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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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2024年5月の記事一覧

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ショートエッセー「Group B」

"Group B"は、人気TVドラマシリーズGame of Thrones(ゲーム・オブ・スローンズ)で"北の王"スターク家の長男ロブ・スタークを演じたRichard Madden(リチャード・マッデン)が、過去の辛いトラウマを克服し、長い苦悩の末にカムバック果たすラリードライバーを演じたショートムービーである。 本作品は2016年の英国王立テレビ協会賞を受賞すると共に、学生アカデミー賞とAFIフェスト審査員大賞にノミネートされた。

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ショートエッセー「"Enter The Dragon(燃えよドラゴン)" The Art of Fighting Without Fighting. 」

ハン主催のトーナメントに赴く船上で、同じくトーナメントの参加者であるニュージーランドのパーソンズに"お前は何流だと?"と問われたブルース・リーはこう答える。 "You can call it the art of fighting without fighting." (戦わずして戦う技術と言ってもいい。) これぞまさに孫子の兵法。

ショートエッセー 「他者に畏怖と敬意を持て」

 世の中、自分のことを知っている人間よりも知らない人間の方がはるかに多い。  物凄い数の友人・知人がいると豪語する人間でも、地球規模で見ればその数は全人口のほんのわずかに過ぎない。  が故に自分は初見の相手に対峙した際には常に敬意と畏怖の念を持って接するようにしている。  翻ってみれば、日本人ほど見てくれや年齢、人相、風体、そしてなによりも肩書で人を判断する輩が多い国は他に例に見ない。  その手の輩は、いずれ致命的な判断ミスを冒し、自ら墓穴を掘ることになる。  取る

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エッセー 「酒の文化を知らずして酒を嗜むべからず」

 シャンパンを注文する時にバカの一つ憶えのようにDom Pérignon(ドン・ペリニヨン)と声高に叫び、あたかも金持ちぶっている成金どもは、ドン・ペリニヨンという銘柄名がシャンパンを発明したとされるベネディクト会の修道士ドン・ペリニヨンにちなんで名付けられたことなど知る由もなかろう。  また、同じく有名なシャンパンブランドMoët & Chandon(モエ・エ・シャンドン)の創業が1743年で、クロード・モエがシャンパーニュ地方からパリまで船積みワイン(つまりケータリングワイン)にしたのがその歴史の始まりであることなど当然知る由もなかろう。  さらに、同じくVeuve Clicquot(ヴーヴ・クリコ)が創業者の息子であるフランソワ・クリコが死去した後、事業を引き継いた未亡人バルブ・ニコル・ポンサンダンに因みに名付けられたことなど知る由もなかろう。因みに"Veuve(ヴーヴ)とはフランス語で未亡人を意味する言葉。  酒は文化である。ただ呑めばいい、ただ酔えばいいという低脳で下品な輩とは同じテーブルにつきたくはない。  人生の貴重な時間、しかも酒という人類が生み出した最高の嗜好品を嗜む際には、その文化を分かち合える最高の仲間とグラスを合わせたい。 それがセクシーでゴージャス、そして知性溢れる情熱的な女性ならなお最高。 そんな素敵な女性とジェイムズ・ボンドも愛飲する英国王室御用達のBollingerを楽しみたい。

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エッセー「追憶のコリン・マクレー」

偉大なる英雄ジミー・マクレーを父に持つコリン・マクレーは、ラリードライバーになるべくしてこの世に生を受けた生粋のサラブレッド、ラリーの申し子である。  かつてコリンはこう語った「ペダルは何でも床まで踏むものだ。」  コーナーは常に真横。その豪快な走りで常にマシンを限界まで攻め立てた。  リタイアか優勝か、典型的な天才肌のドライバー。  何事にも怯まず、果敢に挑戦していゆく姿勢はまさに"ハイランダー" 、スコットランドの誇り至宝であった。  そのコリンが2007年9月15日、自家用ヘリを操縦中に自宅近くで墜落、39歳の若さで急逝した。  突然の悲報に世界中が悲しみに包まれた。  しかし、コリンの豪快な走りは今でも多くのラリーファンの脳裏に鮮明に焼き付いている。  その英雄譚は永遠に語り継がれだろう、孫子の代まで。

