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地域の価値

 また緊急事態宣言が発出されますね・・・ワクチン接種が進んでいるはずなのに、感染者が増えて続けるこの矛盾・・・なんなんでしょうね・・・( ˘•ω•˘ ).。o

 でも、コロナの感染者の増加数と、オリンピックやパラリンピックの因果関係を論じる人もいて、短絡的にそれに直結させようとしている人もいていますが、それだけが原因ではないと思いますので、問題は分離して考えてくださいね。

 さて、今回はいつもとは変えて、まずは一冊の本を紹介させていただきますね。

◆年収は「住むところ」で決まる

 この本、バリュー・リノベーションズ・さの(VRS)の事務所にあったので読ませていただきました。

 2014年に出版されたこの本は、アメリカでの雇用とイノベーションの因果関係をまとめた都市経済学について書かれた本で、経済・労働の好循環が生まれている地域と、そうでない地域があることを分析した本です。

 ざっくりお話しますと、

 ①最先端のイノベーティブな産業が街に集積
 ②最先端の産業は利益率が高く儲かる
 ③給料が高い人がたくさん集まる
 ④会社も社員も、たくさんお金を持っている
 ⑤周辺の産業や、末端のサービス産業まで儲かる

と言った内容のことが書かれています。しかも、その年収が高い地域には、必ずと言っていいくらい、超一流の学者ではなく、「スター研究者」がいるそうです。では、なぜ「超一流の学者」でなく、「スター研究者」が必要なのかと言いますと、有力な新興企業の設立に関与しているケースがしばしばあるそうです。例として挙げられている地域としましては、映画で有名なハリウッドです。

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 あのエブリデーロープライスで知られている「ウォルマート」も、アーカンソー州にあった本社でオンラインショップ部門の立上げを試みましたが、クリエイターがいないことを理由にサンフランシスコを選んだそうです。

◆かつて栄えたまちも

 「年収は「住むところ」で決まる」では、アメリカでかつて活力ある代表的な都市として挙げられていた地域としまして、「デトロイト」「クリーブランド」などがありますが、この「デトロイト」や「クリーブランド」は、2000年から2010年の間に、それぞれ25%、17%と人口減少し、特にデトロイトは、1950年をピークに減少をし、今は100年前の人口にまで減少しているそうです。

 これらの地域は、「ものづくり」でかつて栄えた都市でしたが、所得はかなり減少し、アメリカ国勢調査局が定める「貧困ライン」を下回るまで落ち込んでいるそうです。

 また、アメリカと言えば、ジーンズでも知られている「リーバイス〔リーバイ・ストラス〕)が、ゴールドラッシュに沸くアメリカ西部で金の採鉱者向けに製造していましたが、かなり高い価格が影響して、人件費を抑えるため、海外に生産拠点を移したことにより、アメリカ国内の雇用者が大幅に減ったそうです。これ以外でも、みなさんご存知のiPhoneなどの最先端機器もアメリカ国外の安価な人件費の国へと移行し、その結果、これらの地域の雇用は減少、それに伴い年収は下がってきているそうです。

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◆果たして住む場所で年収が決まるか?

 この本はアメリカの状況について書かれたものであり、日本でも当たっているのかというと、下の表の通りに、東京都、神奈川県、大阪府、愛知県の順番になっており、これに京都府を加えた1都2府2県で平均賃金を上げていますね・・・(出典:令和2年賃金構造基本統計調査〔厚生労働省〕)

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 確かに最低賃金も高いことから、おのずと賃金も高くはなってしまいますが、都市圏に人が集中するわけですね・・・

 地方はこの先、大都市圏へと人口流出を防ぐことはできないのでしょうか。

◆地域の真の価値で勝負する

 即座に人口流出を防ぐことはできませんが、地道に活動していくと、徐々にではありますが、可能性はあります。

 それぞれの地域は、その地域が成り立った歴史があります。そこの地域にしかない風景や文化、食などあるはずです。どこの地域にでもある景観や建物を造っても、もともとその地域にはなかったものです。都市開発をしたからと言って、話題性だけでにぎわいを創ることがあっても、持続したまちの再生につながるわけではないのです。

 それで成功した事例は、ディズニーランドとUSJくらいしかないのです。しかもその舞台裏は、かなりのテコ入れをして今に至っているのです。

 この2つの成功事例が全てに当てはまるわけではありません。大衆を相手にするビジネスはいずれ衰退します。また、成功した事例のうわべだけを真似て、本質を理解せずにいてると、メッキはいずれはがれます。真の価値がある人やモノ、地域が、やり方次第ではいつまでも価値を残せます。その地域にしかない真の価値を見つけ出し、ターゲットを誰かを間違わなければ、その価値は伝わります。

 日本の場合は特殊な事情があるので、アメリカとは異なるかもしれませんが、リアルな現場で仕事するという時代から、離れていても仕事ができる時代に変わろうとしています。そうなってくれば、家賃や物価相場の高いところで、薄利でビジネスをし続けるのは難しくなると思われます。そういう時代が来る前に地方都市の価値をPRしていく必要があると思います。

 地方都市だから衰退するしかないのではなく、地方都市ならでは価値を見つけましょう。

 ビジネスでもいえることですが、成功事例のマネをするのではなく、成功事例と失敗事例を見て、物事の本質を見抜く力が必要です。地域もビジネスもレッドオーシャンで競い合うと安価で価値を安売りするだけです。ブルーオーシャンで競う相手がいないフィールドでビジネスすることが、その価値が伝えやすいし、伝わりやすいのです。

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価値ある未来に向けて

 以前の「クオリティある仕事をめざして」でも『価値を売ることこそ、「クオリティある仕事」』と書かせていただきましたが、価値を売ることができる地域が、価値のある地域なんだと思います。ですので、お金を出してくれる人への感謝を込めて、地域のホンモノの価値を上げていきましょう!

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