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甘え。
「それは甘えですよ」
気心の知れた友人たちとゆったりとソファーに座って語り合う。普段は細心の注意を払って会話をするけど、今日は気楽に思っていること、考えていることをぺらぺらと喋っていた。たまたまその場にいた彼女は、目的のために手段を尽くさないわたしにイライラしていたみたいだった。「私なら、まず代表者の人に会いに行きますね」「断られてもいいじゃないですか、ビジネスってそういうものでしょ」。営業が得意という彼女の論理は明確で、そのために疑いもなく言い切れる姿は清々しくもある。
だけどもうわたしにその言葉は響かない。目的のために今よくないことをすることは本当に正しいのか。わからない。わからないけど今はそれを選ばないことにしている。その結果何も手に入らなくても、何も成し遂げられなくても、誰も救えなくても。今のわたしはそちらを選んでいる。
どうしてそちらを選らぶのかは、まだわからない。
いつか彼女と答え合わせができるといいな。
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