、といわんばかりの空気が続いています。 緊急事態宣言が出され、学校は休み、会社は在宅勤務
先日の参院選に際し、女性支援政策について、Jikka責任者・遠藤良子が取材を受け、共同通信社配信で新聞記事(6月末〜7月10日頃)になりました。 茨城新聞、山口新聞、徳島新聞、上毛新聞、高知新聞、南日本新聞、熊本日日新聞、京都新聞、西日本新聞などで、「女性が自由になる居場所を〜動きとれぬDV被害者」「女性支援 新法成立どう生かすか」といったタイトルです。 記事の内容は、Jikkaを利用しているDVや虐待の被害女性の実態とともに、今年5月に成立した「困難な問題を抱える女性支援
https://mainichi.jp/articles/20210318/ddm/005/070/102000c https://www.tokyo-np.co.jp/article/95354 (「Jikkaからのお便り 2021年春号より) この二つの公的見解が示すものは何か? 日本社会は、女性と男性という両性がいれば、結婚し戸籍を作り家族となり、子を産み育て、家系をつなぎ、日本国民として国家を形成する、という考え方に基づいて作られてきた。そうした中でのこの二つ
2020年11月、渋谷区幡ヶ谷のバス停のベンチで夜を明かそうとしていたホームレスの女性が撲殺された。それを知った多くの女性たちが「彼女は私」と声をあげた。 彼女は家族と共に住んでいたが、仕事を失い、家賃が払えなくなり、家族はバラバラになった。最初はネットカフェなどにいたがお金が底をつき、寝る所もなくなりベンチに座っていた。きっと路上生活にも「慣れて」いなかったのだろう。路上生活を長く続けている人は、自分の身の安全を考え、場所を選んで寝ると聞くが、彼女は、とにかく座って休めると
「夫は、気に入らないことがあるとキレてしまい、暴力をふるいます。夫は病気なのでしょうか? やさしいときもあるし、子どももいるから離婚を決断できません」という相談がよくあります。 暴力(身体的暴力に限らない)という、相手を威圧し脅し傷つけ支配しコントロールしようとする行為を、なぜ加害者が選ぶのか? それは加害者が病気(精神疾患)だからなのでしょうか? 精神疾患なら仕方ない、その人を責められない、ということになりますが、はたして、DVは精神疾患が引き起こすものなのでしょうか?
DVはなぜ起きるのか? 理由があるはず、と思われがちです。そして理由は加害者と被害者の間にあると思われがちです。 たしかに暴力が発生するそのとき、きっかけはあるかもしれません。 しかしDVの本質は、一方がもう一方を支配しコントロールしようとすることにあります。 この関係は、その強弱や頻度に違いはあれ、夫婦間や男女間に限らず社会の至るところで見られる人間関係だといえます。他者同士が対等であることがおろそかにされ、人権が尊重されない場では、頻繁に起きているのではないでしょうか
DV防止法改正を求めて女性団体が声をあげています。「DVは身体的暴力だけではない。精神的、経済的、性的暴力も救済の対象にすべき」というものです。 これまでも、配偶者だけでなく、恋人からの暴力(デートDV)も救済の対象にすべき等、「配偶者暴力防止及び被害者の保護に関する法律」(通称DV防止法)の不備について指摘し、支援を広げるように求めてきて、自治体の相談窓口や警察等の対応も少しずつ変わってきています。 しかし、まだまだ変えねばならない、作らねばならない法制度がたくさんあります