エッセー 「魔人 小野篁」

 時は平安。  活気溢れる昼の喧騒も途絶え、夜の帳が下りる頃、京の都は人間の情念と死者の怨念が黒く渦巻き、魑魅魍魎が跋扈する魔界都市へとその姿を変える。  都の片隅、閑静な庵の裏庭に掘られた何の変哲もない古井戸一つ。  草木も眠る丑三つ時。漆黒の闇の中、井戸の蓋を開け、吹き揚げる妖気の中にその身を踊らす人影あり。  その人影こそ誰あろう、庵の主・小野篁(おののたかむら)であった。  小野篁、現世では朝廷に仕える有能な官吏でありながら、夜ともなれば自宅裏庭の古井戸から

エッセー 「パルマ "DRAGONE D'ORO(金龍大飯店)"の思い出」

 嬉しいことを発見した。  イタリアはパルマ、Via Agostino Bottegoにある中華料理店DRAGONE D'ORO(金龍大飯店)がまだ健在で、頑張っていることが分かったのだ。  思い起こせばこの店、1997年、パルマに滞在している時に見つけ、滞在中連日通った店。  当時はまだ開店したてで、若い中国人の夫婦が頑張っていた。  この店の料理はすべてが美味しいが、特に鉄板焼きの牛肉焼きそばが絶品で、行くと必ずオーダーしていた。  パルマからモデナに移った後も

エッセー 「ヒトラーの極意」

 かつてアドルフ•ヒトラーが身内に語った言葉。  「どうだ、わたしの言ったとおりだろう。選挙の極意とはこういうものだ。つまり大衆は限りなく愚かだ。大衆は女のように感情だけで動く。だから女をモノにするときのように、優しくしたり威圧したりすれば、大衆も政権も簡単にモノにできるのだ。  青少年も同様に愚かだ。彼らには車とオートバイと美しいスターと、音楽と流行と競争だけを与えてやればいいのだ。それでシャンペンの空気を抜くように、かれらの頭から”考える力”を抜き取る。あとは車とスタ

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エッセー 「元天使のつぶやき」

 人間が「現世」と呼ぶ「地獄」に堕ちてきて早くも2024年もの時が過ぎた。  いまでこそ単なるアイドル好きのオッサン姿に身を身をやつしているが、今を遡ること2024年前までは光り輝くセラフィム(熾天使)だった。  当時のクライアントであった ”神 ”とギャラの支払いの件でちょいと揉め(笑)、激昂した奴に翼をもがれて天上界から突き落とされて叩きつかられたのがヨルダン川西岸の荒涼とした大地だった。  よろよろと立ちあがり、痛い腰をさすりながら歩いていた時、偶然にもその後のクライアントとなったソロモン王と出会った。  ソロモン王 「You! もしかして天使じゃね?(ジャニさんか!)」  自分 「いててて、、ついさっきまではね・・・。今は失業中、で何か?」  ソロモン王 「OH! You、よかったらうちで働かない(ジャニさんか!)」  自分 「・・・・・・・??」  ソロモン王 「ぶっちゃけ、今魔法とかのスキルある人大募集中なわけよ。You、やっちゃいなよ!」  自分 「これからリクナビNEXTに登録するのもウザいから、まあいいか。そんじゃ宜しく哀愁」  ソロモン王 「OK牧場! そんじゃ決まりね! Youの芸名(?)はベルゼブブでどうよ?!」  自分 「ボボ・ブラジルでもブブゼラでもブルセラでも何でもいいよギャラさえくれれば」  というわけで元天使(業界では' 元天 ' と呼ぶ)のほんの僅かの力を使ってフリーメイソン繁栄の礎を築いてあげたわけ。  そんな昔の話はどうでもよいわ。  この映画「LEGION」、この映画を観た時、懐かしいな〜と思ったわけ。  元クライアントである" 神 " は基本的に飽きっぽい。さらに短気で寂しがり屋で気まぐれ。そして超がつくほど暇。  自分のコピーとも言える「人間」を創り、争わせては楽しんでいる。  でもそれもすぐに飽きる。そうすると大粛清を行いゲームをリセット。そしてまた同じことを繰り返す。    傍から見てて、遊び道具である人間は大変だわな~と常々思ってたんだわ。  大粛清は氷河期と大洪水という手段により過去2回行われたんだけんど、3回目は自分の配下である天使を使うというのがこの映画の設定。  面白い、いいとこついてるじゃん、 わかってるじゃん、というのが率直な感想。俺様も元部下だから"神 "が考えてることは大体推測がつく。  まず、神の全人類抹殺命令に背き、自らの翼を捨ててまで一人人類に肩入れするのが大天使ミカエルというのがいい。  さもありなん、奴(天使は中性である)は優しいのよね~。人間を自分の子供みたいに思っている。  普通やんないよ、天使が自らの翼を捨てるなんて。人間はありがたく思わなくちゃいけんよ。  そして、神の命令を忠実に遂行しようとするのがミカエルの兄弟分とも言える大天使ガブリエル(むかしからこの表記が大嫌いである。正確にはゲイブリエル)というのもいい。  これもまたありそうな設定である。奴は生真面目なのよね~。頑固だから。 この映画、天上界の裏事情にかなり精通した者がシナリオを書いたのではなかろうか。  裏事情はともかく、単なるアクション映画としても高い完成度を見せるこの作品。  すでに公開はとっくに終了しており現在はDVDでしか鑑賞できないが、超お薦めの作品である。  次回作を製作する時にはスーパーバイザーとして参加させてね。コンサル料安くしとくから(笑)。

