キングプロテアが教えてくれるアフリカの美しい歴史(その3)
いまから30年以上前、南アフリカはアパルトヘイトが終わり、産業振興に本格的に注力し始めた。
南アフリカ最南端、ウエスタンケープ州。
この地で着目されたのが切り花産業である。
政府からも補助金を拠出し、プロテアの新品種の育成が進み始めたのである。
国営・民営が混じって品種の育成、その甲斐もあり、いま、南アフリカでは、どのくらいだろうか、僕が知っているだけでも50以上のプロテアの品種がある。
民営で品種開発に勤しんだ一人がパメラ・ミッシェルさん。
わたしたち「世界の花屋」でも何度も取り上げているプロテア・ヴィーナスを開発した女性としても有名な方。
そんなパメラさん、実はキングプロテアの品種開発にも取り組んでいた。
残念ながらこちらはそこまで日の目を見ることはなかったのだが、ある日、キングプロテアの苗をいくつかマレットさんに売り渡した。
その中に、上述の”キンググランデ”の元となる苗があったのであり、そんなパメラさんの苗は30年近くが過ぎ、たくさんの人に受け継がれながら、いまマレットさんの世代で陽の目を見たわけである。
なんとロマンチックで美しいストーリーなのだろうか。お花を通じて長きにわたり、人々の情熱・愛情が継承されてきたわけである。
キングプロテアに限らずお花業界ではよくあることだが、一つの品種が世に出るまで、なんとも長い時間を経るのだろう。。。せっかちな僕には絶対無理だといつも苦笑いする。(笑)
<続く>
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