見出し画像

25歳のひとり旅

若い頃には、よくひとり旅をしたものでした。放浪癖とまではいきません。ちょっとした旅行好きと言ったところでしょうか。いや、軽度の放浪癖とした方がかっこいいかな? 

はい、海外なんかにはいきません。僕は井の中の蛙でいいんです。大海なんて知りたくもありません。そんなひねくれた僕ですから日本国内の旅が主体でした。いや…正直言うと香港と深圳だけにはいきました。申し訳ない。仕方がないんです。だって社員旅行だったんですからね。

僕の父は福島県の猪苗代町出身で、千葉県津田沼市にある千葉工業大学を卒業後に、全国展開をしていた建設会社の営業マンになりました。父は人なつこい人で、合わせて天性の営業力があったようで、営業マンとして能力を発揮したのでした。母と結婚後には営業支援として東北各地に転勤したのです。

父は家族思いですから、単身赴任ではありません。そのために僕は、福島県の平市(いわき市)に生まれたあと、東北のあちこちの小・中学校を転校させられちゃったのです。そして、ほぼ4年ごとのオリンピックのような引っ越しに僕たち家族はすっかり慣れっこになっていました。1カ所に定住できないということが習慣のようになっていたのですね。それが僕の軽度の放浪癖に結びついたのではないかなと思っています。

僕は幼い頃からひとりでブツブツ呟きながら家の周りにある山や野原を散歩することが好きでした。何を呟いていたのかは忘れましたが、子どもですからね。「きれいだな、美味しそうだな」なんて幼稚なことでしょうね。

それから成長するに従って、その散歩の範囲が大きくなって、家族の居住範囲を超えて放浪(旅行)することが多くなりました。その目的のひとつには、子ども心に芽生える物欲であったりするのですが、大半は無目的で、ただうろうろと歩き回って風景を眺めたり、目に入るものを観察したりしたのです。旅行好きな人の主目的は観光でしょうが、僕にはまったくそんな気はありません。

さて、その旅のひとつが25歳の時の東北ひとり旅でした。かつて僕たち家族が過ごした青森、秋田をひとりで再確認してみたいというのが目的でした。

*写真は青森市。僕が4年生まで通っていた小学校の近くです。その小学校の前には少年鑑別所がありました。今でもあるようですが…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?