ショートエッセー 「Just not today」

 その昔、取材でアフガニスタンに滞在中、基地内のバーで呑んでいる時、友人のアメリカ海軍特殊部隊Navy Seals隊員が言った言葉が今でも胸に深く刻まれている。 We are going to die. You're going to die, I'm going to die, we're all going to die. just not today. 「我々は死に向かっている。君も死ぬ、俺も死ぬ、皆死ぬ。だが今日ではない。」 R.I.P. PJ

エッセー 「ディストピア」

 夢を見た。  20XX年のある日。  深夜、例によって「ヤパネットたがた」のテレビ通販を見ていると、ヨタトの新型EV・ウスリプが紹介されていた。  老いてますます盛ん。精力絶倫のビンビン。今や経団連の会長まで務めるタガタ社長の超高音が響き渡る。  「ハイ! ヨタトの新型EVウスリプ。新型ですよ、新型!なんと、なんと、一回約60分の充電で300キロ走れます! 電気代は一日僅か20円! 20円ですよ!! もちろん、完全自動操縦ですからお子様でも安心!マイナンバーカードさ

ショートエッセー 「走り屋」

久しぶりに夜の箱根を走った。 奥湯河原から大観山を経て芦ノ湖へと至る県道75号線、通称「椿ライン」。 今を遡ること30年前、毎晩のように走ったホームロードである。 攻めたわけではない。ひとコーナーひとコーナー、昔の思い出を慈しむ様に走った。 驚いたことにほぼ全てのコーナーを憶えていた。 しかもコーナリングラインがはっきり見えた。 「俺、まだいける。」 大歓山の駐車場にクルマを停め、夜空に輝く満天の星を見上げ確信した。 走りへの熱き思い。荒ぶる走りへの渇望。 「

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ショートエッセー 「メルセデス・ベンツW210型 190Eナルド高速トライアル」

メルセデス・ベンツW201型190E2.3-16(以下2.3-16)は、メルセデス・ベンツ初のコンパクトセダンW201型190Eのスペシャルモデルとして1984年よりラインナップに加えられた。 メルセデス・ベンツは、2.3-16の圧倒的パフォーマンスを世界に知らしめるべく、正式リリース一年前の1983年、南イタリア・ナルド・サーキットにおいてFIA承認世界速度チャレンジを敢行した。 トランスミッションのギヤ比以外は市販車と全くの同一スペックという2.3-16のプロトモデルは、5万kmを平均時速247.939km/hで走り抜き、見事に世界記録を更新した。

ショートエッセー 「沸騰都市にそびえる摩天楼 ブルジュ・ハリファ」

United Arab Emirates (UAE), Dubai 現在世界で最も高い建造物 ブルジュ・ハリファ(206階建て・全高828.0 m) 一度ブルジュ・ハリファの154階特別展望台" At The Top Sky " から外界を見下ろせば人生が大きく変わる。自分が天界の神になったような優越感を味わうともう人間の世界へは戻れない。日本円で約15,000円の特別料金を払ってでも体験する価値は十分にある。