ワンマングルメNo.15 「大井町"永楽"のラーメンとチャーハンで昭和にタイムスリップ!」
今でこそ「住みたい街ランキング」で上位に数えられる人気エリアとして広く知られている品川区 大井町。元々はJR京浜東北線と東急田園都市線(現在は大井町線)が乗り入れるセミターミナル駅だった大井町だが、現在は既存の2線に加え、人気の観光エリアであるお台場方面を経由して新木場に至るりんかい線も乗り入れ名実ともに利便性に優れたターミナル駅となった。
大井町は元来、日本の高度成長を支えた京浜工業地帯のサテライトエリアであり、大手企業に部品製造や加工を手掛ける小規模な下請け企業(協力企業)が点在する、いわゆるブルーカラーの街であった。そのため、数は少なくなったものの、現在でも「早い」、「安い」、「美味い」、「ボリューミー」と、舌の肥えたブルカラーの職人さんを満足させて来た昔ながらの飲食店が未だに残存している。
東急大井町線の改札とJR京浜東北線の改札とがある大井町東口を出てすぐの、昭和感溢れる東小路飲食店街にあるラーメン店「永楽」もそんな老舗名店の一つ。
永楽のラーメンはいわゆる支那そば系で、麺は平打麺。多加水麺でもっちりとした食感が特徴的。スープは醤油ベースでゲンコツで出汁とりしたあっさり系だが、焦がしネギが独特な風味を引き出している。
添え物は麺の茹であげ前に軽く湯通しして盛り付けられるもやしと歯応えのある叉焼、それに半分にカットされた煮玉子というシンプルな構成。
黒い焦がしネギが浮くスープにもちもちの平打麺がよく絡む。シャキシャキのもやしと共に口に運べば古き良き昭和、呑んだ後に駅前の屋台ですすった支那そばのそれを彷彿とさせる懐かしい味に心が和む。そう、永楽のラーメンは大井町人のソウルフードなのだ。
永楽でもう一品忘れてならないのがチャーハン。いわゆる五目チャーハンで、具材は叉焼、ハム、玉子、グリンピース、長ネギ。濃いめの味はブルーカラー御用達の伝統とも言えるもの。しかしながら、この濃いめの味が病みつきになる。強火で短時間で仕上げられたチャーハンは、中華街などのパラパラチャーハンとは異なりしっとり系。昔ながらの型押し器で盛り付けられた小山のようなチャーハンにレンゲを入れ、切り崩しながら食べるのも昭和風。箸休めとしての玉子スープがこれまた良い仕事をしている。
せちがらい今の世の中、永楽のラーメンとチャーハンで束の間昭和を回顧してみるのも一興。
因みに、永楽ではオーダーを通す時に、ラーメンは「そば」、チャーシュー麺は「あか」と称する。