背伸び
幼少期から音楽に触れた生活をしていた。
ただ、少し違うのはJ-POPなとではなく、レコードだ。
レコード集めの父とよく週末に小さな別荘に行き、ずっとレコードを流しながらテレビも携帯も触らない週末を過ごしていた。
誰の曲か分からない。なんて歌ってるか分からないけど、近くにほかの人間の生活音が全くしない。
山の中で少し薄暗くした部屋でレコードをかけ、コーヒーの代わりにコーラを飲む。
少し背伸びした最高の贅沢だった。
私たち子どもが成長するにつれ、その習慣が無くなってたまに家で流れるくらいになってしまった。
ふと携帯であの時好きだった曲を検索しようとした。
でもやめた。
携帯から流れるあの曲をどうも好きにはなれなさそうだったから。
あの曲を普通に携帯で聞いて何も無く過ごす私を見たくなかったからかもしれない。
少し部屋を暗くして
親と同じ少し大きいカップにコーラをついで
ただ純粋に曲の雰囲気が好きで目を閉じて踊っていた少し背伸びをしたあの時が好きだった。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?