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私的「ミックスCD」名盤10選

こんにちは。音楽オタクです。ところで、皆さんは「ミックスCD」って知ってますか? ロック等を中心に聴いている方は知らない文化かもしれませんね。ざっくり説明すると、主にテクノやハウス等のクラブミュージックの分野において、人気DJが自身の審美眼で選んだ名曲をノンストップで繋げ、それを一枚のCDに納めたものです。クラブでの音楽体験を自宅でも…みたいな触れ込みで紹介されることが多いです。

しかしこんな記事を書いておいてなんですが、自分はクラブミュージックはここ数年で聴き始めたくらいで、ぶっちゃけ得意分野ではありません。なのでミックスCDについての詳細な説明は他の詳しい方々の記事を参考にして頂けると幸いです(すいません…)。

さて、今回はそうしたミックスCDの中から、個人的におススメする作品を10作品ほどご紹介します。どれも名作揃いです。なお、ミックスCDはそもそもの流通数自体が少なかったり廃盤になっていたりと、入手するのに手間や費用がかかる作品が少なくありません(自分もそういった作品はほとんど聴いていません…)。なので、今回はSpotify等のストリーミングサービスで全曲の音源が聴けるものを選びました。

James Holden『Balance 005』

2005年の発表当時、あまりのクオリティの高さからクラブミュージックシーンに激震を起こした(らしい)James Holdenの大傑作。今作は人気のミックスCD『Balance』シリーズの中でも圧倒的な人気を誇っており、ジャンルで言うとProgressive Houseになります。

二枚組の今作はどちらも完成度が高いですが、特筆すべきはDisc 1。幻想的なメロディアスさと力強いリズムの高度な両立。全体を通じて一定のテンションを持続させつつも、起伏に富んだ全体の構成力。「ハウスは反復が多いから退屈」と感じている方にも絶対に聴いてほしい大傑作です。個人的には、音楽性は異なるもののMy Bloody Valentine『Loveless』のようなサイケデリックな陶酔感を感じます。

Sasha『Involver』

Progressive Houseの世界的DJ、Sashaの代表作のひとつ。既存の曲を繋げたのではなく、Sasha自身がリミックスした曲を繋げたという手の込んだ作品。

クラブミュージック的なノリの良さと適度にリラックスした幻想的な雰囲気が両立されている作風。彼の選曲眼や音色への拘り、そして構成力の高さがひしひしと伝わってきます。また、丸みを帯びながらも芯の強いキックの音色が素晴らしく、四つ打ち一辺倒で無くブレイクビーツ中心な辺りも個人的には好みのポイント。

(なお。この作品はオフィシャルでYouTubeにフル音源がアップされているのでそちらへのリンクを貼っています。)

Craig Richards『fabric 01』

ミックスCD界におけるトップブランド『fabric』シリーズの記念すべき第一作目。ジャンルはTech House。メロディアスな前半とパーカッシブな後半に別れるのですが、アルバム全体を通じてその両方に極端に振れることはありません。メロディアスだけどメロディアス過ぎず、ノれるのに妙な落ち着きがあるような、不思議なバランス感覚が病みつきになる作品。自分の第一印象は「地味」でしたが、聴けば聴くほどその深みに気づかされました。

Four Tet『FabricLive.59』

『fabric』シリーズがテクノやハウス中心なのに対して、『FabricLive』はDrum & BassやDubstep等の非四つ打ち音楽を中心としたシリーズです。59作目となる今作を担当したのは電子音楽界の巨匠Four Tet。

UK Garage中心の選曲で、Burialや
Floating Pointsなど大御所の楽曲も収録されています。このジャンル特有の真夜中の疾走感と抒情性を堪能できる名盤。

Kruder & Dorfmeister『DJ-Kicks』

ドイツの名門レーベル「!K7」のミックスCDシリーズ『DJ-Kicks』の初期の人気作。1996年に発表された今作は、Downtempo, Breaks, Drum & Bassといったジャンルからメロディアスな楽曲を最高のバランスで融合させた内容です。自分はリラックスしつつも適度にエネルギーが欲しい時によく聴いてます。Massive AttackやDJ Shadowが好きな方は必聴。

John Talabot『DJ-Kicks』

2012年発表の『Fin』がPitchforkをはじめとする世界中の音楽メディアから絶賛された、実力派ミュージシャンのミックスCD。ジャンルで言うとBaleacic BeatなりDeep Houseと表記されることが多く、Chillbwave的なゆるやかなグルーヴが特徴的。スローな立ち上がりから徐々に熱を帯びていく展開が見事な作品です。

Moodymann『DJ-Kicks』

デトロイト・ハウス界の鬼才のミックスCD。歌モノが多く聴きやすいうえに、ノらせる一辺倒ではない緩急のついた独特のグルーヴが本当に心地良い名盤。

後半にスウェーデンのシンガーソングライターJosé Gonzálezの名曲を挟んだりとジャンルに縛られない彼の選曲センスと構成力が光ります。House好きのみならず、Trip HopやR&Bといったジャンルが好きな方はマストで聴くべき。

Forest Sword『DJ-Kicks』

奇妙な美しさがある作品。古今東西の風変わりな音楽が詰め込まれ、それが全体を通して一つの謎めいた世界観を構築している様は圧巻の一言。

全体の流れは歪な部分がありますが、それがまた各楽曲の味わい深さを引き立たせているように思えます。Dead Can Dance(今作にも収録)や民族音楽など、一風変わった音楽が好きなマニアに是非聞いて欲しい名作。

Jayda-G『DJ-Kicks』

期待の若手女性DJの作品。新旧のソウル~ファンク近辺の音楽から近年のハウスまで、ジャズ~ソウル方面のオシャレな雰囲気が堪能出来る作風。夜のドライブにピッタリなオシャレかつ都会的なムードが堪能できます。今回紹介した作品の中でも最も万人受けするであろう秀作。

Mark Farina『Mushroom Jazz 6』

アメリカ西海岸のベテランDJ、Mark Farinaの人気シリーズ第六弾。ほぼラップ無しの落ち着いたムードのJazzy Hip Hop。何もしたくない休日のお昼にぴったりの音楽。サンフランシスコの空気感に思いを馳せながら聴いて欲しい作品。

いかがだったでしょうか。今回の記事がミックスCDという分野を知るきっかけになれば幸いです。

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