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雲の旅 ジャワ島【スキを追う旅を終えて】


昨日、約2週間の旅を終え帰国。

その間、ほぼ毎日旅の記録として投稿し
その総集編、編集後記的なもので写真や内容は重複しますが
まとめてみました。



今回の旅は、はじめにも書いた通り
インドネシアのジャワ島の染色であるバティックを観に行くという目的でした。


テキスタイルにただならぬ興味を持っておりまして
特に更紗と呼ばれるものに惹かれて惹かれて恋焦がれてます。


更紗、もう日本語として馴染みがあります。
さらさの語源ですが様々な説がある中、
「インド産の木綿織物」を意味するポルトガル語の「saraça」
スペイン語の「サラツァ」が、かつて南蛮貿易で布とともにもち込まれた言葉ではないかと言われています。

そして、バティックの語源は、ジャワ語で広いという意味の「アンバ」と、
点を作るという意味の「マティック」からという。

世界的にはバティック=ロウケツ染めとして広まり、
2009年ユネスコの無形文化遺産に認定された。


そんなジャワ更紗についての知識はいくつか所有する染織の書物から得ているが、
最近入手した(京都の古本屋にて)本がとても詳しく、写真も多く、30年以上前の文献ですが、かなり参考になる資料として復習でも大活躍。

国立民族博物館にて1993年に開催された特別展

『ジャワ更紗 その多様な伝統の世界』 の図録でした。


国立民族博物館 特別展
図録
1993年
  


この図録に載っているバティックの種類や歴史を最初に訪れた
ダナル・ハディ バティック博物館でほぼ観ることができた。

ここは本当に素晴らしいコレクションで、本や資料でみていたものの
本物をかなり網羅していた。

バティックと一言で言っても、それはかなり多様性のあるもので
地域や民族でも違いがあることが、実物を観ながら実感できたこと。

ガイドの方もとても優秀で、質問に的確に答えてくれて勉強になった。
同じ説明を聞くことになっても(要ガイド案内)またぜひ訪れたいと思っている。



そして、少ないジャワの観光情報として参考になったのが
インドネシア中部ジャワ州観光情報局の情報。

こちらも2017年が最後の更新のようで、情報は新鮮ではないが
基本情報は値段が変わっているくらいで、訪れたかった場所が網羅されていて参考になった。





そんな情報からたどり着いたのが、中部ジャワのSoloという古都。

初めて知る都市だが、バティックにはかなり重要な都市ということが
色々調べているとわかり、今回はここを重点的に巡ることにしたのでした。

そのSoloにメインとなる二つのバティック村のようなエリアがあり

KaumanLaweyan





そのうちのLaweyanをワタシはかなり気に入りました。

一応観光化されているが、中心部から少し離れているためか?
あまり観光客の姿を見ることなく
バティック工房の多い、日常的な村という感じで巡ることができたのが
良かったのです。


そこでバティック体験とともに、その作られる過程を見学できたことが
一つ目的クリアといった感じで満足。



ティーチャーのひとり




別の工房のベテラン職人
これは細かい!




型押し作業は男性職人が多かった







型押しも次回チャレンジしてみたい!





染色職人



職人の背中は
なぜかかっこいい!



職人の仕事、というのが大好きです。

黙々と自分の仕事をこなす。
それはアーティストではなく、あくまでも職人。

その道は任せとけ!
でも他のことは・・・その道のものに聞け。

それはそれでいいと思う。

その道を極めていれば。



そんなそれぞれの仕事から出来上がった生地を纏う人々。


それはいまだに普通にSoloの人々の生活の一部だった。



男性のこのスタイルは
あまり見かけなかったが
とても素敵だった





人気のパラン柄







コーディネートは・・・
でもしっかりSolo柄






そしてお洒落な紳士
伝統と現代の絶妙な組み合わせ






ホテルのレストランの制服





ベテランも・・・





王族も・・・






鶏小屋も・・・





思った以上に、バティックが生活に強く根付いていることを実感。


そして、Soloの伝統的なデザインが印象的だったので
それが施された生地を3種類入手した。



パラン


スカール・ジャガッド




バティックソロ

伝統的にこのバティックで使用される色は、
地球を象徴する青
を象徴する茶色
空気と水を象徴する白です

バティックソロは、薄黄色の背景にソガン(チョコレートブラウン)を使用。



帰ってきて生地を広げて、その美しさにますます惚れ直しました。
かなり渋いのですが、そこがまた好み。


資料だけではどうしてもわからないことや、実際の作業を見ることで
より理解も深まり、ますますスキになった魅惑の更紗の世界。




またいつかこの青空教室に
訪れたいと思う





テレマカシ〜
ティーチャーズ!!







