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【#一日一題 木曜更新】 ママンのアナタも、アナタ

山陽新聞の「一日一題」が大好きな岡山在住の人間が、勝手に自分の「一日一題」を新聞と同様800字程度で書き、週に1度木曜日に更新します。

風呂上がり。髪の毛を乾かしながらコンビニへ行く用事を思い出してしまった。うわー、めんどう。でも行かなければ。

上半身に身に付けている衣類はTシャツ1枚。今更下着を身に付けるのが面倒で、ノーブラを隠すために冷感素材の薄手パーカーを上に羽織った。しかし玄関の姿見に移る自分の姿を見て思わず噴き出す。薄手の布2枚では、乳首が全く隠れていない。そんなに主張してくれるな、わたしの乳首。

Tシャツごしのバストを見て、セックス・アンド・ザ・シティのシャーロットのエピソードを思い出した。シャーロットは不妊治療をあきらめたのち、養子を迎えその後奇跡的に自然妊娠・出産をした2人の女の子のママ。

シャーロットが雇ったベビーシッターは若くてキュート。娘たちも懐いていて、シャーロットもとても信頼を寄せている。シャーロットが娘たちにイライラしてパントリーに閉じこもり涙した時に、黙って子どもたちを母から離してケアする配慮ができる人である。そんな彼女は、いつもノーブラ。ノーブラであるがために起こるちょっとエッチなハプニングが描かれていて、その中に夫・ハリーがシッターの彼女を憎からず思っているのでは?というドタバタもあった。

もしも夫がベビーシッターと浮気していたら?

かなりの一大事だが、シャーロットは夫の浮気より何より「あの子(シッター)に辞められたら困る!」と言って笑う。さらに、不妊治療の末に養子を迎えて出産までしてママになったのに、その生活にイライラしてしまう自分を責める描写もあった。ノーブラを軸にしたコミカルなエピソードだけど、これはそれほどまでに幼子育児中のワンオペママはひっ迫しているという例えなのだ。

こんなふうに母の苦悩をからりと描いたコンテンツが大好きで、西原理恵子さんや伊藤理佐さん夫妻の漫画もよく読んだ。ノーブラシッターのような下世話なネタでも真のテーマは深刻で、見終えたあとにちくりと胸に余韻が残った日には、んもう、やられたわとかえって涙が出たりして。

しかし同じテーマを扱っていても愚図愚図と湿った「わたしってかわいそう」で終わる表現は苦手である。「ママである自分を否定・嫌悪」を描いた愚痴一辺倒な文章を見ると、いやそれだってアナタでしょうと心の中で悪態をついている。

「ママの自分は自分ではない」的な書き物は、金原ひとみさんほどの筆致ならぜひ読みたい。あの朝日新聞のコラム掲載以来、あちこちでママ自分否定の読み物を見るかける。女性の苦悩が表に出てくるのは嬉しい。しかし文学的に昇華されてない愚痴文章はしんどいのだ。

愚痴こそふみ の上手なれ。
愚痴のようなうっとおしい内容でも読者をうならせることができれば、きっと書き手として高みへいける。共感や同情、笑いだけではない筆致はどうしたら身に付くのだろう。







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