そんなSoloや前後に滞在したSemarangの、路地から路地、
大通りと、とにかく歩き廻った。

そこに住む人々の普通の生活が垣間見られ、かなり雑多な様子も見られたが
なぜかそこまで突っ込んだ写真を撮っていなかった。

なぜか躊躇した。

でも今となっては、記録として撮影すべきだったと後悔。
ワタシとしたことが・・・・



インドネシアの国旗も
白と赤
























そんな路地を歩いていて好きだったのが、大好物の壁たちを眺めること。

決して良好!という状態のものでなく、崩れかけ、色は剥げ、傾いた
そんな壁たちが愛おしくて仕方なかった。




日本には似合わない色の壁



勢いの差が・・・




まるで合わせたような壁と花の
色合い



現役のドア




哀愁




壁だけ撮影に行きたいぐらいに思った。





そして、歩いても、お店でも、どこでも見かけた4人組。
お父さんと息子たちと判明し、その詳細も確認できた。

なかなか興味深い一家。


プノカワン一家


プノカワン

古代のジャワ語で「理解している友人」を意味する。
ワヤン(演劇)の演目に登場する道化の一族

左から父親のスマル長男のガレン次男のペトル、そしてバゴンと呼ばれる。

スマルは真の姿をイスモヨと呼ばれ、かつて兄トゴグ、弟グルと共に天界にあった。
しかし父から地上に居り、形をなさぬ姿に身をかえ神の子孫である人間たちを守護することを命じられる。
多くの場合アルジノの従者として笑いをふりまき、また精神性を説く。

ふだんは滑稽を売りものに、息子たちとともに愚鈍をよそおうが、
いざというときは強烈な神格を発揮し、怒ればいかなる王、神、グルでさえ、彼には頭があがらない。



地上の荒れた花園における園丁であるとされる。



やはり・・・
ただものではなかった!
神の化身よ
お腹はこんなだけど・・・


本当に強いもの(賢いもの)は、普段は強さを出さない。
愚を装う。
そんな道化。

しっかり真意を見抜いている・・・その目の奥では・・・・


一家のことがわかってスッキリ!

ワヤンを観たいけど言葉が・・・

でも次回は観てみよう。



ということでまだまだジャワには興味が尽きるどころか
大きく増して帰ってきました。


そこで生活する人々にとっては、いたって普通の生活、景色であっても
日本人のワタシには美しくみえるものがある、
きっとその逆もあり、海外の人が日本を見たときに切り取る映像、画像が
我々には、それっ!?と思ったり、改めて見直して感動したりするわけです。

きっと、壁をせっせと写真を撮る姿に ??? だったでしょう(笑)



どこで生まれ育ったか、どんな環境にいるか、これはかなり生活に大きな違いを持っていることを、旅だけではなくても実感する事実。

そこで生きていること、それは普通なこと、疑問の余地がないこと。

逆に、なにしにこんなところへ?

きっとそう思っているに違いない視線を受けながら・・・

「こんな素敵な街に住んでいるんだから・・・もっとキレイにしなさい!」

って心の中で言いながら、路地から路地を歩いた。

そんなことは何にも意味のないことですが・・・




ここで生きるネコ






ここで散る花




人生いろいろね。




そんな歩く人生を送るワタシに、今回の旅のお守りは
直前に参拝に行った東寺で買った

弘法大師さまの健脚お守り

あのお方の健脚ぶりは山から山へ、谷から谷へ、海を越え、川を渡りと
凄まじい動きをしていたことを、そこかしこに残る足跡で立証済み!
その力をちょっとでもあやかりたいと思いましてね。

おかげさまで、怪我もお腹も壊すこともなく、連日元気に過ごせました。


大師さまと草鞋



もう一つ、交通安全お守りも同じく東寺で入手。


現地の通貨のお財布にした
ニコちゃんにつけた。


ここからゴソゴソお金出すの・・・笑
雲「これ?」
店「こっち」
そんなやりとりを笑いながら。


今回関わった人々、親切で優しい人が多かった。
愛想悪そうでもなんだかんだよくしてくれたり、

嫌な思いをしたことは一度もなかった。

カメラにも喜んで映ってくれたり、向こうから撮れとポーズをとったりと
シャイだけど実は陽気?!
そんな感じの人々の印象。



撮っていけー




やはり現地の人との関わりも、旅の印象を強く残したり思い出になると
思うこと。

一人旅だと、誰と関わるかはかなり慎重になるが
一人旅だからこそ出逢えると思うことが多々ある。


ハイリスクハイリターン。
それをあえて選んで一人で旅します。
特に今回のような好みが偏った旅は、一人しか考えられませんが。


気まぐれにその日その日の予定を考え、動きまわる。


浮浪雲な旅


そうそう、バティックでも雲のモチーフがあります。


ワヤンクリッと雲





メガムンドゥン
雨雲


この雲のデザインは有名で、もう一つの本の表紙になっている。
これをバティック博物館で実物をみて感動した。

ジャワ島北部のチレボンという都市の柄とのこと。
ここは港町で、中国との交易により影響を受けたデザインが多いよう。


次回訪れたい都市の一つになった。





そんなまた飛んでいく空を思い描きながら

しばらくは日本の空の下をウロウロします。





歴史と雲





ジャングルと雲





夕焼けと雲






日本では巨大な入道雲が空を覆っている8月の空。

夕方はここでも雷と雨。



スキを追っかけた真夏の雲の旅、

今度こそ



おしまい




いただいたサポートは古道活動に使わせていただき、歩いた記録をお伝えしたいと思っております。よろしければよろしくお願いいたします。